ポートフォリオ分析とは?目的や注意点、活用事例などを解説

2021年11月19日

ポートフォリオ分析

「ポートフォリオ分析」は顧客の声を集計し、サービス改善策を検討する上で注力すべき範囲が明確になりやすいため、業務や事業改善に有効な手法です。 この記事では、ポートフォリオ分析の概要から、エクセルを用いた具体的な分析方法、実施上の注意点などを解説します。

ポートフォリオ分析とは?

ポートフォリオ分析
重要な2つの指標を軸とした二次元のグラフを作成し、4つのエリア(4象限)に分けることで、注力すべき範囲を選定する手法。

ポートフォリオ分析_四象限

ポートフォリオ分析は、例えば以下のような場面で活用されます。

  • 部門の売り上げと市場成長率を考慮し、資金を投入するか判断する
  • 顧客満足度調査の結果をもとに、製品やサービスの改善を行う
  • 「毎月の売り上げ」「新規顧客の開拓数」といった2つの軸をもとに、営業パーソンの成果を評価する

ポートフォリオ分析は主に顧客満足度調査で用いられることが多いため、今回は以下の2点に主眼を置いて解説します。

  • 総合顧客満足度を形成する具体的な要因は何か?
  • 各要因ごとの満足度が総合顧客満足度にどれほど影響を与えているか?

総合顧客満足度

ポートフォリオ分析が顧客満足度調査に有効な理由

ポートフォリオ分析では、総合顧客満足度に影響を及ぼす項目を優先度別に抽出できます。そのため、施策の改善に取り入れやすくなるのです。 製品やサービス、店舗に対する顧客満足度は、さまざまな要因により構成されています。

例えばスーパーマーケットのような小売業においては、以下の各項目が顧客満足度の構成要因となり得ます。

◆スーパーマーケットにおける顧客満足度の構成要因例

  • 料金設定
  • 品揃え
  • 内装
  • 接客態度
  • 店内の快適性(空調の温度など)
  • 立地

顧客満足度が低い場合は、上記の構成要因を改善する必要があります。

しかし、構成要因が総合顧客満足度に与える影響の大きさは、同じではありません。総合顧客満足度に与える影響が小さい要因もあるため、改善項目を正しく判断する必要があります。
このスーパーで「顧客満足度が低い」という問題が発生した場合、事業者は以下のような施策を検討するでしょう。

  • 価格を下げる
  • 品品揃えを豊富にする
  • 店員の接客態度を改善する
  • 店内を綺麗にし内装も変える

etc

しかし、限られた人員や資金の中ですべての施策は実施できません。そもそもこの中に顧客満足度を下げている本当の原因が含まれていないこともあり得ます。

このような場合に役立つのがポートフォリオ分析です。ポートフォリオ分析では、総合顧客満足度へ与える影響の大きさによって優先順位を定め、重点改善項目を抽出できます。

総合顧客満足度を下げている原因が「料金設定の高さ」だと判明すれば、その項目に絞って人員と資金を投入できるため、余計な労力を割かずに改善できます。

このように、総合顧客満足度に与える影響の大きさを見極め「重点的に改善すべき項目」を判断する際に、ポートフォリオ分析が役立つのです。

ポートフォリオ分析のベースとなったPPM

ポートフォリオ分析のベースとなっているのは「PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)」というフレームワークです。

PPMとは、グローバルコンサルティングファームであるボストン・コンサルティング・グループが1970年代に提唱したものです。 PPMをマーケティング仕様に応用させたものが「ポートフォリオ分析」です。

PPMでは事業を多角化するにあたり、経営資源を投入すべき分野(あるいは撤退すべき分野)を、縦軸を市場成長率、横軸を市場占有率として以下の4象限に分類し判断します。

市場占拠率

花形
市場成長率・市場占有率ともに高い分野。
現在利益を生み出しているだけでなく、今後の収益成長も期待できる。 ただし、市場成長率が高いゆえに他社との競争も激しい。 競争に勝つためには積極的な投資が必要。
問題児
市場成長率は高いが、市場占有率は低い分野。
市場成長率が高く競争が激しいため、現時点では収益は伸びていない。 市場占有率を高めて利益を伸ばすためには、余剰資金などの積極的な投資が必要。 成長することで「花形」「金のなる木」に発展することもあり得る。
負け犬
市場成長率・市場占有率ともに低い分野。
現在および将来的にも収益が見込めない分野のため、事業の廃止や撤退を検討する必要がある。 この事業を整理することで、将来性のある「花形」「問題児」への投資に回せる。
金のなる木
市場成長率は低いが、市場占有率は高い分野。
市場成長率が低く競合が少ないため、安定した収益を生み出せる。 積極的な投資は不要。 金のなる木で生み出した利益を「花形」「問題児」に投資することで事業全体の成長が期待できる。

