【自主調査】スキンケア製品を購入するユーザーの特徴は?
2023年08月25日
2020年より、新型コロナウイルス感染症が流行しました。多くの消費者が外出を自粛したことなどをきっかけに、さまざまな業界が打撃を受けたのは記憶に新しいのではないでしょうか。
化粧品業界も、そのうちの1つです。マスク着用や外出自粛により、化粧品業界全体の売上は大きく落ち込みました。そんな中でも”スキンケア商品”は売上が安定していました。
今回GMOリサーチ&AIでは、”スキンケア製品”に焦点をあて、購買行動に関する調査を実施しました。スキンケアを行う消費者の実態に興味のある方は、ぜひご覧ください。
化粧品業界の動向|売上減少のなかで期待できる2分野
経済産業省の調査「生産動態統計」によると、化粧品出荷額は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて減少しました。
経済産業省「生産動態統計」を基に自社作成
2019年には1.76兆円あった化粧品出荷額ですが、2021年には1.35兆円まで落ち込みました。2020年はちょうど感染症が流行りだした時期です。3密回避のために外出を控えたり日常的にマスクをすることで、化粧する人が減少したことが要因の一つとなっていると考えられます。
業界全体の売上が減少傾向にあるなかで「メンズメイク」「スキンケア製品」の2分野については、注目が高まっています。
メンズメイクへの注目が集まっている
(新規需要・異分野需要の取り込み)
男性用化粧品やジェンダーレス・ジェンダーフリーの化粧品は、今後の成長分野の一つである。
また、化粧品メーカーとして培った技術をコアとしつつ、例えば、紫外線に対する肌ケアのように、化粧品により外部環境変化から身体を守るなど、ヘルスケア分野などの今後成長が期待される異分野の需要を積極的に確保することも重要である。
こうした新規需要を取り込むに当たっては、異業種企業との強調・連携を更に積極的に進めるべきである。
引用:経済産業省「化粧品産業ビジョン」
経済産業省が発表した「化粧品産業ビジョン」にも、メンズメイクは成長分野の1つとして示されています。昨今ジェンダーに関する多様な価値観が顕在化してきていることもあり、新規需要を取り込んだビジネス戦略の1つとして捉えられているようです。
実際に、高級ブランドからドラッグストアなどで購入できるリーズナブルなものまで、幅広い化粧品会社が男性向け化粧品の開発・販売を始めています。メンズメイク市場は、今後より一層のひろがりを見せる可能性があります。
コロナの影響を受けなかった、スキンケア製品
経済産業省の調査によると、感染症が流行りだした2020年前半において、ファンデーション・口紅などの仕上げ用化粧品の支出金額は減少傾向にあったことがわかります。
引用:経済産業省「新型コロナ禍に影響された化粧品出荷、2021年の状況は?」
外出自粛やマスク着用によって、人に顔を見せる機会が減少したことが要因の一つではないかと考えられます。
一方、基礎化粧品では異なる傾向が見られます。経済産業省の同調査によると、基礎化粧品の支出金額は、感染症が流行しだした2020年1月以降も大幅な減少はありませんでした。乳液、化粧水、石けん類・化粧品は減少はあまり見られず横ばいで、化粧クリームは逆に支出金額が増加傾向にあります。
引用:経済産業省「新型コロナ禍に影響された化粧品出荷、2021年の状況は?」
スキンケア製品などの基礎化粧品は、コロナウイルスの感染拡大の影響を大きく受けなかった、と言えます。
【調査結果1】フェイシャルケアをしている人の現状は?
