4C分析とは?4Pとの関係性や3C違い、活用方法を解説
2022年04月25日
現在私たちの身の回りには商品が溢れており、顧客は容易に他の商品と比較・検討が行えることから、ただ質の高い商品を作り、販売するだけではものが売れなくなりました。
そのため顧客視点を踏まえた4つの視点(4C)からマーケティング施策を考える、4C分析に注目が集まっています。
本記事では4C分析の意味や活用方法、事例、利用時の注意点を解説します。
4Cとは
- 4Cとは
- 顧客の購買意思決定に影響を与える4つの要素「顧客価値(Customer Value)」「価格(Cost)」「利便性(Convenience)」「コミュニケーション(Communication)」から構成された、顧客視点に立ったマーケティング理論。
4Cはアメリカの広告学者であるロバート・F・ロータボーン氏が1993年に提唱した、企業視点に立ったマーケティングから、顧客視点のマーケティングへの転換を図るマーケティング理論です。
4Cは全ての項目が顧客視点になっており、具体的な意味は以下の通りです。
- 顧客価値(Customer Value):顧客から見たベネフィット、性能、デザイン性、ブランド価値
- 価格(Cost):顧客が商品を購入する際にかかった手間や支払う費用を含めたコスト
- 利便性(Convenience):顧客が商品を購入する手段、決済方法
- コミュニケーション(Communication):商品情報入手の容易さ、対面・オンラインイベント、コミュニケーションツール(SNSやメールなど)
4C分析では上記4Cを顧客側の視点で捉え、各項目の分析を行います。
4Pとは
- 4Pとは
- 自社の商品販売に関わる要素を「商品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「販促(Promotion)」の4つに分類したマーケティング理論。
4Pとは、アメリカのマーケティング学者であるエドモンド・ジェローム・マッカーシー氏が1960年に提唱したマーケティング理論です。
4P分析は4C分析が普及する前に広く利用されていた分析手法であり、下記のように売り手の視点から見たマーケティング施策になっています。
- 商品(Product):何を売るのか、どのように他社と差別化するのか
- 価格(Price):いくらで売るか
- 流通(Place):どのチャネルで提供するか
- 販促(Promotion):どのように商品を販促するか
4Cと4Pの関係性
4P分析では売り手の視点から行うマーケティング施策でしたが、類似商品や商品選択の幅が広がると、売り手の視点だけでは商品が売れなくなりました。
顧客は容易に他の商品と比較・検討が行えることから、より自分の購入しやすい手段や価値観とマッチした商品を購入するようになったのです。
こうした顧客ニーズや購買行動の変化を踏まえ、4C分析は、4P分析の売り手視点を買い手視点から捉え直すマーケティング手段として誕生しました。
両者の関係性は以下の通りです。
<4Pと4Cの関係性>
4P(企業視点) | 顧客視点へ再定義 | 4C(顧客視点) |
---|---|---|
商品 | → | 顧客価値 |
価格 | → | 顧客から見た適正価格 |
流通 | → | 利便性 |
販促 | → | コミュニケーション |
「商品」から「顧客価値」へ
4Pの商品(Product)は商品の機能面や品質・ブランドに注目した商品の価値を指します。
同じ商品であっても、商品に対してどのような価値を感じるかは買い手によって異なります。
例えばクルージングディナーは、商品として考えると「豪華客船での食事」と捉えられますが、顧客視点から考えると「特別な日を送る一手段」とも捉えられます。
このように4Cでは商品の価値を顧客価値(Customer Value)から考え、買い手視点に立ったベネフィットの提供を重視しています。
「価格」から「顧客の負担するコスト(商品価格+手間)」へ
4Pにおける価格(Price)は商品を販売する際の実価格を指していますが、4Cでは実価格に加え、顧客が商品購入に至るまでにかかった手間も価格(Cost)に織り込まれています。
販売価格だけでなく、顧客が負担する手間も考慮に入れ、顧客が納得する価格の提示を検討する必要があります。
