GMOインターネットグループでインターネットリサーチ事業を展開するGMOリサーチ株式会社(代表取締役社長 細川 慎一 以下、GMOリサーチ)は、GMOリサーチが提携する日本、中国のモニターを対象に「日本のイメージ、観光嗜好に関する日中比較調査」を実施いたしました。
●調査テーマ:日本のイメージ、観光嗜好に関する日中比較調査
●調査地域:日本・中国
●調査対象:日本人 466名
中国人 1,355名 計 1,821名
訪日経験なし・予定なし:452人
訪日経験なし・予定あり:458人
訪日経験あり :445人
●調査期間:2015年8月14日~2015年8月21日
●調査方法:インターネット調査(クローズド調査)
【調査背景】
現在、日本政府は成長戦略のひとつに観光立国の実現を掲げ、観光立国推進基本計画に沿って訪日外国人旅行者数の拡大に向けた様々な施策を行っています。こうした施策の成果もあり、2015年1月~10月の訪日客は1,631万人と、通年で過去最高だった2014年の1,341万人を大きく超え(※1)、2016年はさらなる増加が見込まれています。とりわけ中国からの訪日客数は2015年2月以降、それまで国別のトップ1、2であった韓国、台湾をしのぎ最大となっており、重要な訪日客といえます。
この度GMOリサーチは、重要な訪日客である中国人が日本に対してどういったイメージを持ち、どのような観光嗜好を有しているのかを日中比較して調査するべく、日本人および中国人(※2)を対象にインターネットでのアンケートを実施しました。
※1:出典:日本政府観光局(JINTO)「2015年訪日外客数(総数)」
※2:本調査では中国人を「訪日経験なし・予定なし」「訪日経験なし・予定あり」「訪日経験あり」の3グループに分けて分析。
【調査結果】
日本のイメージ(図1~図4)
「日本」から連想する言葉を最低5語以上自由に挙げてもらい、その言葉を、意味を持つ最小限の単語に分解して、ネットワーク分析※3を行った。
・日本人と中国人に共通して「富士山」「寿司」「和服(着物)」といったイメージを想起する人が多いものの、中国人では訪日経験・予定の有無に関わらず、「櫻花(桜)」「北海道」が「富士山」と同程度の存在感を示しており、典型的な日本のイメージにも日中で若干の差異があることが分かった。
・日本へのネガティブなイメージについては、「訪日経験なし・予定なし」のグループではネガティブな印象を想起させる様々な単語が連なり、大きなネットワークを形成している一方で、「訪日経験なし・予定あり」のグループでは小さく分散しており、「中国人訪日経験あり」のグループでは小さくまとまっている。このことから、日本への関心度合いに応じてネガティブなイメージが縮小すると考えられる。
・また、中国人の「訪日経験あり」グループにおいて、「干净(清潔である)」「整洁(整っている清潔)」「环境(環境)」「礼貌(礼儀正しい)」「秩序」といったポジティブなイメージが顕著に表れ、日本の典型的イメージに劣らないネットワークを形成している。これは「訪日経験なし(予定あり/なし)」のグループにはほとんど現れていないことから、来日時に日常視点で日本を観察した際に記憶に残った「街路が清潔できれい」「交通機関が秩序だっている」といった点が、強いイメージとして焼きついていると思われる。
※3:ネットワーク分析とは、連想関係に基づく観念をネットワーク化し、そこからパターンを見出して特徴を読み取る分析方法。
■日本の観光資源に対する嗜好(表1、図5~図6)
次に、日本の観光資源に対する嗜好を日中で比較するため、日本の各観光資源の認知度および訪問意向度を4段階スケールで質問し、結果をコレスポンデンス分析※4によって可視化した。日本の観光資源は、「自然」「歴史」「文化(有形・無形)」「テーマ」「複合」の5カテゴリに分類し、計25ヶ所を選定している。
・「富士山」「東京ディズニーリゾート」などの項目においては、どのグループも共通して認知度・訪問意向度ともに高い傾向にあるものの、その他の項目については「日本人」、「中国人訪日経験なし(予定あり/なし)」、「中国人訪日経験あり」の3グループで大きく特徴が分かれる結果となった。
・認知度については、日本人は「歴史」「文化」といった観光資源の認知度が中国人より高い。一方、中国人は、「訪日経験あり」の場合だと「産業」「ショッピング」、加えて「京都国際マンガミュージアム」「川村記念美術館」といった「有形文化」の中でカルチャー、美術の要素がある資源の認知度が高いことが分かった。また、「訪日経験なし(予定あり/なし)」は、全グループで認知度の高い「富士山」以外では、「食」の認知度が高い。同じ中国人でも、訪日経験の有無でその差が非常に大きいことが分かる。
