アソシエーション分析とは?基本情報から実際の活用シーンまで幅広く解説
2023年09月01日
アソシエーション分析とは、ビッグデータの中から情報同士の関係性を見つけ出す分析方法です。購買データや会員登録データなど、自社が所有するビッグデータを幅広く分析・活用できる点が特徴であり、マーケティング施策にも活用できます。
本記事では、アソシエーション分析の基本情報や活用シーン、注意点などを解説します。
アソシエーション分析とはマーケティングにおける分析手法の一つ
アソシエーション分析とは、POSレジデータ・自社の購買データ・会員登録データなどのビッグデータを分析して、「もしこうだったら(If)、このようになる(Then)」という関係性を導く分析方法です。
データマイニング(統計学・パターン認識・人工知能などデータ解析の技法を大量のデータに適用することで、知識を取り出す技術)の一つであり、自社が保有するビッグデータの中から有益な情報を見つけ出すことに役立ちます。
アソシエーション分析は、自社のマーケティング施策に根拠を持たせて戦略を策定する際にも役立ちます。
自社サービスの満足度向上策を立案する際、従業員の勘や経験だけに依存すると、真の顧客ニーズに気づけず、思うような成果が得られない可能性があります。また、仮に満足度が向上したとしても、本当に施策の効果があったのかどうか、正しく判断できません。
アソシエーション分析を行い、具体的な数値で関連性を可視化できれば、分析で得られた推察を根拠にしたマーケティング施策が実現できます。
その他の分析方法との違い
データの解析手法の中には、アソシエーション分析と似ているものがありますが、それぞれ意味や具体的な活用シーンが異なります。
マーケットバスケット分析
マーケットバスケット分析は、顧客の購買行動に着目した分析方法です。「顧客の購入かごを分析する」ことが命名由来となっており、「ある商品とあわせて購入される傾向にある商品はどれか」を導き出す際に用いられます。
購買行動を分析する際には顧客の購買データを用いることから、特に小売業においてよく活用されます。
商品ABC分析
商品ABC分析とは、「商品の売上」「商品の金額」「在庫数」「コスト」などの評価軸に応じてランクを付けて、販売すべき商品の優先度を可視化する方法のことです。
アソシエーション分析と同じくデータマイニングの手法の一つで、商品管理の効率化や今後の経営戦略立案などに活用されます。
販売の優先度が高い商品から順番に「Aランク→Bランク→Cランク」と分けることが一般的です。
ランクごとの特徴や累積構成比の目安
ランク | 特徴 | 累積構成比の目安 |
---|---|---|
Aランク | 多くの利益をもたらす可能性が高いため、機会損失がないよう、多めに在庫をそろえる | 累積構成比70% |
Bランク | 多少の利益をもたらす可能性があるため、現状維持に留める | 累積構成比70%~90% |
Cランク | 利益をもたらさない可能性が高いため、在庫を減らすか撤退する | 累積構成比90%~100% |
ABC分析についての詳細は、関連記事「ABC分析とは?必要な理由や手順などをまとめて解説」をご覧ください。
アソシエーション分析を活用できる場面
アソシエーション分析(厳密にはマーケットバスケット分析)の有名な例として「おむつとビール」の関係性が挙げられます。おむつとビールは一見すると関係がないように見えますが、アソシエーション分析で「消費者がおむつと一緒にビールも購入する」という関連性がわかれば、この二つを近い位置に陳列するなど、商品配置の工夫を根拠を持って実施することができます。
顧客の購買行動を予測したり商品同士の関連性を特定できるアソシエーション分析は、同時に売れた商品の傾向から効率よい拡販につなげたり、分析で得た知見を各種施策の立案・改善を行うなど、様々なマーケティング上の施策に活用が可能です。
アソシエーション分析の活用例
- 関連性の高い商品の購入を提案する
- 売り場の商品配置を変更する
- 仕入れる商品数を調整する
- 店舗のレイアウトを変更する
例えば分析によって「酒類を購入する人はピーナッツも一緒に買う傾向にある」ことがわかった場合、ピーナッツの陳列場所を酒類の近くに移すなどの施策を行うことで、クロスセルによる売上増加が期待できます。
アソシエーション分析における3つの指標
アソシエーション分析においては、以下の3つの指標を用います。
支持度(Support)
支持度(Support)とは、全体のデータの中で「商品Aと商品Bが一緒に購入される割合」を表す指標です。
支持度=商品Aと商品Bを一緒に購入した顧客の数÷全体の顧客数
