環境分析とは?フレームワーク・事例までわかりやすく解説
2023年01月27日

環境分析は、企業を取り巻く経営環境を分析することです。
経営環境は、内部環境(社内の環境)と外部環境(社外の環境)に分けて考えられます。
◆経営環境
内部環境 | 自社でコントロール可能な経営資源 例:自社の経営戦略、人的資源、製品特性 など |
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外部環境 | 自社に影響を及ぼす可能性のある外的要因 例:顧客、競合企業、社会情勢 など |
環境分析では、内部環境と外部環境を効率的に分析するために、それぞれ適したフレームワークが用いられることが一般的です。フレームワークの代表例には、PEST分析、5F分析、3C分析、SWOT分析があります。
この記事では、環境分析の意味と用いられるフレームワーク、さらに環境分析を行うときの注意点について、具体例とあわせて解説します。
環境分析とは「企業を取り巻く、内外の経営環境を分析すること」
企業の内部・外部の経営環境を分析すること
企業活動では、顧客の求めているものを、競合企業の商品・サービスよりも良い状態で提供することが理想です。
そのためには、自社・市場の現状や商品・サービスの特徴を見極め、洗い出すことで、理想的なマーケティングや経営を実現することを目指す必要があります。
環境分析は、このように自社と自社を取り巻く環境を見極めるために実施されます。そのため、基本戦略の立案や施策実施の前段で行うことが有効です。
なお、環境分析は、大きく分けて内部分析と外部分析の2つに分けられます。
◆環境分析
内部分析 | 企業内部の環境(自社商品や売り上げなど)を分析 例:3C分析のうちCompany(自社)、SWOT分析 |
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外部分析 | 企業外部の環境(市場規模や競合先など)を分析 例:PEST分析、5F分析、3C分析のうちCustomer(顧客)とCompetitor(競合) |
環境分析で用いられるフレームワーク
環境分析では、さまざまなフレームワークが活用されます。
分析したい内容に応じ、最適なフレームワークを選択することが重要です。
ここでは、環境分析でよく用いられる代表的なフレームワークを4つ解説します。
1.PEST分析
PEST分析は、外部環境を以下の4要因に分類し、自社に与える影響を分析するものです。
- Politics(政治)
- Economy(経済)
- Society(社会)
- Technology(技術)
外部環境のうち、マクロ分析に向いています。
◆ミクロ環境とマクロ環境
ミクロ環境 |
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マクロ環境 |
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2.5F分析
5F分析は、自社を取り巻く環境要因を、以下の5つの要素に分けて分析するフレームワークです。
- 競合他社の脅威
- 代替品の脅威
- 新規参入者の脅威
- 買い手の交渉力
- 売り手の交渉力
5F分析で自社を取り巻く環境要因を分析することで、市場の収益構造や競合優位性、自社の収益性を把握できます。
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3.3C分析
3C分析は、以下の3要素から、自社を取り巻く環境を分析するフレームワークです。
- Customer(顧客・市場)
- Competitor(競合)
- Company(自社)
これらの3指標それぞれを分析し、KSF(Key Success Factor:成功要因)を見つけ、事業成功に向けたマーケティング施策の方向性を発見することを、目的としています。
4.SWOT分析
SWOT分析は、縦軸を「内部環境」と「外部環境」、横軸を「プラス要因」と「マイナス要因」に分けて分析するフレームワークです。
4つの要素は、それぞれ
- Strength(強み)
- Weakness(弱み)
- Opportunity(機会)
- Threat(脅威)
で、マーケティング戦略立案において、初期段階の環境分析によく使われます。
シンプルで取り組みやすく、自社独自の見解が得られやすいことが特徴です。
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環境分析の具体例|不動産業界・航空業界のケース
これまで環境分析の意味やフレームワークを解説してきましたが、環境分析を行った具体例を示した方が、環境分析の意味がよりわかるはずです。
ここでは、環境分析の具体例として、不動産業界と航空業界の事例を解説します。
事例1.不動産業界
不動産業界にて、環境分析としてSWOT分析を行った事例を解説します。
この物件は、最寄り駅から徒歩圏内であるファミリー向け物件で、SWOT分析の結果は以下のとおりです。
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ただ、ファミリー向け物件として考えると、手狭であることは懸念点です。
また、子育て世帯が増加している地域に立地しているため、子育て世帯に明確にターゲット設定を行い、利便性の高さをアピールできるかがポイントになると考えられます。
一方で、周辺で新たなファミリー向け物件が建設されていることと、近隣の公園がなくなるとの話も出ていることには、注意が必要です。
場合によっては、リフォームや値下げなどの施策を検討しなければならないかもしれません。
事例2.航空業界
航空業界にて、環境分析として5F分析を行った事例を解説します。
業界内の競合 |
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代替品の脅威 |
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新規参入者の脅威 |
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買い手の交渉力 |
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売り手の交渉力 |
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また、航空機や燃料は海外からの輸入に依存しているため、物価上昇や円安の影響を受けやすいことにも注意しなければなりません。
対策としては、鉄道や観光地などとのコラボレーションなど、新たな付加価値を付けたプロモーションが考えられます。
また、燃料の仕入れ先を複数確保するなど、必要な資機材を確実に確保することも必要です。
環境分析を行うときの注意点
環境分析は、マーケティングや企業経営に大いに役立ちますが、正しく行わないと効果を発揮しません。環境分析を行うときの注意点を2つ解説します。
本質的な要因まで考察する
環境分析を行う際には、事実を明らかにするだけではなく、顧客心理や社内の経営状況など、事象の本質的な要因を把握することが必要です。
以下に2つ、本質的な要因を理解せずに失敗した事例を示します。
◆例1:ハンバーガーチェーン店
市場調査結果 | そのお店を利用しない人の多くは、健康面を気にしてハンバーガーを食べないと回答 |
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実施施策 | そのお店を利用しない人を取り込むべく、野菜を多く使った新メニューを考案 |
結果 | 実際に店舗を利用する顧客の多くは健康面を気にしておらず、さほど新メニューは売れなかった |
本質的要因 | 健康よりも食べごたえを重視する顧客を取り込む施策を強化すべきだった |
◆例2:土木事業団体
市場調査結果 | 関連企業が女性社員向けの施策を行っていた |
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実施施策 | 新卒の女性社員を採用できるよう、女性学生向けのインターンに力を入れた |
結果 | 現場作業も多く元々志望者が少なかった上、女性社員の受け入れ体制も整備されておらず、効果はほとんどなかった |
本質的要因 | そもそも、女性社員の数を増やすべきかどうか検討すべきだった また、会社の給与体系や転勤など、既存社員が長く働きやすく、かつ応募が増えるような社内体制を整備しなければならなかった |
継続的に実施する
マーケティング市場は日々変化し続けているため、かつての成功事例がいつまでも通用するとは限りません。特に昨今は、情報収集手段が多様化しており、トレンドやニーズの変化がより早まっています。
先行者利益を得るためにも、外部・内部の環境変化に応じて環境分析を継続的に実施し、ニーズにいち早く対応していくことが重要です。
まとめ
環境分析は、基本戦略の立案や施策実施の前段階で、企業内外の経営環境を分析するものです。現状や長所・短所を見極め、顧客の求めているものを競合企業のサービスよりもいい状態で提供するために有効です。
環境分析に有効なフレームワークにはさまざまな種類が存在しますが、目的に応じた最適なフレームワークを選びましょう。 その際には、本質的な要因まで考察することと、継続的に実施していくことが大切です。
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