コンセプト調査のポイントは?結果分析はどのように行う?

2021年08月06日

コンセプト調査

消費者の購入理由や購入するまでの動向を調査することができる受容性調査。
受容性調査のうちでも人々の意識や心理状態を調査する「コンセプト調査」はますます重要になっています。 コンセプト調査を行うにはどのようにすればよいのでしょうか?

コンセプト調査の特徴や実施することで得られるメリット・デメリットについてまとめました。

コンセプト調査とは

コンセプト調査(コンセプトテスト)は、受容性調査の一種です。

受容性調査
製品やサービスの購入・普及などを促進するために、それらに対する購入理由や購入するまでの動向などの「受容性」を把握するための調査

受容性調査の中でも、コンセプト調査は、
製品やサービス、広告やキャンペーンといった新規事業のコンセプトがどのように消費者に受け取られるかを検証する調査方法のことです。

◆コンセプト調査の質問例

  • 紹介したコンセプトAについて、あてはまる感想を選択してください。
  • コンセプトAを利用したいと思いますか。
  • コンセプトAを利用したい(利用したくない)理由を選択してください。
  • ご覧になったコンセプトの中で、どれを利用したいと思いますか。

ちなみに受容性調査のうちコンセプト調査以外のものでは、こういったものがあります。

  • 価格受容調査:新商品を販売するときに「どの程度の金額までなら消費者が購買するのか」
  • ネーミング受容性調査:「商品名がどのくらい消費者に受け入れられるか」
  • 広告活動・キャンペーンの受容性調査:「どんなフレーズやキャンペーン内容なら消費者に響くのか」

受容性調査の種類とは

コンセプト調査でわかること

コンセプト調査を行うと、どのような情報が得ることが出来るのでしょうか?

ニーズの把握と新しいアイディアの発掘

新規事業を計画するために新しいアイディアを現実の施策に落とし込む前にコンセプト調査を行うことで、新しいアイディアと現実の消費者のニーズに大きな差がないか確認することができます。

コンセプト調査の結果から、潜在ユーザー層を顕在ユーザー層へ変化させるための要素を抽出し、新しいアイディアをより高いクオリティで具体化するように利用することもできます。

複数あるコンセプトの評価

新しく売り込みたい商品や広告・キャンペーンのコンセプト候補がいくつかある場合、コンセプト調査を行うことで消費者からそれぞれの候補に対する評価を集め比較することが出来ます。

最も評価が高いコンセプトを実際のプロモーションに採用するような使い方もできますし、結果を分析することで「コンセプトのどの部分が評価されたのか」「どんな内容が良かったのか」といった要素を洗い出すこともできます。

ターゲット層の把握

商品や事業内容がすでに完成・決定している場合にも商品やサービスを「どう売るか」「どんな人にアピールするか」といった方向性の決定にコンセプト調査を役立てることができます。

調査に協力してくれた回答者の年代や性別等、プロフィールを把握し事前に想定していたターゲット層との間にギャップがないかを確認します。事前に想定ターゲットが定まっていない場合は、調査対象者のプロフィールから反応が良かった層をターゲットとし、改めて施策を検討できるでしょう。

コンセプト調査の流れ

コンセプト調査のスケジュールは、定量調査であれば調査設計から納品まで1.5ヶ月ほどが目安です。

◆定量調査のスケジュール

コンセプト調査の流れ

調査設計・調査票作成から確定:約1週間~
調査の実施:約1週間~
調査結果の評価・分析:約3日~
報告書の作成:約1週間~

それぞれのステップを見ていきましょう。

1.調査設計

売り込みたい製品やサービスやコンセプト候補が決まったら、調査設計を行います。

調査設計では次の3つのポイントを明確にすることが重要です。

  • 調査の目的(調査で明確にしたいことは何か)
  • 目標設定(調査結果をもとに解決したい課題は何か)
  • 仮説(調査を実施することで得られる消費者の反応や調査結果を予想する)

コンセプト調査における仮説とは、コンセプトを決定するまでの経緯のことを指します。 ここでは、コンセプトを考えるために消費者のニーズを予想し、何が響くと考えたのかを振り返ることが大切です。

調査の目的から仮説までを明確にしておくことで、調査結果のデータから消費者により響くコンセプト改善の要素が見つかるでしょう。

関連記事:調査設計

2.コンセプト調査の実施

調査設計が完了したら、計画したスケジュールに沿って調査を実施します。

調査を行う際には対象である商品や事業内容、ターゲット層に合った適切な調査方法を選定する必要があります。 多くの回答数(サンプルサイズ)が必要な場合はネットリサーチが多く用いられますが、調査の目的や目標設定によってはネットリサーチ以外の調査手法を選んだほうがよりよい結果を得られることもあります。安易に「とりあえずネットリサーチ」と決めてしまうのではなく、慎重に選定を行いましょう。