前章では、最近の化粧品業界の動向について見てきました。注目を浴びている2分野のうち、本記事ではコロナ禍でも安定した売上を得ていたスキンケア製品のうち、フェイシャルケア製品の購買行動について調査しました。
まずは、フェイシャルケア製品のユーザーを年齢・性別とともに分類し、現状どのくらいの人がフェイシャルケア製品を使用しているのか、使用する頻度はどのくらいなのか見ていきましょう。
フェイシャルケア製品の使用率は女性9割、男性5割
過去3か月間にどのくらいフェイシャルケア製品を使用したかを尋ねると、女性の90.6%がフェイシャルケア製品を使用していることがわかりました。一方で男性は、54.2%がフェイシャルケア製品を使用しています。男性よりも女性のほうが、フェイシャルケア製品の使用率が高いことがわかります。
フェイシャルケア製品を使用している女性のうち、3.2%は洗顔製品のみを使用し、96.8%は洗顔用品を含む複数のフェイシャルケア製品を使用しています。一方、フェイシャルケア製品を使用している男性のうち、42.6%は洗顔製品のみを使用し、57.4%は洗顔製品を含む複数のフェイシャルケア製品を使用していると回答しました。
年代別で見たフェイシャルケア製品の使用率は69.0~76.7%となっており、年齢によるフェイシャルケア製品の需要には、大きな違いがないようです。
毎日使用するものと週1回の頻度で使うものが大きく分かれている
次に、フェイシャルケア製品別の使用頻度について聞きました。
乳液・化粧水・洗顔用品・美容液は、9割以上の人が毎日使用していることがわかります。また、クリーム・フェイスクリーム、アイクリーム、ハイドロゲル・ゲルクリームを毎日使用する人の割合も、8割以上となっています。
一方、フェイスパック・アイパックを毎日使用している人は14.9%で、週に1回使用している人が過半数でした。
【調査結果2】多くの人が抱えている悩みとフェイシャルケアの目的は?
フェイシャルケア製品に何を求めるかは、人それぞれです。多くの方が、自身の肌悩みをもとに製品を選んでいると考えられます。本章では、ユーザーの抱える肌の悩みやフェイシャルケアの目的を見ていきます。
中性肌の人が最も多く、自分の肌タイプを理解していない人も
まずは、どのような化粧品が合っているのか考える上で必要な肌タイプについて調査しました。最も一般的な肌タイプは中性肌(22.4%)で、次に乾燥肌(21.1%)が続きました。
「肌タイプがわからない」と答えた人は男性で37.1%、女性は15.8%と、性別に関わらず自分の肌タイプを理解していない人が一定数いるようです。
フェイシャルケア製品を使う理由は男女で異なる
フェイシャルケア製品を使用する理由で最も多かったものは、「肌に潤いを与え、潤いを閉じ込める」(44.9%)ことでした。女性では最も多くあがった回答で、男性でも「肌の状態を落ち着かせる・安定させること」に次いで多い回答でした。
「潤い」以外の観点として、女性は「美白、くすみの改善」「シワを防ぐ」といった美容目線での理由が目立ったのに対し、男性は「肌の状態を落ち着かせる」「吹き出物・にきびを改善する」といった肌トラブルの改善を目的としていることがわかりました。
10代・20代はにきびの改善、30代以上は潤いを最重要視
16~29歳では、多くの⼈がニキビや毛穴に悩みを抱えているようです。フェイシャルケア製品に求める重要な要素として、「吹き出物・にきびを改善する」を、約半数の⼈(45.1%)が挙げています。
次に、肌の状態を落ち着かせる・安定させる(36.9%)、肌に潤いを与え、潤いを閉じ込める(36.5%)、メイク落とし・洗顔(32.2%)と続きます。
30歳以上の年代は「肌にうるおいを与え、潤いを閉じ込める」が一番多くの回答を集めました。30~39歳は47.8%、40~49歳は49.8%、50~60歳は44.1%と、回答者の4割以上が最重要視していることがわかります。
フェイシャルケア製品の使用率は年代別に大きな違いはないものの、フェイシャルケアに求めている効果は年代によって異なるようです。
【調査結果3】フェイシャルケア製品にかける予算は?
