意識調査とは?メリット・デメリット、調査のポイントも解説
2021年07月19日
意識調査とは、社会やマーケティングにおける定量調査・定性調査の一種で、特に人々の意識や心理状態を調査するものです。
この記事では、意識調査の
- 特徴
- メリット・デメリット
- 流れ
- 活用のポイント
を解説します。
意識調査とは
◆ポイント
国内の意識調査でよく使われるのは「インターネットリサーチ」です。 これは、Web上で招集した会員に対して、アンケートなどの質問に回答する形の調査を実施する方法です。
「意識を調べる」という名の通り、意識調査は人々の意識や心理を調べたいシーンで広く使われますが、特に社会調査、市場調査、ES調査(従業員満足度調査)などが代表的です。
意識調査で得られるデータ
意識調査ではどのようなデータが得られるのでしょうか?
もし自社のWebサイトや出店しているECサイトがあれば、PV、CTRや購入履歴などの情報を取得することができるので、あらためて意識調査は不要だと考える人もいるかもしれません。
ただし、機械的なログで読み取れる情報は限定的で、直接的な施策や改善に結びつかないこともあります。
ユーザーが「どのような心理で購買を決定したのか」「どのような期待感を持っているのか」といった意識・心理は数字には現れにくいため、アンケートなどの方法で意識調査を行うと思いがけない気付きが得られることもあります。
調査内容によりますが、例えば「商品やサービスをなぜ購入・利用しようと思ったか」「商品を最初に見たときの印象」「初めて使用した後の感想」といったデータを集計することもあります。
意識調査のメリット・デメリット
意識調査のメリットとデメリットにはどんなものがあるのでしょうか?
メリット
ビジネスにおける意識調査のメリットは、行動や数値だけでは把握できない人の意識や心理を通じてインサイトを得られるという点です。
自社で行う調査は基本的に自社だけのものですので、調査で得られた示唆は競合の知らない大きなヒントとなります。上手に使えば、市場から一抜ける商品開発や商品の改善につなげることができるでしょう。
デメリット
一方デメリットは、調査の種類により実施から集計までに多大な時間を要するという点と、データの解釈に知識、センス、経験が問われることもあるという点です。
自社で行う一次調査の場合、どうしても調査設計から実施、分析と工数を要します。調査の規模が大きいほど調査自体に時間がかかってしまうのはリサーチ全般に言えることです。
さらに、取得したデータをいかに読み解くかは調査の内容次第でマーケターの知識、センス、経験が問われてしまうこともあります。 データ分析や統計学などの知識に明るくないのであれば、思い切って専門のマーケティング会社や調査会社へ依頼することも検討してもよいかもしれません。
意識調査の活用事例
意識調査の実際の事例
infoQは2020年6月、会員2756名に在宅勤務に関するアンケートを実施しました。
詳しい内容はこちら
まず、勤務先で在宅勤務を実施しているかどうかについて。 緊急事態宣言が発令された2020年4月7日(火)~2020年5月25日(月)の間、「勤めている企業で在宅勤務が実施され」たと回答した人は58%、「在宅勤務なし」と回答した人が42%となりました。
今後も在宅勤務を取り入れた働き方を希望するか」という質問に対しては、77%の人が「希望する」と回答。
そして、在宅勤務に賛成・反対と考えるそれぞれの理由については、以下のような意見がありました。
◆賛成派
- 通勤時間がなくなり、体力的・精神的にもストレスがなくなった
- 通勤時間が削減され家事や育児に注力できた
◆反対派
- 営業の効率が悪くなる
- 教育関係なので、教室で生徒と対面して授業を行いたい
これらの結果から、どのようなことが読み取れるでしょうか?
たとえば、8割近くが在宅勤務制度を継続していることから、もしコロナ禍が収束したからといって以前の体系に安易に戻せば、今後の人材確保が厳しくなる可能性があるかもしれません。
自由回答から、コロナ禍をきっかけとする在宅勤務の広がりは、ワークライフバランスの観点からは支持されているものの、生産性やコミュニケーションを課題に感じている人も一定数居るということが読み取れるかもしれません。 オンラインで仕事とコミュニケーションをいかに整えてゆくかは、業種や仕事内容に合わせた細かな微調整が必要かもしれません。
もっと深く知りたい場合は、業種や会社に合わせてどのような不安があるのか、どのような魅力を感じているのかなど具体的に仮説を立て改めて調査を行ってみるのも良いでしょう。
意識調査実施までの流れ
意識調査は一般的にどのような流れで実施されるのでしょうか?
