ネット広告について調べていると「アフィリエイト広告」という単語を目にします。これから広告運用を始める方々の中には、「言葉だけなら聞いたことがあるが、詳しいことはよく分からない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

アフィリエイト広告は、成果報酬型の広告です。広告を掲載するだけでは料金が発生せず、あらかじめ設定した成果までユーザーがたどりついて、はじめて広告料金が発生する仕組みになっています。成果を達成しない限り費用がかからないため、費用をなるべく抑えた上で成果が見込めるのが特徴です。

広告を活用して効果的なプロモーションを行うには、仕組みを理解して自社製品にあったプロモーションを行うことが必要です。この記事では、「これから広告運用を始める」「始める前にメリットや注意点を理解しておきたい」という方に向けて、アフィリエイト広告とは何かといった概要から、始める際の注意点まで解説します。

アフィリエイト広告は成果報酬型の広告

アフィリエイト広告は、インターネット広告の一種で、「成果報酬型」である点が特徴です。ユーザーがWebサイトに掲載された広告を経由して、広告主のサイトで「成果」となる行動（購入や問い合わせなど）をしたら、広告を掲載しているWebサイトの運営者に報酬が支払われる仕組みです。何を「成果」とみなすかは広告主によって異なりますが、よく設定される成果には以下のようなものがあります。

アフィリエイト広告の成果例

主な表示形式は、「バナー」と「テキスト」の2種類です。

リワード広告との違い

リワード広告は、アフィリエイト広告の一種です。広告のリンク先のWebサイトでアプリのダウンロードや、商品の購入など成果が発生すると、広告主から媒体に成果報酬が支払われます。そして、媒体がその会員に媒体内で使えるポイントなどを付与する仕組みです。

リワード広告は通常のアフィリエイト広告とは違い、アクションを起こしたユーザーにも報酬が支払われるため、ユーザーが達成感を得やすいという特徴があります。

アフィリエイト広告のメリット

アフィリエイト広告を利用するメリットの1つは、広告コストを最適化できる点です。

報酬が固定されているため、獲得単価を一定の水準に保つことができます。また、決められた成果が発生しない限り広告費用が発生しないため、費用対効果が高くなります。

ユーザーが成果地点に到達しなくても、読者が多いブログや検索上位のサイトに掲載されれば認知拡大につながる可能性があります。広く認知を獲得したい場合にも、アフィリエイト広告は効果的です。

また、アフィリエイト広告は、CV獲得につながりやすいのもメリットです。アフィリエイターが作成したコンテンツやSNSへの投稿の中に広告が掲載されるため、ユーザーにとって信頼できる第三者からのおすすめが行動の後押しとなり、CV獲得につながる可能性が高まります。

アフィリエイト広告のデメリット

アフィリエイト広告のデメリットの一つは、必ずしも意図通りに掲載されるわけではない点です。

アフィリエイト広告は、アフィリエイターが掲載する広告を自由に選べる仕組みのため、成果単価が低かったり成果までのハードルが高いと、アフィリエイターに選ばれず掲載してもらえません。

かといって、まったく制約をつけないと希望しない媒体に掲載される可能性もあります。掲載先をコントロールするためには、掲載先を審査した上で認証する、というプロセスを踏む必要があります。

また、成果として会員登録などを設定する場合、大量の虚偽の登録が行われる可能性がある点もデメリットです。

アフィリエイトの成果報酬を得るため、人力やBotなどで実際の登録者を装って登録するのはよくあるパターンです。各社、対策として短時間での同一IPでの応募を検出して成果否認をする機能の実装や、悪質な媒体へのブロックなどを行っています。

アフィリエイト広告を始めるにあたって知っておくべきこと

ここまで、アフィリエイト広告の概要や、メリット・デメリットを紹介しました。本項目では、実際にアフィリエイト広告で自社製品のプロモーションを検討されている広告主の方に向けて、詳しい仕組み、向いている商材などをご紹介します。

