悉皆調査の意味とは?標本調査との違いやメリット・デメリットを解説!
2022年01月04日
悉皆調査(しっかいちょうさ)とは、対象全てを調べる調査であり、全数調査や全部調査とも呼ばれています。
身近な悉皆調査の例は健康診断や、総務省などが5年に一度実施している「国勢調査」などが該当します。
ただし悉皆調査にはコストと時間、労力がかかるため、マーケティング戦略立案等では対象の一部を調査する標本調査が活用されることが多いです。
本記事では悉皆調査の特徴やメリット・デメリットをはじめ、標本調査との違い等を解説します。
悉皆調査(全数調査)とは?
悉皆調査とは「悉皆(しっかい)=1つ残らず全部」という名の通り、対象全てを調査することを指します。 悉皆調査は「全数調査、全部調査」とも呼ばれており、英語表記では「Complete Enumeration」と記載します。
悉皆調査(全数調査)の活用例
悉皆調査は健康診断や、手荷物検査等で実施されます。 中でも悉皆調査の活用事例として有名なのは「国勢調査」です。
国勢調査とは、日本国内に住んでいる全ての人・世帯を対象とした統計調査であり、国の重要な調査の一つです。 悉皆調査は対象を全て調査するため、誤差なく広い範囲で調べられます。
しかし、その反面莫大な費用や時間等がかかるのが難点です。
コスト面や手間の観点から、民間企業がマーケティング戦略や経営戦略の策定においては、標本調査を行うのが一般的です。
標本調査との違い
標本調査は「サンプル調査(Sampling Survey)」とも呼ばれており、対象の一部を抽出して全体を推定する調査方法です。 身近な例で言うと、テレビ番組の視聴率調査や、商品の品質調査などが挙げられます。
標本調査を行う際には、できるだけ調査に偏りができないように、対象を無作為に選択する必要があります。
悉皆調査と比較すると費用や手間等が省けますが、対象の一部しか調査しないため標本誤差(※1)・測定誤差(※2)ともに生じやすいのがデメリットです。
※1:標本誤差とは、標本調査によって生じる、標本値と母集団値との差を表します。標本誤差は抽出数を多くすれば小さくなるため、対象を全て調査する悉皆調査では生じません。
※2:測定誤差とは、測定の際に生じる誤差のことで、測定値から本来値を引いた値で示されます。測定する上で何かしらの誤差が含まれることは避けられないため、測定誤差は悉皆調査・標本調査ともに生じるとされています。
悉皆調査(全数調査)のメリット・デメリット
標本調査と比較すると、実態に即した調査結果が得られやすいメリットがある悉皆調査。
しかし調査に費用や時間がかかるデメリットもあり、基本的に民間企業等で行うマーケティング戦略では、悉皆調査は活用されることはありません。
悉皆調査(全数調査)のメリット
悉皆調査のメリットは、主に以下2つが挙げられます。
- 調査結果に誤差が生じない
- 都道府県、市区町村など様々なセグメント(区分)で調査ができる
悉皆調査では対象全てを調査するため、調査結果に標本誤差は生じません。
ただし悉皆調査でも、測定誤差は多少生じる可能性があります。 また悉皆調査では、都道府県や市区町村、年齢、性別など様々なセグメントでの調査が可能です。
悉皆調査(全数調査)のデメリット
悉皆調査のデメリットは調査に莫大な費用と時間、労力がかかる点です。
代表的な国勢調査では、1調査あたり約2,920億円超の調査費用がかかっています。
かかる費用や時間、労力は調査範囲に比例するため、規模が小さい調査であればコストを抑えられます。
まとめ
悉皆調査は標本調査と比較して、標本誤差が生じないメリットがある反面、調査規模に応じてかかる費用や時間、労力が大きいのがデメリットです。
コスト面や手間、スピードなどを考慮すると、民間企業がマーケティング戦略等の策定には、標本調査を実施する場合が一般的です。
悉皆調査を行う際は、メリット・デメリットや特性を理解した上で進めるとよいでしょう。
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