アンケートの作り方を知りたい!効果的な設計方法を解説
2025年04月04日

新商品の評価を知りたい、顧客満足度を測定したい、市場動向を把握したい―。そんなとき、多くの企業がアンケート調査を実施します。しかし、せっかく時間とコストをかけて調査を行っても、「期待した結果が得られない」「回答率が低い」「分析に使えるデータが集まらない」といった課題に直面することが少なくありません。
実は、アンケート調査の成否は設計段階でほぼ決まると言えます。本記事では、効果的なアンケート設計の方法について解説します。基本原則から実践的なテクニックまで、具体例を交えながら、実務で活用できる情報をお届けします。
アンケート設計の基本
アンケート調査は、企業の意思決定や戦略立案に欠かせないツールです。しかし、闇雲に質問を並べただけでは、意味のある結果は得られません。ここでは、アンケート設計の重要性と基本的な考え方について説明します。
なぜアンケート設計が重要なのか
アンケート設計は、調査全体の基盤となる重要なプロセスです。適切な設計があってこそ、信頼性の高いデータを収集し、有意義な分析が可能になります。
例えば、商品開発のためのアンケートで「この商品をどう思いますか?」と漠然と質問しても、具体的な改善点は見えてきません。一方、「デザイン」「機能」「価格」など、評価したい要素を明確に設定し、それぞれについて適切な質問を設計することで、有用な情報を得ることができます。
アンケートの特徴と限界を理解する
アンケート調査には、多くの人から短時間で意見を集められる、数値化して比較しやすい、といった利点があります。しかし、同時に以下のような限界も存在します。
- 設問の意図が正しく伝わらないリスク
- 回答者の記憶や主観に依存する部分が大きい
- 深い理由や背景までは把握しにくい
これらの特徴と限界を理解した上で、補完的な調査手法(インタビューなど)の併用を検討することも重要です。
成功するアンケートの3つの要件
成功するアンケートには、以下の3つの要件が欠かせません。
- 明確な目的と仮説:商品改善、顧客満足度向上など、具体的な目的を持ち、検証したい仮説を明確にします。
- 回答者への配慮:回答のしやすさ、所要時間、質問の順序など、回答者の立場に立った設計を心がけます。
- 分析可能な設問設計:集計・分析の段階で必要となる情報が得られるよう、適切な質問形式と選択肢を設定します。
効果的なアンケート設計の5ステップ
アンケート調査の成功は、綿密な設計から始まります。ここでは、効果的なアンケートを作成するための5つのステップを、実務で活用できる具体例とともに解説します。これらのステップを着実に進めることで、信頼性の高い調査結果を得ることができます。
明確な調査目的の設定
調査の目的を具体的に定めることが、アンケート設計の第一歩です。「顧客の声を聞きたい」という漠然とした目的ではなく、「20代女性向け新商品の購入意向と価格感度を把握する」といった具体的な目的を設定します。
目的が明確になることで、必要な質問項目が見えてきます。また、調査後の施策まで見据えた目的設定により、実用的な結果を得ることができます。
適切な調査対象の選定
調査対象は、目的に応じて適切に選定する必要があります。
例えば、新商品開発のためのアンケートであれば
- 年齢層:主要ターゲットとなる年代
- 性別:商品特性に応じた性別
- 購買履歴:類似商品の利用経験者 などの条件で絞り込みます。
信頼性の高いデータを得るためには、一般的に300件以上のサンプル数が望ましいとされています。
精度の高い設問設計
設問は、回答者が迷わず答えられる明確な表現で設計します。
具体的なポイントは以下です。
- 1つの設問で1つの内容のみを尋ねる
- 専門用語や曖昧な表現を避ける
- 適切な選択肢を用意する
例えば「商品の満足度とデザインについてどう思いますか?」ではなく、「商品の満足度を5段階で評価してください」「デザインについて気に入った点を選んでください」のように分けて質問します。
最適な調査手法の選択
調査の目的や対象者に応じて、適切な調査手法を選択します。
主な調査手法は以下です。
- Webアンケート:幅広い層に短期間で実施可能
- 対面調査:詳細な回答が必要な場合に有効
- 電話調査:即時の回答が得られる
- 郵送調査:高齢者層へのアプローチに適している
それぞれの特徴を理解し、目的に合った手法を選びます。
分析を見据えた設計
収集したデータを効果的に分析できるよう、設問設計の段階から以下の点に注意します
- クロス集計が可能な属性項目の設定
- 数値化しやすい回答形式の採用
- 統計処理に適した選択肢の設定
例えば、満足度を測る際は「満足」「やや満足」といった5段階評価を用いることで、数値化して分析しやすくなります。
実践的な設問設計のテクニック
アンケートの質を大きく左右するのが、設問設計です。ここでは実践的なテクニックをご紹介します。これらのポイントを押さえることで、質の高いデータが得られるアンケートを作成できます。