続いて、フェイシャルケア製品にかける予算について見てみましょう。
フェイシャルケア製品への支出額は、全体平均が2,104円/月でした。性別ごとに見ると、男性の89.9%、女性の63.1%が月に2,000円未満となっており、全体平均より少ない方が多いことがわかります。
また、年単位で見ると男性は15,538円/年、女性は31,012円/年となっています。女性のほうが、フェイシャルケア製品の購入に多くの予算を割いていることが明らかになりました。
プチプラコスメが主流
次に、フェイシャルケア製品を「プチプラコスメ」「デパコス」「メディカルコスメ」「ネットコスメ」「その他」で分類し、ブランドタイプごとの購入傾向を調査しました。
洗顔用品や化粧水をはじめ、すべての項目でプチプラコスメが他のブランドタイプよりも高い割合を占めています。普段使いするものだからこそ、手に入りやすい価格のものを選択する人が多いようです。
【調査結果4】購入頻度や購入ルートは?
最後に、購入頻度や購入ルートについて調査しました。
年間で見たフェイシャルケア製品の購入頻度は、高い順に「洗顔用品(5.43回)」、「フェイスパック/アイパック(5.30回)」、「エッセンシャルオイル/美容オイル(4.99回)」となりました。
実店舗(対面購入)が8割
フェイシャルケア製品の購入方法について聞いたところ、実店舗での購入が8割とオンラインショッピングとは2倍近くの差が見られました。
しかし、過去1年間におけるフェイシャルケア製品のオンライン購入と店頭購入のおおよその比率を見ると、オンラインと店舗で同じくらいの頻度で購入する人が29.4%、オンラインで購入することの方が多いのは30.4%との結果が出ています。店舗での購入を主流としつつも、オンラインでの購入も併用している方が一定数いるようです。
実店舗のうち、一番多かったのはドラックストアでの購入で、8割を超えています。
衝動買いと計画購入は半々。セールでの購入は1割程度
フェイシャルケア製品を購入する際、「計画的に購入」「ある程度計画的に購入」する人は54.3%、衝動買いする人は44.2%と、計画的に購入する人のほうが若干多い結果となりました。
また、ブラックフライデーやクリスマスセールなど、イベントにあわせて購入する人の割合は13.2%と低く、イベントによって衝動買いが促されることは少ないようです。
購入決定にネット情報の影響を受けない人が半数
購入するかどうかの意思決定に影響する情報として、「ネット情報に影響を受けない」人が45%と、半数近くがオンライン情報源を参考にしていないことがわかりました。
非オンラインの情報源としては、店舗ポスターや販売員の紹介、友人・家族の口コミを参考にする方が多いようです。実際に店頭購入が多いことから、製品を直接見たり販売員から得られる情報は、購入意思に与える影響が大きいと考えられます。
まとめ|消費者の行動ベースで販売戦略の立案を
フェイシャルケア製品においてオンラインの販促イベントは購入を促進しづらいこと、製品を手に取りやすい実店舗での購入が多いことなど、本調査を通じて消費者の購買傾向を見ることができました。
今回はフェイシャルケア製品に注目した調査を取り上げましたが、GMOリサーチ&AIでは、各種業界でのリサーチを実施しています。「消費者の行動ベースで市場を分析し、販売戦略を立案したい」方は、GMOリサーチ&AIにてアンケート調査を活用してみませんか。
- 市場調査の実施はGMOリサーチ&AIへ
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今回はフェイシャルケア製品を対象とした調査を紹介しましたが、GMOリサーチ&AIでは様々な業界・業種でのマーケティング・リサーチを実施しています。
- ターゲットとなる消費者について把握したい
- 他社の動向を把握したい
といった方は、ぜひお問い合わせください。
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◆調査概要
- 詳細:2023年5月 日本の最新状況 コロナ禍による消費者のスキンケア商品に関する購買⾏動の変化
- 調査方法:Z.com Engagement Labでオンラインアンケート
- 調査期間:2023 年5月2日~5月5日
- 有効回答:716件
- 調査対象:16~60歳の日本のインターネット利用者
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