TOPインタビュー
2023年度業績レビューと成長戦略
代表取締役社長 細川慎一
社名変更AIの活用により、リサーチ事業を革新していくという覚悟
まず、当社は2024年5月1日をもって「GMOリサーチ株式会社(英語表記:GMO Research, Inc.)」の社名を「GMOリサーチ&AI株式会社(英語表記:GMO Research & AI, Inc.)と改称いたします。この改称は、私たちが業界全体をAI化することへの意欲を表しています。 当社だけでなく業界全体にとっても、AIは今後業界を変革していく重要な技術だと考えています。マーケティングリサーチ業界のサンプルパネル提供市場において日本で約7割のシェアを持ち、業界をリードする立場にある当社だからこそ、当社プラットフォームのAI化を進めることで、業界全体のAI化を促進し、AIによる大きな変革の波をリードする意思を示すことができます。そこで、これまで労働集約的であった市場調査・マーケティング領域においてAIを駆使して革新していくという覚悟を持ち、業界全体の生産性向上と市場拡大を推進してまいります。
2023年度の業績レビューと2024年度の事業戦略利益率重視の販売先フォーカスの変更が将来の収益を牽引
2023年度は、事業会社内でのAIを活用した調査設計やレポートの内製化のトレンド等、業界全体の事業環境の変化を認識したため、下半期から「販売先フォーカスの変更」戦略を実施しました。この結果、売上高は前年同期比1.6%減少となりましたが、粗利は3.2%増加、営業利益も5.0%増加となり、4年連続の増益で過去最高となりました。
「販売先フォーカスの変更」は、国内は、粗利率の高い事業会社向けの販売を強化し、海外は、粗利率の高い調査会社向けの販売を強化する施策です。これにより2023年度の国内事業会社向け売上高は43%増、海外調査会社向け売上高は11%増と進捗しました。2024年度もこの戦略を継続し、注力する販売先の構成比率を拡大することで、粗利率の向上を図り、売上高12.3%成長、営業利益14.1%成長を目指します。
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国内
調査を内製化できるAIを活用したリサーチサービスの提供により、事業会社等の直接販売を拡大し、粗利率向上
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海外
AI活用による案件単位の細やかな収益性を加味した受注判断により、調査会社の売上がさらに伸び、粗利率向上
2023年 粗利率*:パネル原価のみ勘案(人件費除く)
2024年度以降の成長戦略についてAI活用で業界をリード
当社の今後の成長ステップを4段階にわけてご説明いたします。
ステップ1は、販売先フォーカスの変更と社内のAI生産性の劇的な向上により、売上、利益率ともに改善してまいります。
ステップ2は、業界のAI化、生産性の劇的な向上です。当社は国内のリサーチパネル提供市場において67%シェアですが、当社のプラットフォームにAIを搭載してお客様に使って頂くことで、リサーチ業界内においてもリサーチャーが更に付加価値の高い仕事に専念し、調査会社としても人員を増やさず事業拡大ができる環境を作っていきたいと考えております。
ステップ3は、AIによるパネルとの関係性の在り方の変革です。質問の重複や不正回答等、パネルに起因した問題がまだ残っており、これらもAIにより解決に導いていけるのではないかと考えております。AIの活用によりパネルの負荷を減らし、不正データを綺麗にすること等でリサーチ業界とパネルの方々との関係性を変えていきたいと考えております。
最後のステップ4は、仲間づくり(M&A)や新サービスの提供です。現在仕入れ先であるクラウドパネルパートナーといわれる企業がアジア16の国と地域にあります。それらの企業に対し、様々なソリューションを新たに提供します。これにより、現在仕入れ先である企業と協働し、Win-Winの関係になれることをめざしてまいります。今回SNOWBALL様から譲り受けたスマホアプリのCASHMARTという事業も、そのモデルのひとつです。
配当方針について持続的成長により安定配当を維持
利益配分につきましては、経営体質の強化と今後の事業展開や内部留保等を総合的に勘案したうえで、連結ベースの配当性向50%を目標に安定した配当を継続して行うことを基本方針としております。2023年度の配当につきましては、この方針に基づき1株当たり114.84円の配当を実施することを決定しました。この結果、2023年度の配当性向(連結)は、61.0%となりました。2024年度の配当予想も2023年度と同額維持としており、その際の配当性向は54.9%の見通しとなります。
さいごに
当社は、AI技術の活用を通じて、より使いやすく便利なプラットフォームを提供することで、生活者の想いを正確かつ迅速にお客様にお届けし、新たな価値を創出してまいります。この取り組みにより、引き続き高い成長が見込まれるサンプルパネル提供市場において、アジア市場で圧倒的なNo.1を目指して成長していく所存です。株主の皆様におかれましては、引き続き変わらぬご支援を賜りますよう、心よりお願い申しあげます。