ポートフォリオ分析における4象限の意味

PPMにおける4象限を、顧客満足度を調査するポートフォリオ分析に当てはめると、以下のようになります。

総合満足度への影響度

ポートフォリオ分析では、以下の2つの軸を用いてグラフを作成します。

  • 各アンケート項目ごとの顧客満足度
  • 総合顧客満足度への影響の大きさ

4象限における各項目の位置を把握し、優先順位をはっきりさせることで、顧客満足度を効果的に改善できます。

重点維持項目
各アンケート項目ごとの満足度が高く、総合顧客満足度への影響も高い箇所。
引き続き積極的に維持していくべき項目。
維持項目
各アンケート項目ごとの満足度は高いが、総合顧客満足度への影響は低い箇所。
水準を下げない程度に維持する必要がある。
改善項目
各アンケート項目ごとの満足度が低く、総合顧客満足度への影響も低い箇所。
この箇所を改善しても総合顧客満足度への影響は低いため、優先的に取り組むべきではない。
重点改善項目
各アンケート項目ごとの満足度は低いが、総合顧客満足度への影響は高い箇所。
優先的な改善が必要。

なお顧客満足度を計測することから、事業経営で活用するPPMと区別するために上記のような4象限を活用した分類を「CSポートフォリオ分析」と呼ぶこともあります。

ポートフォリオ分析の活用事例

国土交通省では「官庁施設の使い心地改善」を目的とし、平成16〜20年度の間に約80件に及ぶ顧客満足度調査を行いました。

  • 公的機関における窓口対応の改善
  • 公共施設における改善箇所の優先順位付け
  • 従業員満足度の測定および改善

今回は国土交通省が行なった顧客満足度調査の実例を紹介します。

国土交通省による官庁施設の顧客満足度調査事例

国土交通省では「官庁施設の使い心地改善」を目的とし、平成16〜20年度の間に約80件に及ぶ顧客満足度調査を行いました。

◆調査の目的

全国約80件の官庁施設の一般利用者および職員に対して「施設使用時の満足度」を調査し、各項目ごとの重要度を分析することで、今後の施設建築における参考とする。

職員は全員が回答者となり、一般利用者に対してはエントランスホールや待ち合わせスペースなどでアンケート用紙が配布されました。

アンケートの設問例は以下の通りです。

設問形式の例

引用: 官庁施設における顧客満足度調査結果の分析に関する調査研究

実際の調査では、各項目ごとでさらに細かい質問を設けています。

  • 執務室の雰囲気
  • 仕事のしやすさ
  • 収納スペース
  • 施設のレイアウト
  • 施設の外観および内観
  • 施設内の清掃状況
  • 駐車場について
  • 施設内の気温調節について
etc

分析結果

実実際の調査では、以下の4パターンで調査結果をグラフ化しています。

  • 合同庁舎の職員を対象とした調査
  • 合同庁舎の一般利用者を対象とした調査
  • 一般庁舎の職員を対象とした調査
  • 一般庁舎の一般利用者を対象とした調査

今回は「合同庁舎の一般利用者を対象とした調査」の分析結果を例としてご紹介します。

重要度と満足度の関係

引用: 官庁施設における顧客満足度調査結果の分析に関する調査研究

調査結果をもとにした具体的な改善策

グラフから左上の「優先改善項目」に分類された要素は以下6項目ありました。

  • 玄関雰囲気
  • 待合・窓口雰囲気
  • 駐車場
  • 施設までのアクセス
  • 建物周り雰囲気
  • 施設内移動行き先

しかし、6項目すべての改善は労力がかかるため、優先的に取り組む部分を定めます。
取り組む優先順位として高いのは、6項目の中で最も満足度が低い「駐車場」に関する項目です。

とはいえ駐車場はすでに場所が決まっているため、今後新たな官庁施設を建築する際の参考にするのが妥当でしょう。
「改善施策実行のしやすさ」という面では、次に満足度の低い「施設内移動行き先(施設内における移動のしやすさ)」に取り組むべきです。

合同庁舎には複数の官署が入居しているため、多くの市民や来訪者が利用します。 利用者の多い施設で「目的地に辿り着きにくい」という問題があるのは重大です。
そのため、施設内の移動しやすさは優先的に改善しなければなりません。 よって国土交通省では顧客満足度調査の結果をふまえ、「施設内移動行き先(施設内における移動のしやすさ)」を改善するため、以下の施策が考案されました。

