【自主調査】ポストコロナ時代のオンラインゲーム市場とは?最新調査をもとに考察
2023年07月28日
感染症の流行により、働き方から娯楽まで、多くのコミュニケーションがオンラインで行われるようになりました。なかでも現在、勢いを増しているのがオンラインゲーム市場です。
オンラインゲームには、パソコンや据え置き型のゲーム機でじっくり楽しめるものもあれば、スマートフォンやタブレットで手軽に楽しめるものもあり、さまざまなデバイスで親しまれています。年齢問わず、多くの方が、何かしらのゲームプレイ経験があるのではないでしょうか。
今回GMOリサーチ&AIでは、日本のオンラインゲーム愛好者に焦点をあてた調査を実施しました。ユーザーの特徴やデバイスごとの楽しみ方の違いなどをもとに、ポストコロナ時代のオンラインゲーム市場について考察します。
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今回はオンラインゲームを対象とした調査を紹介しましたが、GMOリサーチ&AIでは多数の市場調査を実施しています。
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コロナ禍を通じて広まった”オンライン化”
総務省「令和3年版 情報通信白書」によると、流行直後の2020年第2四半期(4-6月期)には、世界的に見ても外出行動が大幅に抑制されていたことが明らかになりました。
日本でも、政府から「非対面・非接触」「三密の回避」が打ち出されていたことは記憶に新しいのではないのでしょうか。感染症の流行は、多くの人の行動に変化をもたらしたといえます。
引用:総務省「令和3年版 情報通信白書」
外出行動が減少した一方で、違う行動が急激に活発化しています。
総務省が実施した調査「我が国のインターネットトラヒックの集計・試算」によると、月別の平均トラフィックは、2019年11月から2020年11月にかけて、56.7%増加しました。例年の増加率は年間2割前後だったため、より顕著に増加していることがわかります。
引用:総務省「令和3年版 情報通信白書」
インターネットトラフィックとは、インターネットなどの通信回線にて送受信されるデータ量を指します。つまり、インターネットを介したやりとり、いわゆるオンライン上での行動が増加したと考えられます。
では実際に、どのようなシーンでオンライン化が進んだのか、三つの観点で整理していきましょう。
働き方のオンライン化
オンライン化への変化が顕著に見られたシーンの一つが、働き方です。
パーソル総合研究所が行った調査によると、コロナ第一波の時期に相当する2020年の3月から4月にかけて、テレワーク実施率は13.2%から27.9%まで増加しています。2022年2月末をピークに減少傾向も見られるものの、2022年7月時点では25.6%と、第一波初期と比較しても約2倍ほどの実施率となっています。
このことからも、感染症流行が契機となってテレワークの実施が普及したことがわかります。また、緊急事態宣言などを経てウィズコロナ時代に突入してからも、テレワークを継続している企業が多いようです。
引用:パーソル総合研究所「第七回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する調査」
企業で実施される集合研修においても、オンライン化の傾向が見られます。
パーソル総合研究所が2021年に行った調査によると、この1年でオンライン集合研修を増やした企業の割合は、75%に達しました。非接触・非対面の推奨を受けて、オンライン形式へと切り替えた企業も多いのではないでしょうか。
引用:パーソル総合研究所「コロナ禍における研修のオンライン化に関する調査」
ポストコロナ時代に突入した今でも、テレワークやオンラインでの研修は実施されています。感染症の流行を契機に変化を見せた働き方ですが、以前の形に戻るのではなく、新しいオンライン化に世の中が順応していく形となっているようです。
コミュニケーションのオンライン化
ウェブ会議やリモート授業を筆頭に、コミュニケーション手段もオンライン化しました。
文化庁の調査では、PCやスマートフォンを用いたコミュニケーションを経験したことのある人は、全体の約半数までにのぼることが明らかになりました。また、若い世代ほど割合が大きいことも読み取れます。
これらのツールはコロナ禍以前にも使われていましたが、若い世代を中心に、幅広い年代にてオンラインでのコミュニケーションが行われていることがわかります。
引用:第一生命経済研究所「コミュニケーション志向の変化~新たなコミュニケーション手段の拡がりのなかで~」
娯楽のオンライン化
買い物や娯楽など、消費行動にも変化が見られました。
総務省が行った調査によると、緊急事態宣言発令時(2020年と2021年の各2回)に利用したサービスとして、以下のような回答が集まりました。インターネットショッピングや電子マネー決済などの買い物に関する行動に加え、ネット動画配信やゲーム、電子コミックなどの娯楽に関する行動も、広くオンラインで親しまれているようです。
引用:総務省「令和3年版 情報通信白書」
【自主調査】ポストコロナ時代のオンラインゲーム市場はどうなる?