アフィリエイト広告の仕組み

まず、アフィリエイト広告を始めるにあたって、どのような仕組みなのかを知っておきましょう。細かな手順については後ほど詳しく説明しますが、大まかな流れは以下の通りです。

【アフィリエイトの大まかな流れ】

ASP（アプリケーションサービスプロバイダ）とは、広告主とアフィリエイターを仲介する企業やサービスのことです。広告主からの依頼を受け、アフィリエイト広告の運用や成果の追跡、アフィリエイターへの報酬の支払いを行います。そのため、広告主とアフィリエイターには契約関係がありません。

アフィリエイト広告に向いている商材の特徴

アフィリエイト広告は、一般消費者（個人）向けの商品（BtoC）に適しています。

企業向けの商材は専門性が求められますが、一般消費者向けの商材なら、アフィリエイターの感想や日常での使用感をもとに商品紹介がしやすく、成果にもつながりやすいためです。

また、企業向けの商材は、決定権が1人に委ねられることは少なく、購入の決定に時間がかかるのに対し、一般消費者はほとんどの場合1人で意思決定をするため、購買までのスピードが速く、比較的短期間で成果を得られる可能性があります。

さらに、口コミからのアクセスを見込める点からも、BtoC商材が適しているといえます。

アフィリエイトサイトのほとんどは個人向けのサイトで、サイトごとにユーザーの年齢層や性別が偏っていることがあります。希望した媒体に掲載されないこともありますが、ターゲット層が多く閲覧するであろうサイトに掲載されるように意識して広告を作成すれば、ターゲットへのリーチ率向上が期待できます。

アフィリエイト広告は商品の購入、お客様情報の登録数などによって広告費が決まるため、BtoC商材のなかでも、CV単価が高い商材がより適しています。

【向いている商材の例】

一方で、「地域密着型」のようにターゲットが限定されるものは不向きです。アフィリエイト広告は、全国的に発信したい場合に有効です。

また、基本的にはインターネット上に表示されるため、インターネット利用者の割合が少ない層がターゲットになる商材も向いていません。

広告出稿にかかる費用

アフィリエイト広告の仕組みと同様に、費用についても知っておきましょう。

アフィリエイト広告の出稿にかかる費用の種類をご紹介します。これらの値はASPごとに異なるため、あくまで目安としてお考えください。

ASPの例

ASPには複数ありますが、ここでは代表的なASPをいくつか紹介します。

【ASPの例】

ASP名	特徴
A8（ファンコミュニケーションズ社）	EC・金融・就職・転職系
JANET（アドウェイズ社）	金融系・会員獲得系・エンタメ系
リンクシェア（リンクシェア・ジャパン）	金融系（他ASPとの併用不可）
成果報酬110番（ノーマーク社）	ポイントサイトの運用
affltown（GMOメディア社）	GMO社のポイントサイト「ポイントタウン」などでの広告掲載
バリューコマース（バリューコマース社）	金融系・EC・旅行・家電
アクセストレード（インタースペース社）	EC・サービス・金融系・エンタメ・その他
AD．TRACK（セレス社）	EC中心

アフィリエイト広告の出稿手順

アフィリエイト広告の仕組みや向いている商材がわかったところで、実際の出稿手順を確認してみましょう。

1．掲載条件を設定する

まずは、他の広告媒体などのCPAを考慮して、成果報酬額の決定や予算配分を調整します。自社のKPIと照らし合わせ、実現可能な成果の条件を設定しましょう。

【成果の例】

2．ASPを選定する

次に、ASPの選定です。コストや相性、導入実績を参考に、自社に合うASPを選びましょう。ASPは、種類によって強みとする商品カテゴリーに違いがあるので、求めているカテゴリーに強いASPがあるかを確認して選定を行います。必要に応じて、複数のASPを使うのも一手です。