◆代表的な市場調査の方法

ネットリサーチ

ネットリサーチは広く活用されている調査方法で、定量データを収集することに適しています。

従来の方法に比べて調査実施までの準備が短期間で済み、コストが低く回答率も高い点がメリットです。ターゲット層がニッチな場合でも、ある程度の母数を取得しデータ分析を行える点や、商品化されていないものでも画面に提示し調査することができます。

ただし高齢者層にはやや弱く、またスクリーンショットなどが撮られることから情報流出のリスクがあり、機密な調査には向いていないというデメリットがあります。

会場調査

会場調査とは、特定の会場に回答者を集めてアンケートや聞き取りを行う調査方法です。

会場に回答者を集め、コンセプトに対する反応を直接確認できる点がメリットです。未発表の商品などが対象の場合には機密性も保てる点も魅力的です。

しかし、一つの会場に集められる人数に限りがあるため、より多くのサンプルを必要とする場合には不向きと言えるでしょう。また、会場のセッティングや調査員の招集などネットリサーチにはない手間やコストがかかります。

グループインタビュー

グループインタビューでは、複数の回答者を1ヵ所に集めてアンケートや聞き取りを行う定性調査です。

ターゲット層の深層心理や行動の原因を探り、ニーズを細かく把握できる点がメリットです。さらに、回答者に調査内容を正しく認識してもらった上で回答してもらえるため、正確なデータが取得しやすく曖昧な回答があった場合もその場で質問し直すことで回答の質を高められます。

しかし、会場調査よりもさらに人数が限定され、他の回答者が発言した内容や調査員によっては個人の主観によるバイアスが生じる可能性がある点に注意が必要です。

3.調査結果を評価・分析

コンセプト調査を実施したら、結果を評価・分析します。

評価方法は、状況によって単独で呈示する「絶対評価」と、複数の結果を並べる「比較評価」を使い分けて行うのが一般的です。

絶対評価と比較評価

 

絶対評価では、指標の評価が総合的に高いコンセプトを割り出します。比較評価では、それぞれの項目ごとに評価の高いコンセプトを抽出します。

例えば、商品の好感度・魅力・購入喚起度を指標としたとき、絶対評価もしくは比較評価を適切に用いれば、そのコンセプトのどのフレーズが消費者に評価されているかを分析でき、最も消費者に響くアピールポイントを知ることができます。

ちなみに、コンセプト調査の結果が思わしくないとき、商品のパッケージの色やデザイン、価格や品質などの要素が購買に影響する度合い(部分効用値)を算出するコンジョイント分析を行えば、最適な商品コンセプトを練りなおすことも可能です。

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コンセプトリスト(質問内容)の例

消費者が求めるニーズを的確に捉えるためには、調査設計の際に質問する内容(コンセプトリスト)を綿密に考えることが重要です。コンセプトリストの内容には、次の3点を説明に含めることが効果的です。

  • 消費者インサイト:消費者の購買意欲を促す潜在的な購買欲求のポイント
  • ベネフィット:消費者に提供される利益
  • RTB(Reason to believe):利益を提供される消費者へ向けた、ベネフィットを裏付ける根拠のこと。例:「56年の伝統をもつ老舗が商品開発に協力」「今話題の新成分を配合」など

消費者インサイトとは「消費者自身が気づいていない、購買の要因となる潜在的なニーズ」のことです。
そのため、コンセプト調査を行う際はインサイトを明らかにせず、商品や事業内容を通して自発的にインサイトに気付いてもらうことが理想的なコンセプト調査となる、という説もあります。

◆コンセプトリストの例(健康飲料品の場合)

【質問】下記の商品説明文の中で最も魅力的に感じるものはどれですか
  • 飲むだけで〇〇の成分の脂肪燃焼効果で手軽に痩せる
  • 深夜の作業中でもノンカフェイン・低糖質で安心して飲める
  • 自然由来のカフェイン配合で体にも優しい

また、コンセプトに対してどう感じたか1~5などの段階的な指標で回答してもらう方法もあります。その場合は、下記の評価軸を参考に聴取したい要素を選択して設定しましょう。

コンセプト:「オーガニックの原料使用で安心/産地の人の顔が見える」

評価軸:
  • 新奇性(真新しさを感じるか)
  • 興味関心(どの程度関心があるか)
  • 信頼性(どの程度信頼できるか)
  • 製品を購入してみたいと思うか、価格を知ってからも購入したいと思うか

コンセプトと消費者インサイトの整合性をチェックする

コンセプト調査を実施して消費者インサイトを理解できたとしても、製品自体のコンセプトや提供する価値をインサイトに沿ったものにしなければ売上を伸ばすことは難しいでしょう。
そのため、調査前に立案したコンセプトと調査結果で明確になったインサイトの整合性の確認は必ず行いましょう。これを確認せずに販売を開始した場合、消費者からの受容性が合った商品でも販売実績が伸びない可能性があります。

まとめ

調査前に立案したコンセプトと、調査結果からわかるインサイトにズレが生じることは珍しくありません。あらかじめズレが発生することを想定した上でコンセプトを修正する期間を考慮しスケジュールを立てることが重要です。

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