前章では、娯楽がオンライン化していることについて触れました。ここでの「娯楽」を音楽/動画配信・ゲーム・電子コミックなどとすると、現時点でこの分野を牽引しているのはオンラインゲームであると推察されます。
経済産業省が2021年に行った調査によると、オンラインゲームのデジタル系分野でのEC市場規模は16,127億円で、全体の半分以上を占めていることがわかります。
引用:経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査」
さらに、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが行った調査によると、2013年から2020年にかけてオンラインゲーム市場規模は約1.7倍に増えており、市場が年々拡大していることもわかります。そのため、今後も市場規模は拡大し続けていくことが予測されます。
引用:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「オンラインゲームの動向整理」
今回GMOリサーチ&AIでは、オンラインゲームの愛好者を対象に、ゲームの普及率やプレイ状況・目的、人気のジャンルなどについて、年代・性別・課金の有無などの観点から調査しました。調査結果をもとに、ポストコロナ時代のオンラインゲーム市場について推察していきましょう。
オンラインゲームの普及率|男女問わず、幅広い年代が楽しむ傾向
まずは、男女・年齢別のゲームの普及率を見ていきましょう。
スマートフォンやゲーム機器などの電子デバイスでゲームをプレイしている人は全体で56%と、二人に一人の割合で何かしらのゲームをプレイしていることがわかりました。
年齢別に見ていくと、16歳から49歳までの年代では、ゲーム普及率は50%を超え全体平均を上回っていますが、50-60歳の年代は4割に満たないことも明らかになりました。幅広い世代で楽しまれているオンラインゲームですが、若い世代のほうが親しんでプレイしているようです。
デバイス別に見るゲーム市場動向|スマートフォンでのゲーム普及が圧倒的、手軽さが人気の秘訣か
続いて、デバイス別の普及率を見ていきます。どの年代でもスマートフォンでの利用が最も多く、全体の8割以上に広まっていることがわかりました。
デバイス別のプレイ時間を見ると、平日と休日で差異が見受けられました。
平日の平均プレイ時間を見ると、一番長いのはスマートフォンで平均1.77時間でした。一方休日になると、一番多いのはゲーム機で、平均2.56時間という結果が得られました。
平日は通勤・通学の最中や休憩時間など、スキマ時間にスマートフォンでさくっとゲームを楽しんでいる方が多いのではないでしょうか。どこでも持ち歩くスマートフォンにアプリをインストールするだけで楽しめる手軽さが、高い普及率の要因になっていると考えられます。
オンラインゲームに求めるのは何か|リラックス、暇つぶし目的が最多
スマートフォンを中心に広く親しまれているオンラインゲームですが、何を求めてプレイする人が多いのでしょうか。オンラインゲームをプレイする目的について、それぞれ当てはまるもの、そうでないものについても調査しました。
ゲームプレイの目的として、リラックス・暇つぶしを挙げる人がどちらも4割を超えており、最も大きい割合を占めています。一方、ゲームをプレイする目的に当てはまらないものとして、「ゲーム内プレイヤーとの交流」、「他のプレイヤーとの協力・競争」、「家族・友人と楽しむ」などが挙げられました。このことから、ゲームでは他者との交流を目的とするのではなく、「個」として楽しむことに主眼が置かれていると推察されます。
年代別に見てみると、また違った傾向が見られました。
多くの世代が「リラックス」「暇つぶし」を重視しているのに対し、若い世代(16-29歳)は「リラックス」に加えて「探索」「達成感」を重視する割合が高く、単なる時間つぶしではない楽しみ方を求めているようです。
人気なゲームジャンル|使うデバイスによって異なる傾向