ASPの選定が終わったら、サイトに登録し、審査を受けます。審査に通過したら、広告出稿に向けた初期設定を行います。

3．出稿に必要な素材を用意する

ASPの設定が済んだらアフィリエイターに「報酬が見込めそうだ」と思ってもらえるような、できるだけ訴求力のあるバナー広告やテキストリンクなどの素材を用意します。

アフィリエイターは、訴求のためにバナーを利用することもあるため、バナー広告作成時にはどんなサイトのどんな位置にも使いやすいバナーを用意します。あわせて、キャッチコピーなどのテキスト素材、メール用テキストも用意しましょう。

アフィリエイト広告を成功させるポイント

アフィリエイト広告は広告掲載費がかからないとはいえ、闇雲に出稿しても効果が出るどころか、かえってマイナスイメージにつながる危険もあります。この項目では、アフィリエイト広告を成功させるポイントについて解説します。

広告戦略の目的を定めたうえでスタートする

広告の出稿にあたって、何を目的とするのか明確にしておきましょう。知名度向上を目指すのか、新規顧客の開拓を目指すのかで広告戦略は変わってくるはずです。場合によってはそもそもアフィリエイト広告以外の施策が向いていることもあります。

成果報酬の設定は適切に

アフィリエイト成果報酬は、似た商材の成功例を参考に設定するのがおすすめです。

高額商品やセール期間やアフィリエイターが売上目標を達成した場合など、場合によっては特別報酬が必要となることもあります。リスクが少ないアフィリエイト広告であっても、予算には余裕を持たせましょう。

広告自体の魅力を高めていく

そもそも、アフィリエイターに選んでもらえないと、広告が掲載されません。広告を見る側の興味を引き付け、掲載側にとって宣伝しやすい広告を作成しましょう。より魅力を高めたいのであれば、期間限定で成果報酬額をアップさせるなどの施策を取り入れることも掲載側には魅力的となります。

法令遵守できているか、確認する

アフィリエイターは、より多く稼ごうと虚偽や誇大表現を使ってコンテンツを作ってしまう場合があります。ASPも多数のアフィリエイターを抱えていることから管理が行き届かず、不当表示されがちです。

アフィリエイターと広告主に直接の契約がないため、直接指示はできませんが、もしトラブルが起きた場合、広告停止や罰則などはASPではなく広告主に発生します。実際に2021年には、アフィリエイト広告が不当表示であるとして広告主に措置命令を行った事例があります。虚偽・誇大な表現を用いた広告と判定されれば、社会的信用を失うことになりかねません。

中長期で取り組む

アフィリエイト広告の性質上、広告が掲載され、ユーザーがアクションを起こすまである程度の時間を要します。一朝一夕で効果が見込めるものではないので、広告戦略は中長期続くことを前提に立てましょう。

まとめ｜アフィリエイト広告を利用して商材の効果的なプロモーションを

アフィリエイト広告はリスクが低く、今後かかるコストが管理しやすいため、注目を集めている広告です。効果的に広告を利用できれば、商材をより広く認知してもらえるため、購買率が高まるかもしれません。

しかし、必ずしも意図通りに広告が掲載されるわけではなく、広告の性質上、景品表示法に違反するおそれのあるものが生じやすい側面もあります。そのため、アフィリエイト広告を出稿する際には、法令を調べ、広告戦略を綿密に練った上で実施しましょう。

よくある質問

Q1.アフィリエイト広告とリワード広告の違いは何ですか？
アフィリエイト広告は、リワード広告の一種です。具体的には、報酬の対象者・仕組み・目的・支払いのタイミングなどが異なります。 詳しくは「リワード広告との違い」の章をご覧ください。
Q2.ASPの選び方を教えてください。
ASPとは、広告主とアフィリエイターを仲介する企業やサービスです。アフィリエイト広告の運用や成果の追跡、アフィリエイターへの報酬の支払いをASPが行います。 ASPは多くの種類があり、それぞれ得意なカテゴリが異なります。プロモーションの目的、商材のターゲット、料金などを比較して選ぶことが重要です。また、他社の似た商材の成功例なども参考にするとよいでしょう。 詳しくは「ASPの例」の章をご覧ください。