  1. 誘導用ピクトグラムの設置方法を統一する
  2. 一般利用者用スペースを限定することで移動の動線を短くする

このように、各項目ごとの満足度(グラフ横軸)と総合顧客満足度への影響の大きさ(グラフ縦軸)の2軸をもとに優先度を定めることで、具体的な施策案まで検討できます。

エクセルでポートフォリオ分析を行う具体的な方法

ポートフォリオ分析はエクセルで実行できます。 実施手順は以下の通りです。

  1. アンケート調査を行う
  2. 各項目ごとの回答数を求める
  3. 「満足率」「重要率」を求める
  4. 満足率と重要率それぞれの平均と標準偏差を求める
  5. 満足率と重要率をもとに、「重要度」「満足度」を求める
  6. 満足度と重要度をもとにしてグラフを作成する
  7. 改善に取り組む優先度を検討する

ステップ1.アンケート調査を行う

顧客へのアンケート調査によって、自社サービスや製品に関する意見を収集します。 アンケートは2つに分けて収集します。

  1. 総合顧客満足度の収集
  2. 各項目ごとの満足度の収集

以下の2点を踏まえたアンケート設問とするのが理想です。

  1. 総合顧客満足度と各項目ごとの満足度の尺度は揃える
  2. 各アンケート項目は抜け漏れなく記載する
【総合顧客満足度の収集】
【総合顧客満足度の収集】 1.不満 2.やや不満 3.普通 4.やや満足 5.満足
製品Yに関して、各項目それぞれの満足度を以下の5段階でお答えください。
価格:1.不満 2.やや不満 3.普通 4.やや満足 5.満足 デザイン:1.不満 2.やや不満 3.普通 4.やや満足 5.満足 機能性:1.不満 2.やや不満 3.普通 4.やや満足 5.満足 *その他にも項目があれば質問項目として記載する

Webアンケートであれば、マトリクス形式がわかりやすいです。

設問選択肢

なお、今回は架空のスーパーマーケット「X」に関する顧客満足度調査を実施したと想定します。

ステップ2.各項目ごとの回答数を求める

アンケート項目ごとに収集した結果を表にします。

別のスペースに表を作成し、各アンケート項目ごとの回答数を記入します。

回答数

回答数の記入は、以下の関数を利用するとスムーズです。

使用する数式:=COUNTIF(範囲,検索条件)
範囲:アンケート項目ごとのデータ部分
検索条件:回答数を求めたい数字

例えば「回答者50人のうち、料金設定に関して ”5”の評価をした回答者数を知りたい」場合、以下の数式で算出できます。

=COUNTIF(B3:B52,5)

図

残りも同様に関数を記入します。この際の注意点は2点です。

  1. 各アンケート項目に適したセルを設定する
  2. 検索条件の数字は、回答数を求めたい評価に応じて変更する
    ”満足”の回答数→5 
    "やや満足”の回答数→4
    ”普通”の回答数→3
    ”やや不満”の回答数→2
    ”不満”の回答数→1

ステップ3.「満足率」と「重要率」を求める

次に「満足率」と「重要率」を求めます。満足率と重要率は、それぞれ以下の指標を求めるために必要な要素です。

満足率
各アンケート項目ごとの「満足度」を求めるための指標。 満足度を求めることでグラフの縦軸が決まる。
重要率
総合顧客満足度への影響の大きさを表す「重要度」を求めるための指標。 重要度を求めることでグラフの横軸が決まる。

新たなスペースに以下の表を作成します。

図12.png

上記の表では、5行目に「アンケート項目名・平均・標準偏差」、L列に「満足率・重要率・重要度・満足度」の見出しを記入しました。

なお、重要度を満足度の上に記入したのは、グラフ作成時を考慮してのことです。重要度と満足度の数値を範囲指定し散布図を作成すると、上段データが横軸に、下段データが縦軸となります。

満足率:各項目ごとに占める「満足」の割合
求め方:=”満足”の回答数を記入したセル / SUM(各項目ごとの評価を記入したセル範囲)

「満足の回答数を記入したセル」とは、回答者の中で”満足”と答えた人数のことを指しています。

=B58/SUM(B58:B62)

図13.png図14.png

重要率:各項目と総合評価の関係性
求め方:=CORREL(各項目の回答が記入されたセル範囲,総合評価が記入されたセル範囲)