回答者の心理に配慮した質問順序
アンケートの構成は、回答者の心理的な流れを考慮して設計します。最初は答えやすい基本的な質問から始め、徐々に具体的な質問へと進みます。
例えば、製品の利用者に対する調査の場合、基本的な質問順序は以下になります。
- 属性質問(年齢、性別など)
- スクリーニング質問(対象者の確認)
- 利用実態や行動に関する質問
- 評価や満足度に関する質問
- 今後の意向や要望
この順序で質問することで、回答者は自然な流れで回答を進めることができます。
バイアスを避ける選択肢の作り方
回答者の判断に影響を与えないよう、中立的な選択肢を用意することが重要です。
バイアスを避けるポイントは以下です。
- 肯定的な選択肢と否定的な選択肢のバランスを取る
- 誘導的な表現を避ける
- 適切な選択肢数を設定する
具体例:
×「この商品の優れた機能に満足していますか?」
〇「この商品の機能についての満足度を教えてください」
回答形式の使い分けと注意点
質問の目的に応じて、適切な回答形式を選択します。主な回答形式は以下です。
- 単一選択:1つの回答のみを選ぶ
例)「普段最もよく利用する商品を1つ選んでください」 - 複数選択:当てはまる項目を全て選ぶ
例)「この3ヶ月間に購入した商品を全て選んでください」 - 順位付け:項目に順位をつける
例)「重視する要素を上位3つまで選んでください」 - 評価尺度:段階評価を行う
例)「満足度を5段階で評価してください」
自由記述欄の効果的な活用法
自由記述欄は、選択式では得られない詳細な意見や感想を収集できる重要な要素です。
効果的な活用のコツは以下です。
- 設問数を絞る(2〜3問程度)
- 具体的な回答を促す質問文にする
- 回答の目安となる文字数を提示する
良い例:「商品の改善点について、具体的な内容を100文字程度でご記入ください」
悪い例:「ご意見・ご要望があればご記入ください」
よくあるアンケート設計の失敗パターン
優れたアンケート設計のためには、よくある失敗パターンを知ることも重要です。ここでは、典型的な失敗例と、その対策について解説します。これらの事例を把握することで、より質の高いアンケートを設計できます。
設問設計の代表的なNG事例
アンケート設計でよく見られる失敗例を具体的に見ていきます。
- 複数の内容を1つの質問に詰め込む
×「商品の価格と品質について満足度を教えてください」
〇「商品の価格について満足度を教えてください」 「商品の品質について満足度を教えてください」 - 専門用語や曖昧な表現を使用
×「UI/UXについてどう思いますか?」
〇「使いやすさについてどう思いますか?」 - 誘導的な質問文
×「多くのお客様に好評な当社サービスについて、ご意見をお聞かせください」
〇「当社サービスについて、ご意見をお聞かせください」
回答精度を下げる要因とその対策
質の高い回答を得るためには、以下の要因に注意が必要です。
- 設問数が多すぎる
対策:10分以内で回答できる量に抑える(15〜20問程度) - 選択肢の並び順によるバイアス
対策:選択肢をランダム表示する、または中立的な順序で配置 - 回答必須項目の多用
対策:必須回答は最小限に留め、回答者の負担を軽減
分析時に問題となるケース
データ分析段階で支障をきたす典型的なケースです。
- 属性項目の不足:基本的な属性(年齢、性別など)が不足していると、クロス分析ができなくなります。
- 選択肢の設計ミス :「その他」の回答が多すぎる場合は、選択肢の見直しが必要です。
- 数値化できない回答形式: 5段階評価などの数値化可能な形式を採用し、定量分析を可能にします。
アンケート品質を高めるチェックポイント
アンケート設計が完了したら、本調査の前に品質チェックを行うことが重要です。ここでは、アンケートの品質を高めるための具体的なチェックポイントをご紹介します。これらの確認プロセスを経ることで、より信頼性の高い調査結果を得ることができます。
設問設計のチェックリスト
アンケートの完成度を高めるため、以下のポイントを入念に確認します。
1. 調査目的との整合性
- 調査目的に沿った質問項目になっているか
- 必要な情報が漏れなく収集できるか
- 分析に必要な項目が網羅されているか
設問構成の確認
- 質問の順序は適切か
- 設問数は適切か(10分以内で回答可能か)
- スクリーニング質問は適切に配置されているか
表現・用語の適切性
- 専門用語や難しい言葉を使っていないか
- 質問文は明確で分かりやすいか
- 誤字脱字はないか
正しいアンケート設計で課題解決に役立てよう
アンケート調査は、適切な設計があってこそ、企業の課題解決に貢献できるツールとなります。設計段階での目的の明確化、適切な設問構成、回答者への配慮、そして結果の分析まで、それぞれのステップで重要なポイントを押さえることが成功への近道です。
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