「流通」から「利便性」へ
4Pにおける流通(Place)では、商品を最も効率的に販売できる流通経路を検討しますが、4Cでは顧客の利便性(Convenience)を踏まえた流通経路を検討します。
例えば、現在ECショップではクレジットカードによる支払いが一般的ですが、高齢者を相手にする商品の場合には、代引きの方が親しみやすい可能性があります。
このように4Cでは売り手ではなく、顧客にとって便利な方法を選択します。
「販促」から「コミュニケーションへ」
4Pでは顧客との接点は販促がメインでしたが、4Cでは顧客と良好な関係性を構築するために、対面・オンラインイベントなど、積極的に顧客とコミュニケーションを図ることが重要視されています。
このような変化は類似商品に溢れ、機能面での差別化が行いにくいことが一因に挙げられますが、顧客とのコミュニケーションを重視することは、LTVや顧客ロイヤルティ向上にも寄与します。
商品販売のフィールドは、インサイドからアウトフィールドまでと多様化しているため、自社の顧客にあったコミュニケーションの場を設ける必要があります。
マーケティングミックスとしての4P分析と4C分析
マーケティングミックスとは、成果の出るマーケティング施策を実行するために、マーケティングツールを組み合わせることを指します。
代表的なマーケティングミックスの例として、4P分析と4C分析が挙げられます。
実務的には、4C分析を起点に顧客への価値を検討し、自社プロダクトを設計した後に4P分析に落とし込み具体的な施策を検討する流れが一般的です。
4C分析と3C分析の違い
- 3C分析とは
- 「顧客・市場(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つから、自社を取り巻く環境を分析する手法。
3C分析は経営コンサルタントの大前研一氏が1984年に提唱した、自社を取り巻く環境など市場分析で広く用いられる分析方法です。
3C分析では3指標それぞれを分析し、KSF(Key Success Factor:成功要因)を見つけ、事業成功に向けたマーケティング施策の方向性を発見しやすいメリットがあります。
4C分析が具体的なマーケティング戦略を検討するのに対し、3C分析ではそれ以前の市場分析を行い、自社のKSFを発見するために使われます。
4C分析の活用方法
4C分析には以下のような活用方法があります。
- 新商品・サービスの開発
- 競合の商品・サービスの分析
- 自社既存商品・サービスの分析
新商品・サービスの開発
自社で新商品や新サービスの開発・展開を行う際、4C分析のフレームワークに当てはめて考えることで、顧客にもたらされるベネフィットをもたらすのかを客観的に把握できます。
新商品やサービス開発では、「開発側が作りたいものを作る」プロダクトアウト的な思考に陥りやすい傾向にあります。
その点、4C分析を活用することで、顧客ニーズとの齟齬を発見しやすくなり、売上の見込める商品開発につながります。
サービス開発段階で顧客に与えるベネフィットが少ないと判明すれば、自社商品の設計を見直せるため、商品発売後に売れないリスクを低減できます。
競合の商品・サービスの分析
競合の商品・サービスを分析する際にも、顧客視点に立つ4C分析を行うことで、新しい発見が見つけやすくなります。
例えば、競合と同じターゲットだったとしても、競合が顧客に対して行うベネフィットのアプローチは異なっている可能性があります。
競合分析は、自社のベネフィットポイントを見直し、新しい視点からの顧客アプローチを行うきっかけになります。
自社既存商品・サービスの分析
4C分析は自社既存商品・サービスの分析にも有用です。
4C分析を通じて顧客に正しくベネフィットが伝わっていないと判断した場合は、改めて顧客価値を検討する必要があります。
他にも過去にヒットした自社商品を分析することで、顧客に対し訴求効果の高いポイントが明確になる可能性もあります。
このように4C分析を行うことで、経年変化や顧客とのずれを認識しやすくなり、改善につなげやすくなります。
4C分析の注意点
4C分析は自社商品やサービスを顧客視点から捉えるフレームワークですが、活用時には以下の点に注意しましょう。
- ターゲティングを先に実施する