「CORREL」とは、2変数間の相関係数を求める式です。相関係数を求めることで、2変数間にどの程度関係性があるのかを数値で判断できます。 例えば「料金設定の重要率を知りたい」という場合、以下の数式です。

=CORREL(B3:B52,$H$3:$H$52)

図15.png図16.png

 

同様の流れで表をすべて記入します。

ステップ4.満足率と重要率それぞれの平均と標準偏差を求める

算出した満足率と重要率をもとに、それぞれの「平均」と「標準偏差」を求めます。

◆平均の求め方

=AVERAGE(平均を求めたいセル範囲)

満足率の平均を求める場合、以下の数式となります。

=AVERAGE(M6:R6)

図17.png図18.png

◆標準偏差の求め方

=STDEV(標準偏差を求めたいセル範囲)

満足率の標準偏差を求める場合、以下の数式となります。

=STDEV(M6:R6)

図19.png図20.png

ステップ5.満足率と重要率をもとに「重要度」「満足度」を求める

満足率の標準偏差を求める場合、以下の数式となります。

重要度:総合顧客満足度への影響の大きさ
求め方:=(重要率-重要率の平均値)/重要率の標準偏差値*10+50

「料金設定の重要度」の場合、以下の数式です。

=(M7-$S$7)/$T$7*10+50

図21.png

図22.png

満足度:各項目ごとの満足度
求め方:=(満足率-満足率の平均値)/満足率の標準偏差値*10+50

「料金設定の満足度」の場合、以下の数式です。

=(M6-$S$6)/$T$6*10+50

図23.png図24.png

 

すべての手順を終えると、以下の表が完成します。

図25.png

ステップ6.満足度と重要度をもとにグラフを作成する

重要度と満足度の数値を選択し「挿入」バーから散布図を作成します。

図26.png図27.png

デフォルト状態では、どのプロットが何を指しているのかが不明です。

「グラフのデザイン→グラフ要素を追加→データラベル」を選択すると、好きな位置にラベルを設置できます。

図28.png図29.png

ラベルの名称は変更可能ですので、アンケート項目ごとに変更しましょう。

「軸ラベル」を選択すると、横軸・縦軸それぞれの名称を記入できます。

縦横を区分する線の挿入位置は「満足度と重要度それぞれの平均値」によって決まります。

今回であれば以下の数値です。

縦軸:満足度の平均=AVERAGE(M9,R9)=57.9331923
横軸:重要度の平均=AVERAGE(M8,R8)=39.29575186

図30.png

ステップ7.改善に取り組む優先度を検討する

作成したグラフを読み取り、改善に取り組むべき優先度を見極めます。
今回のグラフでは5項目も重点改善項目に当てはまっています。とくに「接客態度」は重要度の高さに比べ満足度が低いため、優先的な対策が必要です。

ポートフォリオ分析に便利なツール

エクセルと併せて、下記のような顧客の声を集計するツールなどを活用することで、ポートフォリオ分析に役立ちます。 ここでは代表的なポートフォリオ分析に役立つ便利ツールを3つ、簡単な特徴とともにご紹介します。

◆ポートフォリオ分析に用いるツール例

  1. smile survey
  2. 見える化エンジン
  3. commmune

1.smile survey

運営会社 株式会社イング
料金 月額40,000円(税抜)〜
特徴 目的に合わせてアンケートをカスタマイズ可能
作成アンケート数は無制限

smile survey」は、さまざまなテンプレートを駆使して、各社ごとにカスタマイズしたアンケートを作成できるツールです。 回答項目やデザインのカスタマイズに加えて、顧客会員データとの連携やサンキューメール送信機能など、アンケートの目的に合わせて柔軟に対応できるのが特徴です。

「購入者アンケート」「来店者アンケート」など、顧客の声を集計したいシーンに合わせてそのまま利用できるテンプレートも用意されているため、簡単に使い分けできるのも魅力です。 作成アンケート数に上限が設けられていないため、店舗を全国展開している場合でも、各店舗の顧客の声をスムーズに集計できます。

2.見える化エンジン

運営会社 株式会社プラスアルファ・コンサルティング
料金 要問い合わせ
特徴 SNS上の意見も集計できる
データの視覚化によって直感的に理解できる

見える化エンジン」は、集計した顧客の声をさまざまな角度から”見える化”させることで、満足度改善に繋げるツールです。 自社アンケートの収集に限らず、Twitter・InstagramなどのSNS上に呟かれた特定の意見も記録できます。