具体的な流れはこのようになっています。
- 調査の企画・立案、仮説の設定
- 調査内容の決定・対象者選定
- 調査実施、集計・分析
- 納品・今後の方向性の明確化
1.調査の企画・立案、仮説の設定
まずは意識調査の企画・立案を行います。
このとき、以下の2つはチームで明確にしておきましょう。
- 意識調査を行うことでどんなことを知りたいのか(目的)
- この調査を実施することでどんな調査結果が得られるのか(仮説)
なぜなら、企画段階で目的と仮説が明確になっていなければ、調査実施後に膨大なデータを前に 「ここから結局何が言えるのだろうか?」
「さて、どんな改善施策がよさそうだろうか?」
と悩んでしまうことになりかねないためです。 企画段階では、必ず調査の目的と仮説を設定しましょう。
目的の例
目的は、なぜ調査を行うのか、どういうことを明らかにしたいのかを言語化したものです。
例えば、シニア世代の夫婦向けの健康商品市場やニーズを調べたいケースでは、具体的に以下のような目的を設定できるかもしれません。
◆意識調査の目的の例
- 健康商品の市場規模を把握したい
- シニア世代の夫婦が必要としている健康に関するニーズを把握したい
- 既存商品やサービスの販売価格の情報やプロモーション内容などを把握したい
仮説の例
仮説とは、調査目的に対して仮の答えを立てることです。
例えば、自社製品の売上が伸びず購入されない理由を調査したいケースでは、以下のような仮説を立てられます。
◆意識調査の仮説の例
- パッケージデザインが良くないのではないか
- 口コミの評判が良くないのではないか
- そもそもあまり知られていないのではないか
もし仮説を立てずに調査を行うと、全ての理由を広く浅く集めるために調査項目が多くなり、コストと時間が膨大なものになってしまいます。
仮説は、調査の焦点・方向性を定めます。 向かうべき方向が分かるため調査のコストダウンにつながるだけでなく、回答者への負担も減るために回答の質が高まります。
仮説を構築するときには、以下の2つを区別すると良いでしょう。
◆仮説の種類
- 現状仮説(このような実態になっているのではないか)
- 戦略仮説(このような施策が有効なのではないか)
2.調査内容の決定・対象者選定
目的と仮説が立てば、調査範囲や内容も定めることができます。
質問の内容や調査方法、対象範囲を具体的に決めます。 ただし、どのような質問を誰に、どのぐらいの量で、どのような順番で……とすべて効果的に設計するには専門的な知識が必要です。より正確な情報を求める場合は、この段階で専門の会社に相談することも念頭に置くべきでしょう。
調査内容を決定できれば、次に対象者となる人を集めます。 自社サイト等で会員登録制度がある場合は、商品やサービスに認識がある会員の中からスクリーニング(絞り込み)とリクルーティング(招集)を行うこともできます。
スクリーニングを行う場合は会員の属性情報やサイト内での行動・態度履歴情報(商品に対する認知、利用中・非利用等)などの情報を元に絞り込みます。
3.調査実施、集計・分析
調査を実施した後は、調査結果を整え集計・分析します。 調査会社へ依頼した場合は最終的に調査結果のローデータやレポート等が納品されます。
集計は、単純集計やクロス集計で行われるのが一般的ですが、目的や仮説に応じて、専門ソフトを用いた分析も活用すべきです。
4.納品・今後の方向性の明確化
納品された調査結果をもとに、最初に設定した調査目的を達成するための次の行動を計画します。 新たな仮説を検証するために、再度調査を行う場合もあります。
意識調査を活用するためのポイント
意識調査の結果を効果的に活用するにはどうすれば良いのでしょうか? ポイントは2つあります。
ポイント1. 調査の目的・手に入れたい情報を明確にする
まずは、調査を実施する前に調査の目的と手に入れたいデータは明確にしておくべきです。
意識調査でよくある失敗例は、意図が不明瞭のまま「とりあえず」専門企業へ調査を依頼し、結果や分析データを見てから自社の課題や改善点を見つけようとするケースです。 明確な目的がない状態で調査を実施しても、最適な解決策を見出せることはほぼありません。
できれば、意識調査を実施することが決定した段階で、自社の現状や製品の業界における立ち位置をあらためて把握しておくとなお良いでしょう。 今まで企業が認識していた現状や立ち位置と実際の調査結果でズレが発生した場合、企業方針や商品開発案の軌道修正が必要になります。
ポイント2.調査結果をフィードバックする
意識調査が完了した後は、可能ならば協力してくれた従業員や対象者などへ対し、調査結果をどのように受け止めたか、今後どんな施策を取るのかを何らかの形で伝えていくと良いでしょう。
というのも、例えば企業内で行われる意識調査の場合は、経営陣や人事関係者が現状を把握し施策を考えるためのデータ取得が目的で実施されることが多く、現場に調査結果を知らせない企業も多く存在します。 回答した調査結果がどんなものだったのか、何のレスポンスやフィードバックがないと従業員の不満に繋がりかねません。
この場合は、社内報やポータルサイトで調査結果の報告と施策の共有を行えると良いですね。 製品などの場合は調査対象者を招集したWebサイトなどで調査結果の共有できるかもしれません。
まとめ
意識調査は多くの対象向けに広く使える調査です。 目的と仮説を設定し調査設計を行うことで、確実な施策に繋げることが出来ます。
ただし、調査にはコストと時間がかかります。一回の調査をしっかりと役立てるためには、リサーチの専門知識を持つ人を企画の時点からチームに迎えておくべきです。 自社に相当するメンバーが居ない場合は、専門の調査会社に相談するのも有効です。
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