- 顧客のインサイトを見逃さない
- 各要素の整合性を保つ
ターゲティングを先に実施する
4C分析では顧客にとっての自社商品の価値を洗い出しますが、ターゲットが明確に決まっていないと効果的な分析が行えません。
例えば、化粧品メーカーが顧客提供価値を検討する場合、ターゲット属性がコストパフォーマンスを求めているのか、あるいは高くても品質の良い商品を求めているのかで、顧客のベネフィットは大きく変化します。
このため、先にターゲットを決定してから4C分析を実施する必要があります。
顧客のインサイトを見逃さない
インサイトとは、顧客の深層心理のことを指します。
例えば、プログラミングスクールに興味がある会社員が転職を軸にベネフィットを考えていることは容易に想像できます。しかし実は、顧客は転職ではなく、後々独立できるスキル獲得にベネフィットを置いている可能性があります。
このように顧客のインサイトにまで踏み込んだ顧客提供価値を発見できないと、他社との競争になる恐れがあるため、顧客の指名買いを獲得できない恐れがあります。
各要素の整合性を保つ
4Cは4つの要素から成る分析です。このため、それぞれの要素の整合性が取れていない場合には、効果が出づらいマーケティング施策の立案に繋がってしまいます。
例えば、顧客への提供価値が低い商品に対し、あまりにも高額な価格設定をすれば、顧客は魅力を感じず、購入につながりにくいと考えられます。
このため、各要素は一貫して顧客に魅力的なものであるかを必ず確認しましょう。
4C分析の活用事例
では実際に、企業において4C分析はどのように活用されているのでしょうか。今回は以下2つの活用事例を紹介します。
- コーヒーストアの事例
- お茶の事例
コーヒーストアの事例
コーヒーストア業界は、既にチェーン店が多く存在し、顧客もコーヒーを楽しむ場所、あるいはコーヒーを片手に作業をする場所として捉えている方が多いため、差別化が難しい業態です。
その中でコーヒーストアA社は、「コーヒー」という商品はもちろん、家でも職場でもない第三の場所(サードプレイス)という価値観を顧客提供価値として顧客へ訴求し、店舗を拡大しました。
コーヒーストアA社の4Cは以下の通りです。
- 顧客価値(Customer Value):サードプレイスでコーヒーだけでなく空間を楽しめる
- 価格(Cost):300円〜600円
- 利便性(Convenience):都市部を中心に出店
- コミュニケーション(Communication):顧客とオンライン・オフラインで関係を築く取り組み(SNSでの告知、顧客の名前をカップに書くなど)
コーヒーストアA社の顧客提供価値の転換は、手軽な値段でサードプレイスを楽しみたいという顧客のニーズに合致し、見事ヒット。
また、コミュニケーション手段としてのSNS戦略も顧客ニーズとマッチし、SNSで新商品を発表すると、自然発生的に口コミが広がるなど、オンライン上でも顧客と良好な接点を保っています。
お茶の事例
緑茶は簡単にコンビニなどで手に入りますが、競合商品も多数取り扱われており、競合優位性を図るのが難しい商品でした。
そこで、ヘルス・ビューティーケアを手掛けるB社は、手軽にコンビニで購入できる緑茶に「体脂肪減少効果」という顧客価値を提示し、健康意識の高い顧客に受け入れられやすい商品の開発に成功しました。
- 顧客価値(Customer Value):体脂肪減少を助ける効果が期待される
- 価格(Cost):1本180円程度と緑茶としては高めの価格設定
- 利便性(Convenience):コンビニ等で購入しやすい
- コミュニケーション(Communication):マスメディアでよく目にするので信頼感がある
マスメディアの放送で顧客の信頼を獲得し、コンビニで購入できる利便性から同社の緑茶は広く顧客に受け入れられました。
まとめ
4C分析は商品やサービスが豊富にあり、顧客が容易に取捨選択できる現代において、顧客から選ばれ続ける商品やサービスを洗い出せるフレームワークとして有用です。
4C分析を実施する際は、各項目の整合性が保たれているかや、4P分析とのズレがないかを確認し、マーケティング施策に役立てましょう。
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