・訪問意向度については、認知度とほぼ同一の結果となった。これは全体的に、認知度が高い観光資源の訪問意向度が高くなる傾向があるからだと考えられる。しかしその中でも、認知度では「中国人訪日経験あり」に限って高かった「阿寒湖温泉」が、訪問意向度では日中全体で高いなど、資源によって細かい差が存在する。
※4:コレスポンデンス分析とはクロス集計結果を用い、表側の要素と表頭の要素間の関係性を低次元空間のマップに配置する多変量解析手法。
【総論】
今回の調査で、日本に対するイメージや、日本の観光資源に対する観光嗜好は、日中間だけでなく訪日経験の有無によって大きな差が生じることが分かりました。
1)日本のイメージについては、日中共通して「富士山」「寿司」といった典型的なイメージを持っているものの、連想する単語は日中で異なり、中国人は「櫻花(桜)」「北海道」が「富士山」と同程度の存在感を持っていることが明らかになりました。また、訪日経験のある中国人においては、訪日した際の「清潔で礼儀正しく秩序ある」日本の姿が印象深く残っていることがうかがえます。
2)日本の観光資源に対する嗜好については、認知度と訪問意向度がほぼ同一の結果となりました。日本人は「歴史」「文化」、「中国人訪日経験なし(予定あり/なし)」は「富士山」以外では「食」、「中国人訪日経験あり」は「産業」「ショッピング」のほか、カルチャー、美術の要素がある資源の嗜好が高く、日中間および訪日経験の有無で大きく嗜好が異なることが分かりました。
【ご参考】
より詳細な調査結果は以下のURLより「日本のイメージ、観光嗜好に関する日中比較調査」分析レポートをダウンロードいただけます。
※レポート使用の際には必ず出典として「GMOリサーチ調べ」とご記載ください。
▼レポートのダウンロードURL:http://www.gmo-research.jp/acp/studies/reportdl/151211-2
【GMOリサーチ株式会社について】
GMOリサーチは、従来通りの市場調査手法はもちろん、MROCやアイトラッキング、スキャナマインドなど、最先端の技術と手法を駆使した市場調査サービスを提供しております。現在、アジア13カ国で約1,700万人の消費者にインターネットリサーチが可能な「ASIA(アジア) Cloud(クラウド) Panel(パネル)」を利用したインターネットリサーチのほか、マーケターの調査をサポートするDIY型インターネットリサーチツール「GMO Market(マーケット) Observer(オブザーバー)」を提供しております。
アジア最大規模の調査対象者とDIY型インターネットリサーチツール2つのサービスを通じて、当社はアジアの生活者のニーズを世界中の企業にご提供し、さらなるインターネットリサーチの発展に貢献してまいります。
■「ASIA Cloud Panel」 URL:http://www.gmo-research.jp/acp
■「GMO Market Observer」 URL:http://www.gmo-research.jp/rsp
以上
<報道関係お問い合わせ先>
◆GMOリサーチ株式会社 マーケティング部 担当 白鳥
TEL:03-5962-0037(代表)
E-mail:pr@gmo-research.jp
◆GMOインターネット株式会社
グループ広報・IR部 石井・島田
TEL:03-5456-2695 FAX:03-3780-2611
E-mail:pr@gmo.jp
【参考資料】
(図1)日本人の日本のイメージ[日本人 N=466 自由回答]
(図2)訪日経験・予定のない中国人の日本のイメージ[訪日経験なし・予定なし N=452 自由回答]
(図3)訪日予定の中国人の日本のイメージ[訪日経験なし・予定あり N=458 自由回答]
(図4)訪日経験のある中国人の日本のイメージ[訪日経験あり N=445 自由回答]
*多く出現した単語ほど、ノード(単語を示す円)が大きい。また、ノードを結ぶ線が太いほどノード同士が同時に想起される度合いが強く、線が多いほどノードが濃いピンクになる。
さらに、グループとグループをつなげる役割を果たす、媒介中心性が高いノードを赤線で囲むことで示した。
(表1)選定した観光資源およびその分類
(図5)日本の観光資源に対する認知度[N=1,821 4段階評価]
(図6)日本の観光資源に対する訪問意向度[N=1,821 4段階評価]