定量調査と定性調査の違いと使い分けの方法とは?組み合わせた調査方法も紹介
2021年06月23日
消費者理解を高めるために市場調査を行うときは、「定量調査」と「定性調査」の違いについてしっかりと把握しておくと、より正確な調査結果を得ることが出来ます。
この記事では、マーケティングに役立つ次のことをご紹介します。
- 定量調査と定性調査の違い
- どちらの調査方法が適切か判断する方法
- 2つの調査を組み合わせた手法
定量調査と定性調査、それぞれの特徴について
市場調査を行うときは、一般的に定量調査か定性調査のどちらかが用いられます。
どちらも調査方法が複数あり、取得したいデータによってどの方法を選ぶかが変わります。
まずは、定量調査・定性調査それぞれの概要やメリット・デメリットを見ていきましょう。
定量調査とは
◆ポイント
定量調査は、集計したデータが容易に数値化できるため、誰でも目に見えて理解しやすい上に、時系列ごとの比較など統計的にデータ処理を行う場合に適しています。
ただし、数値で表せるものを信頼性の高いデータとして集計・分析するためには、ある一定量以上のサンプルサイズが必要です。
定量調査を行う目的には、購入率や対象となる商品などのイメージを調べる「実態調査」と、調査者が立てた「自社の商品はこういうイメージを持たれているのではないか?」などといった仮説に対して検証を行う「仮説検証」の2つがあります。
「仮説検証」と「実態調査」は、同時に行う場合もあります。
定量調査のメリット・デメリット
定量調査のメリットは、結果が数値化でき、誰にでも分かる説得力のあるデータが取得できることです。
調査結果を統計的に分析できることから、需要予測の正確性や仮説検証を行う場合の確実性も高くなります。
Web上のアンケートであれば、調査費用も比較的低価格に抑えられる傾向にあり、手軽に実施しやすいという特徴もあります。
ただし、定量調査を有効活用するには、数値化されたデータを分析し企業の方針策定や意思決定につなげることが必要です。
例えば、商品の購入率が男女でそれぞれ45%と50%だった場合に、この5%の差に統計的な意味があるのか? などと正しく理解する分析力がなければ、調査結果を次の取り組みへ繋げられません。
定量調査のデメリットとしては、質問票設計の段階で想定した以上の回答や意見を得にくいという点があります。
定量調査の方法
定量調査の方法は複数あります。 取得したいデータによって適切な方法を選定します。 以下は代表的な定量調査の方法です。
方法1.インターネットリサーチ
対象者にWeb上でアンケートに回答してもらう方法です。
以前は電話や郵送、訪問調査などが主流でしたが、インターネットリサーチの方がより短時間でコストを抑えてデータを収集できるため利用者が増加しています。
方法2.会場調査(CLT)
指定の会場に対象者を集め、実際の商品や広告などを試してもらった上でアンケートに回答してもらう方法です。 対象者の回答があいまいな場合は質問を変えたり、回答内容をその場でさらに深堀りできるという利点があります。
方法3.ホームユーステスト
健康食品やスキンケア用品など、一定期間使用しなければ効果が実感できないような製品を対象者へ送付し、指定の期間利用してもらうことで使用感や評価を調査します。
使用感や効果の実感のデータと共に、例えば企業側で想定していなかったタイミングで商品を使用できることが判明するといった、商品の改良や新しいニーズを発見するためのヒントが得られる可能性もあります。
方法4.郵送調査
対象者にアンケートを郵送し、回答を記入して返送してもらう形の調査方法です。 インターネットの操作が苦手な高齢者層を含め、幅広い属性の人からデータを集計できます。
定性調査とは
◆ポイント
定量調査の方法は複数あります。取得したいデータによって適切な方法を選定します。 以下は代表的な定量調査の方法です。
定量調査は、調査者と回答者の会話により進行します。
そのため、質問の回答を深堀りして数値やデータ化しにくい部分を汲み取ったり、消費者本人も自覚していないようなニーズを掴んだりすることができます。
定性調査の目的は、ターゲットである消費者の意向を読み取る「消費者理解」や、自社の製品改善するためのアイディアやヒントを取得する「改善点の発見」、「自社の商品はこういうイメージを持たれているのではないか?」などといった「仮説構築」などです。
定性調査のメリット・デメリット
定性調査のメリットは、数値化できない消費者の意識や行動の感情について深堀りすることで、消費者が行動を起こすインサイトを得られることです。
最近はIoT機器の普及・ビッグデータの活用の広まりなどによって消費者の行動データがこれまで以上に取得できるようになりましたが、そういったビッグデータはそのままでは単なる数字でしかありません。消費者の行動背景を知り、正しい戦略を立てるために、定性調査が利用されています。
しかし定性調査にはデメリットもあります。 欲しいデータを対象者が本当に持っているかが調査実施前に分かりにくいために、対象者の設定が非常に難しいこと。そして、集計データを数値化できないために、結果の分析に調査者の解釈が必要になるということです。