下記のように、集計した顧客の声は「色分け」「文字の大きさの変化」などでわかりやすく視覚化されています。 文章データだけでまとめた場合と比べて、直感的に集計結果を把握可能です。

3.commmune

運営会社 コミューン株式会社
料金 要問い合わせ
特徴 顧客とのコミュニケーションを通じて意見を集計できる

commmune」は、コミュニティ運営を通じて顧客の声を集計するツールです。 従来のコミュニケーションツールでは、一方通行のやり取りになることも多く、顧客と深い繋がりを作り出すのは難しい側面もあります。

その点commmuneでは、アンケート機能に加えて、イベント機能、ダイレクトメッセージ機能、WEB上の接客機能など、「顧客の声を集めるのみ」という枠を超えた機能を搭載しています。 顧客と双方向のコミュニケーションを行うことで、直接意見を聞き、必要に応じて自社が改善すべき項目を正確に把握しやすいのが特徴です。

ポートフォリオ分析の注意点

ポートフォリオ分析を実施する上で、以下2つの要素が必要です。

  • アンケート項目ごとの満足度
  • 総合顧客満足度

2つの要素を正しくポートフォリオ分析に活用するための注意点は以下の3点です。

  1. 総合顧客満足度と項目別満足度の尺度を揃える
  2. 総合顧客満足度の構成要素が網羅された質問項目を作成する
  3. 「満足」「不満」と感じた理由までヒアリングする

総合顧客満足度と項目別満足度の尺度を揃える

簡潔に総合顧客満足度と項目別満足度の尺度は揃えておきましょう。 例えば、レストラン運営におけるアンケートであれば、以下のように尺度を設定します。

【アンケート項目ごとの満足度】 店内の雰囲気:満足・やや満足・普通・やや不満・不満 外観:満足・やや満足・普通・やや不満・不満 料理の味:満足・やや満足・普通・やや不満・不満 etc
【総合顧客満足度】 満足・やや満足・普通・やや不満・不満

総合顧客満足度の構成要素が網羅された質問項目を作成する

質問項目を作成する際は、総合顧客満足度を構成する要素が網羅されているかを確認しましょう。 例えば「レストラン運営の総合顧客満足度を構成する要因」は、主に以下の項目が挙げられます。

  • 店内の雰囲気(静かに食事ができたか?空調は適切か?など)
  • 外観
  • 料理の味
  • 店員の接客態度
  • 料金設定
  • メニューの種類
  • 立地
  • 回転率
  • 知名度
  • 感染対策
  • 年齢に応じたメニューの準備(お子様ランチなど)
  • 思想や宗教に応じたメニューの準備(ヴィーガン向けメニューなど)
etc

 

上記は一例のため、店舗によってはさらに項目を列挙する必要があります。 総合顧客満足度の構成要素に抜け漏れがあると、改善すべき項目(あるいは後回しで構わない項目)を正しく判断できません。

「満足」「不満」と感じた理由までヒアリングする

総合顧客満足度の構成要因に抜け漏れが無いかを確認した上で、各項目ごとに「満足/不満に感じた理由」を細かく質問します。 例えば「店員の接客態度が不満だった」という回答だけでは、顧客が具体的に不満を感じた部分がわからず、実際にどのように改善すべきかまで把握できません。

「店員の接客態度」に関する項目で回答を掘り下げるのであれば、以下のように細かく質問項目を設定する必要があります。

◆接客態度に関する質問例

  • 接客中は笑顔だったか
  • 席に着いてからメニュー表を持ってきたか
  • 注文を聞くタイミングは適切か
  • 料理の提供時間は早かったか

満足感や不満を覚えた理由まで細かく具体的に質問することで、実際に自社で行うべきアクションが見えやすくなります。 ただし、アンケート項目が増えすぎると回答者の負担増加が懸念されるため、必要に応じて以下のような配慮が必要です。

  • リピーターなど、ある程度関係性が築けている人物にアンケートを行う
  • 設問数が減らせるかを検討する(同じような質問を削除する、など)
  • 理解しやすい平易な文章で質問する(専門用語を多用しない、など)
  • 回答しやすいものから順番に質問を記載する
  • ひとつの設問につきひとつの回答を得ている

まとめ

ポートフォリオ分析を活用することで、自社サービスや商品における「優先改善項目」を明確に判断できます。 顧客の声を効果的に自社サービスに反映させることで、最小限のコストで商品改善サイクルを回せます。 企業の利益を伸ばすためには、改善を重ねて顧客に選ばれ続けることが欠かせません。利益を最大化させるためにも、ポートフォリオ分析を効果的に利用しましょう。

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