パネル調査とは?メリット・デメリットや活用法 注意点を解説
2021年07月12日
「パネル調査」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
パネル調査は、消費者の動向の変化や商品の販売推移を知るのに適した調査です。
自社で調査を実施すれば、他社に無い貴重な一次情報を手に入れることができます。
本記事では、パネル調査の概要やメリット・デメリット、注意点について解説します。
パネル調査とは?
パネル調査とは、同じ対象に同じ質問をに、一定期間のあいだに何回も行う調査方法です。
一般的にアンケート調査といえば、「調査のたびに回答対象者を募集する」というイメージが強いと思います。
こういった「調査の設計、実施、集計、分析が一回で完結する」調査はアドホック調査と呼ばれ、パネル調査とは区別されます。
パネル調査は、調査対象を固定化(パネル化)することに大きな特徴があります。
同じ調査を同じ対象に何度も行うため、消費動向や販売推移、消費者のメディア接触の傾向といった時系列による変化を正確に捉えることができるのです。
◆ポイント
対象の変化を時系列で把握しやすい特徴がある。
パネル調査を行う期間は、調査内容によっても異なりますが数ヶ月~数年間程度。
時系列での分析を行うために、半年程度はリサーチを行うのが一般的でしょう。
パネル調査を行う目的
ビジネスにおけるパネル調査の一番の目的は、なんといっても調査結果をもとにマーケティング戦略を練ることでしょう。
例えば、消費者が冷蔵庫を購入する場面を想定しましょう。
パネル調査で聞き取れることは多くあります。
例えば、ターゲットとなる属性の平均的な家電の買い替えスパンや、どれぐらいの割合の人がブランドをスイッチしているのかといった情報は直接的にマーケティングに役立つデータの一つですね。
パネル調査のメリットとデメリット
パネル調査のメリットとデメリットはそれぞれこのようにまとめられます。
◆パネル調査のメリット
- 対象の変化を時系列で調査することができる
- 基礎情報の取得を省き、効率よく調査できる
- リクルーティング(対象者の確保)の労力が少ない
◆パネル調査のデメリット
- 必要数以上の調査回答者を確保しなくてはならない
- 単発調査よりもトータルの時間とコストがかかりやすい
まずはメリットから見てみましょう。
メリット1. 対象の変化を時系列で調査することができる
パネル調査は数ヶ月~数年の長い期間、継続的に調査を行います。そのため、単発調査では得られない「時系列で精度の高いデータを取得することができる」という大きなメリットがあります。
例えば、商品の購入頻度の聞き取りをしたい場合、単発調査でも「前回同様の商品を購入したのはいつですか?」といったアンケート項目を設けることは出来ます。しかし、過去になればなるほど対象者が覚えていなかったり不正確だったりして、正確なデータを取るのが難しくなります。
パネル調査は長いスパンで調査を何回も行うため、、「現在」にフォーカスした精度の高い情報を得ながら、時系列で比較することが可能です。
メリット2. 基礎情報の取得を省き、効率よく調査できる
パネル調査で長期間にわたり同じ対象者に調査を行います。そのため一度最初に基本情報を取得すれば再度基本情報を取得する作業を行う必要がないため、効率的に調査を行うことができます。
一方、アドホック調査のように単発の調査を実施するのであれば、その都度対象者の基本情報を取得する作業が必要となるので手間がかかってしまいます。
メリット3.リクルーティング(対象者の確保)の労力が少ない
調査にあたり大変なポイントの一つに「調査対象者を集める=リクルーティングが大変」と言われることがあります。
例えば「60歳以上で、海外駐在経験があり、3ヶ国語以上をビジネスレベルで扱うことができる男性」を対象に調査したいと思ったとして、具体的にどう探せばいいのか、どうすれば質のいい回答者が集まるのかといったことは、たしかに考えにくいのではないでしょうか。
パネル調査は複数回に渡る調査ですが、リクルーティングは最初の一回のみなので、得られる調査データの量や質に対して回答者確保の労力が少ないというメリットがあります。
次は、デメリットを見てみましょう。
デメリット1.必要数以上のパネルを確保しなくてはならない
パネル調査の期間は長期に及ぶため対象者アンケートに協力する回答者の負担が大きくなり、どうしても単発調査以上に途中離脱が多く発生してしまいます。
途中離脱を見越して、最初に必要数以上に対象者を多く確保しておかなければならず、そのためのコストが増してしまうというデメリットがあります。
デメリット2.単発調査よりも時間とコストがかかりやすい
パネル調査の実施期間は長期間に及ぶため、その分時間やコストがかかります。
単発調査ならば、一度アンケートを実施すれば終了となりますが、パネル調査ではアンケートを実施、対象者の動向調査を継続的に行う必要があるのです。
短いトレンドに左右されないような中長期的な示唆を得ようとするほど、時間もコストもかかりやすくなります。
パネル調査のマーケティング活用方法
パネル調査は実際のところ、どのようにマーケティングに活用できるのでしょうか?