続いて、ジャンル別に人気の傾向を見ていきましょう。
デバイスを問わず最近プレイしたゲームについて聞いた質問の結果をまとめると、総合的に最も人気のあるゲームのジャンルは「パズル・頭脳ゲーム」で、約3割の人に支持されていることがわかりました。
そのあとには「ロールプレイングゲーム」「シミュレーションゲーム」と続いており、手軽に遊べるパズル・頭脳ゲームを筆頭に、やりこみ要素のあるゲームも一定の人気を得ていることがわかります。
直近1か月にプレイしたゲームについて、プラットフォーム別でも見てみましょう。
スマートフォン、パソコン、タブレットにてプレイしたゲームとして、多くの人が「パズル・頭脳ゲーム」を挙げています。一方で、ゲーム機では「パズル・頭脳ゲーム」はランクインせず、かわりに「ロールプレイングゲーム」が34.3%と、突出した人気を見せました。
ロールプレイングゲームは、ストーリーに沿った「冒険」「探索」「戦闘」など、多くの要素を含んでいます。そのため、スキマ時間で手軽にプレイできるスマートフォンではなく、じっくり腰を据えて楽しめるゲーム機でのプレイが主流なのではないでしょうか。
先述している平日と休日でのプレイ時間比較においても、休日に長くプレイされているのはゲーム機でした。時間をかけてやりこむ「ロールプレイング」は、ゲーム機との親和性が高いのかもしれません。
ダウンロードや購入のきっかけ|友人・知人の勧めが大きく影響
次に、ゲームに関する情報をどのように得て、ダウンロードや購入に至っているのか見ていきます。
きっかけとして最も多いのが「友人・知人の推薦」で36.7%でした。Webストアの推薦よりは、知っている人がゲームを楽しんでいる様子を見たり、同じ楽しみを共有したいと思う気持ちがダウンロードや購入につながるのかもしれません。
次に主なゲームの情報源について、年代別に違いを見ていきましょう。どの世代でも、「アプリストア、オンラインゲームストアの推薦、ランキング」「友人や親戚からの推薦」がランクインしていました。
そのうち若い世代(16-19歳)では、インフルエンサーや有名人のプレイをきっかけにダウンロード・購入する人が21.0%を占めていました。ネット動画配信(YouTube、Twitchなど)が普及し、ゲーム実況なども一つのコンテンツとなった今、広告やレビューサイト以外から情報を得る選択肢が生まれているようです。
【自主調査】課金タイプ別で見るゲーマーの特徴
次に、デバイス別の課金者の割合と課金者の平均課金額を見てみましょう。
直近1ヶ月のデバイス別課金率では、ゲーム機が最も高く(約39%)、次いでスマートフォン(約24%) 、パソコン(約22%) 、タブレット(約15%)と続きました。
また課金した人のうち直近1か月間での平均支出額を見ると、最も多いのがゲーム機(3,057円)で、課金者の割合が最も高い「ゲーム機」が平均支出額でも一番高額となりました。
ここまでオンラインゲームの普及や情報の得かたについて年代や性別ごとに見てきましたが、ゲームジャンルや課金者割合が大きく異なることからも、違った視点で分析すると、また新たな知見が見えてくると想定されます。
本章では、課金タイプ別でセグメントを定義したうえで、それぞれの特徴を詳しく見ていきます。
▼セグメント定義
- Free Gamers(66.8%, n=261):プレイするいずれのデバイスでも、課金しない
- Light Gamers(19.0%, n=74):プレイする一部のデバイスでは、課金している
- Hardcore Gamers(14.3%, n=56):プレイする全てのデバイスで、課金している
課金タイプ別の普及率|Light Gamersは多くのプラットフォームでゲームを楽しむ傾向
それぞれのセグメントごとに、デバイス別のゲーム普及率を見てみましょう。
Light Gamersは、他セグメントと比較してみると、どのプラットフォームにおいても普及率が高いことがわかりました。つまり、Light Gamersはさまざまなプラットフォームでゲームをプレイする傾向にあるようです。