例えば「酒とピーナッツを一緒に購入した人数が50人・全体の購買データが500人」という場合、支持度は0.1です。支持度の数値が大きくなるほど、商品Aと商品Bが一緒に購入される確率は高くなります。
信頼度(Confidence)
信頼度(Confidence)とは、商品Aを購入した人数の中で「商品Aと商品Bを同時に購入する人の割合」を表す指標で、商品同士の関連性を把握するのに役立つ値です。
信頼度=商品Aと商品Bを同時に購入した顧客の数÷商品Aを購入した顧客数
例えば「酒とピーナッツを一緒に購入した人数が50人・酒を購入した人数が200人」という場合、信頼度は0.25です。信頼度を算出することで、商品Aの購入者全体にとって商品Bがどれほど魅力ある商品かがわかります。
しかし、確認する指標を信頼度だけにしてしまうと、商品同士の関連性を正しく把握できない場合があるため注意が必要です。
例えば商品Aと商品Bの購入者数が少ないと、信頼度は大きくなる傾向にあります。この場合は支持度もあわせて分析すると、より正しい判断がしやすくなります。
また、商品Bが人気商品だった場合、人気に引っ張られて信頼度が大きくなることがあります。このような場合には、リフト値を使用します。
リフト値(Lift)
リフト値(Lift)とは、全体のデータの中で「商品Aと商品Bを同時に購入した顧客数」が、「商品Bのみを購入した顧客の割合」と比較して、どれほど多いかを表す指標です。リフト値が1よりも小さい場合は、商品Aと商品Bの関連性が低いといえます。
リフト値=信頼度÷(商品Bの購入者数÷全体の顧客数)
リフト値が大きくなるほど、商品Bが単体で購入されるより「商品Aと商品Bが同時に購入される割合のほうが高い」といえます。
アソシエーション分析に欠かせない「アソシエーションルール」
アソシエーションルールとは、関連性や同時性の高い事象間の相関関係を指します。「支持度」「信頼度」「リフト値」をもとに、「ある事象が発生した場合に付随して別の事象も発生する」という連動性がある組み合わせを求めるものです。
アソシエーション分析では、このルールを抽出して評価を行います。
アソシエーションルールの生成例
アソシエーションルールは以下の手順で生成することができます。
- 一定の支持度で足切りする
- 信頼度とリフト値で絞り込む
アソシエーション分析を行う上での注意すべき点
アソシエーション分析を行う際は以下の点に注意しましょう。
分析対象となるデータの順番が正しいかを確認する
アソシエーション分析では、調査するデータの順番が異なると正しい結果を導き出せないケースがあります。「商品Aを購入した人のうち80%が商品Bを購入している」と言えても、「商品Bを購入した人のうち80%が商品Aを購入している」とは限らない、ということです。
例えば「パソコンを購入した人にマウスの同時購入を勧める」場合は、購買行動に効果があると考えられます。
一方で「マウスを購入した人にパソコンの同時購入を勧める」という場合、購買には結びつかない可能性があります。マウスを購入している時点ですでにパソコンを所持している人が多いと予測できるためです。
「商品Aと商品Bの関連性が高い」というだけで判断して戦略を立てると、失敗につながりやすいため注意が必要です。
分析の目的を明確にもつこと
アソシエーション分析を行う際は、何のためにデータ抽出を行うのか、目的を明確にすることが重要です。
分析の目的を定めていれば「どのようなデータが必要になりそうか」という仮説をもとに、有益なデータをピンポイントで得やすくなります。また、「何かの役に立つかと思いとりあえず分析してみたが、結局何も活かせなかった」といった事態を防ぐこともできます。
まとめ|アソシエーション分析を効果的に取り入れて売上アップを目指そう
アソシエーション分析を行うと幅広いデータ同士の関連性を読み取ることができます。勘や経験だけでは把握しづらい商品同士の関連性を可視化できれば、店舗の売り場配置の考案や効果的なアップセル・クロスセルの提案など、確度の高いマーケティング施策に活用できます。
よくある質問
Q1.アソシエーション分析における3つの指標とは? |
---|
アソシエーション分析では、以下3つの指標を使用します。
詳しくは「アソシエーション分析における3つの指標」をご覧ください。 |
Q2.アソシエーション分析を行う際に注意すべき点は? |
アソシエーション分析を行う際は、以下2点に留意する必要があります。
詳しくは「アソシエーション分析を行う上での注意すべき点」をご覧ください。 |
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