活用法1.マーケティング戦略を練る
調査結果を活かし、マーケティング戦略を練ります。
マーケティングで大切なのは、どのような層をターゲットにどのようなポジションを取りに行くかという戦略です。
パネル調査で一定期間内のデータの推移を取得すると、ターゲットの行動・性質の変化を知ることに役立ちます。特に、特定時期に合わせたマーケティング戦略を立てる際に有効活用することができます。
活用法2.開発計画を立てる
パネル調査では消費者が商品を買い替えるタイミングやスパンを把握することができるので、新製品やモデルチェンジを発表すべきタイミングを知ることができます。
消費者がちょうど欲するタイミングから逆算して開発の計画を立てれば、より効果的な売出しや訴求に合わせた製品開発も可能になります。
活用法3.広報活動に活用する
自社商品への評価を把握することで、商品の広報活動を行う際のセールスポイントを明確にすることができます。
場合によっては、自社では強みとして捉えられていなかったポイントが魅力になりえるという発見もあるかもしれません。(もしくはその逆で、自社で考えていたセールスポイントが市場には受け入れられていなかったという発見もあるかもしれません)
パネル調査の結果は広報活動にも大いに役立てることができます。
パネル調査の注意点
パネル調査を成功させるために、注意しなければならないポイントがあります。
特に注意すべきポイントは、調査回答者の途中離脱と回答者の質です。
回答者の途中離脱
デメリットで解説したとおり、パネル調査において回答者の途中離脱は調査期間が長くアンケートの負担が大きいという特性から完全に避けることは難しいものです。
パネル調査では、何%かが離脱することを前提に調査設計を行い、なるべく回答者負担を押さえたり謝礼の支払い方を工夫するなど離脱の抑止対策を考える必要があります。
回答者の質
パネル調査は、同じ対象に同じ質問を何度も行うため、回答者の質が調査結果に直結します。
以下のような人はなるべく排除できるように調査設計を行いましょう。
◆パネル調査で避けたい回答者
- 重複登録している
- いい加減な回答をする
- 虚偽の回答をする
ただし、実際には調査対象者の質は見極めが非常に難しいものです。大きな会社でも調査設計は内製化してリクルーティングは調査会社に依頼するパターンも多くあります。
まとめ
パネル調査は、実際に調査を行うとなるとどうしても時間、コスト、知識が必要になってしまいますが、その分、マーケティング戦略や広報活動に直結する有益なデータを得ることが出来ます。
GMOリサーチ&AIでは独自のパネルネットワークを構築しており、日本で2,106万人、アジアで3,601万人ものアンケートモニターにリーチすることが出来ます。
- ESOMAR基準、JMRA基準に沿ったパネル品質の一元管理
- 定期的な不正回答者の排除機構
- 精度の高い重複モニター排除
- 全パネル横断の品質検証調査を実施
といったシステムを導入しており、高品質なパネルへの調査が可能です。
大規模な市場調査からニッチセグメントへのアプローチまで、正確で質の高いデータの取得を実現します。
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