定性調査の方法
定性調査にも複数の方法があります。 実際に製品の利用者や消費者と対面で行われるものがほとんどです。 以下は、定性調査の代表的な方法です。
方法1.グループインタビュー
対象者を複数人集めて、質問に対してディスカッションをしてもらう形式の方法です。一度のグループインタビューで色々な属性の対象者から、多角的な意見を集められます。
方法2.インデプスインタビュー
調査者と対象者の1対1のインタビュー形式で実施される方法です。
インタビューの回答内容や状況によって質問内容を変更・追加することが可能です。 一人の対象者に30分程度の時間を要しますが、心理にじっくりと迫ることができますし、グループインタビューでは言いにくいような意見を収集することもできます。
方法3.行動観察調査
消費者が実際に商品購入・サービスを利用する際に調査者が同行し、購入、または購入しないまでに至るプロセスやサービスを利用する様子を観察する方法です。
例えば、洗濯用洗剤の市場調査をするとき、消費者が複数ある洗濯用洗剤の中から何に注意して購入を決定しているかに着目し観察することで、消費者自身も把握していない、もしくは把握していても言語化までには至らないような潜在意識について気づけることがあります。
方法4.訪問観察調査
訪問観察調査は行動観察調査の一種です。 調査したい商品を利用している家庭に訪問し、商品がどんな時にどのような状況で利用されているのかを観察する方法です。 家族など同居している人の反応や、併用されている製品があるかなども、訪問観察調査で同時に知ることができます。
定量調査と定性調査の違いは?
定量調査と定性調査の2つにはどんな違いがあるのでしょうか? 2つの違いを把握しておけば、実際に商品やサービスのマーケティングを行う際に適切な方法を選定できます。
まずは「調査目的は何か、消費者の何を理解したいのか」を明確にすることがポイントです。
調査目的と、消費者の何を理解するのか明確にする。
適切な調査を選定するために、まずは「調査目的」を文字にしてみましょう。 例えば、「販売中の製品の満足度を調査し、改善したい」「どこも発表していない画期的な商品開発のためのアイディアが欲しい」などでしょうか。
調査を行うことによって、どんな目的を達成したいかを明確にすることで、目的達成のために、どんなデータを得るべきなのかを逆算して考えることができます。>
仮説検証のときは定量調査、潜在意識を知りたいときは定性調査
定量調査の大きな役割は、消費者の行動や意識を明確な数値データとして可視化することです。
そのため、定量調査は「消費者にはこんなニーズがあるだろう」という仮説を検証したい場合や、自社製品にどんな感想を持っているか・不満はあるかなどを把握したい場合によく実施されます。
一方、定性調査の大きな役割は、消費者による行動や発言などから潜在意識にあるニーズを調査者が分析することで、商品改善のヒントや新しいアイディアを得ることです。
「調査側が立てた仮説を検証したい場合」
「認知率・シェア率などを含む市場の傾向を調査したい」といったケース
定性調査
「仮説を立てる前に消費者が感じた使用感やニーズを調査したい」
「仮説を構築するためのヒントを取得したい」といったといったケース
定量調査と定性調査を組み合わせる方法
市場調査の目的により、定性調査と定量調査を併用することもあります。
定性調査で仮説を構築し、定量調査で検証する
自社製品の使用実態や、消費者の意識についてのデータ取得が目的の場合は定量調査を実施することがほとんどです。
しかし、消費者へ定量調査を行おうとしても、そもそもの調査者の仮説が的外れで質問事項や選択肢が消費者の感覚とずれていては、精度の低い調査になってしまいます。
このようなとき、先に定性調査を実施し、仮説構築の材料とすることがあります。 例えば「自社製品の芳香剤の香りが強すぎるのでは」という仮説を調査者が立てた場合、大多数に定量調査を行う前に「香りが強い」と感じている消費者がいるかどうか、なぜそう思ったのかなどを定性調査で事前に調べておきます。
このように消費者の行動や、どんな感想を持っているのかを先に調査しておくことで、より消費者感覚に沿った定量調査を実施しやすくなります。
定量調査で構造を可視化し、定性調査でさらに質を調査する
定量調査で数値的なデータを収集した後に、消費者がその商品を選んだ経緯や背景を知りたいようなとき、定量調査のあとに定性調査を行うこともあります。
定量調査で手に入れた情報から仮説をアップデートし、さらに深くインタビューで掘り下げることで、商品の具体的な改善策や新しいアイディアに結びつくような情報を手に入れられることがあります。
まとめ
市場調査の方法は数多くありますが、取得したいデータや目的によって適切な方法を選ぶことが大切です。
定量調査と定性調査を専門の調査会社へ依頼する場合、費用は10万円以下から100万円以上まで規模によってかなりの幅があります。一般的には定性調査のほうが、より費用が多くかかる傾向にあります。
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