一方で、Hardcore Gamersは、全体平均よりも普及率が低いデバイスもありました。このことから、特定のプラットフォームに絞ってゲームを楽しむ傾向が読み取れます。
ゲームのプレイ時間|Hardcore Gamersが最も長い
次に、プレイ時間について見ていきます。
プレイ時間については、平日、休日ともに、Hardcore Gamersが最も長い傾向にあります。
Light Gamersは、平日にスマートフォンゲームをプレイする時間が最も長いグループで、パソコンでのゲームプレイ時間は平日、休日ともに最も短いのが特徴といえそうです。
人気なゲーム|属性によってかなり異なる
次に、属性別の人気ゲームを見ていきましょう。
Free Gamersでは、「パズル/頭脳ゲーム」が33.8%と最も人気があり、2番目以降との間に大きな差をつけています。Free Gamersは40代~60代が多く、この年齢層にはパズル・頭脳ゲームが人気といえます。
一方で、Light GamersとHardcore Gamersは「アクションゲーム」「ロールプレイングゲーム」を好む傾向にあります。
前述した普及率やプレイ時間の結果とも照らし合わせると、Hardcore Gamersは好みの特定のプラットフォームで頻繁に課金しながら、時間をかけてゆっくりゲームを楽しむことが多いようです。
課金のタイプ別で見るやってみたいゲームの特徴
以上のことからそれぞれのタイプのゲーマーがどのようなゲームを求めているか、を整理してみます。
▼Free Gamers:プレイするいずれのデバイスでも、課金しない
- ジャンル:パズル/頭脳ゲーム
- スマートフォンで短時間で楽しめる
Free Gamersはゲームにやりこむ要素は求めておらず、暇つぶしや気分転換の手段としてゲームをプレイする傾向にあります。平日の移動時間など、手が空いた隙に短時間で一区切りつくゲームが求められているようです。
▼Light Gamers:プレイする一部のデバイスでは、課金している
- ジャンル:アクションゲーム
- 年齢層が低い傾向にあるので、過度な刺激はニーズに合わない可能性
Light Gamersは、他のセグメントと比べると年齢層が若めのグループです。課金は行っていますが一部のデバイスのみで、自由に使えるお金も制限されていることが多いと思われます。重課金が必要なゲームではないが、適度にやりこむ要素のあるゲームが求められているようです。
▼Hardcore Gamer:プレイする全てのデバイスで、課金している
- ジャンル:ロールプレイングゲーム
- 長時間プレイできるもの
Hardcore Gamersは自分好みの特定のプラットフォームで、長時間ゲームを続ける傾向にあります。空いた時間にサクッとプレイできるゲームではなく、じっくり腰を据えて考えながらやりこめるゲームが求められているようです。
まとめ|ゲーマーの趣向に寄り添うことで、オンラインゲームは今後もさらに伸びる
感染症流行を一つのきっかけとして、オンラインゲーム市場は年々盛り上がっており、今後も伸びていくことが予想されます。また「ゲーマー」と言ってもその楽しみ方は様々で、ある人にとって楽しいゲームが他の人にとっても楽しいとは限りません。
「何がきっかけでゲームを始めるのか」「どうやって/どのくらい課金するのか」といった点に留意することでユーザーの趣好をつかむことができれば、今後のオンラインゲーム市場はさらに拡大していくのではないでしょうか。
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調査概要
詳細:2023年4月 日本の最新状況 日本のオンラインゲーム愛好者の特性
調査方法:Z.com Engagement Labでオンラインアンケート
調査期間:2023年4月1日〜4月6日
有効回答:700件
調査対象:16〜60歳の日本のインターネット利用者
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