【まとめて解説】グループインタビューとは?│特徴・流れ・留意点
2021年08月27日
新商品の開発や販売、マーケティング戦略を立てるときは、消費者の深層心理を理解することが大切です。
消費者の深層心理を理解するには、調査対象者の行動や話し合いから本音を調べる定性調査が適しています。
その中でも一番メジャーで、幅広い場面で役立てられる方法はグループインタビューです。
しかし、グループインタビューはうまく活用しにくいケースもあります。
そもそもグループインタビューにはどんな特徴があるのか、メリット・デメリット、進め方、留意点についてまとめて解説します。
定性調査と定量調査とは?
グループインタビューについて説明する前に、定性調査と定量調査の違いについて知っておきましょう。
- 定量調査
- ブランドや商品・企業自体の認知度や、購入・リピート率、顧客満足度といった明確に数値や量で表せるデータを集計し、分析する方法。
インターネットのアンケート調査や郵送調査、会場調査などが該当します。 - 定性調査
- 対象者と対面して質問などを行い回答や意見を集める方法。
グループインタビュー、デプスインタビュー、観察調査などが該当します。
定性調査ではアンケート調査などのように数値化されたデータは得られませんが、「言葉」でアウトプットが出るため、定量調査では得にくい「なぜ?」の深堀りや消費者の本音を探りたいときに適しています。
この定性調査の中でも一番よく用いられる方法がグループインタビューです。
グループインタビューとは?
グループインタビューとは、調査対象者4〜8人程度で1つのグループを作り、調査対象内容について座談会のように自由に発言してもらうことで、消費者の考えや本音を収集する調査方法の一つです。フォーカスグループインタビュー、FGI、集団面接法、グルイン、フォーカスグループディスカッションなどとも呼ばれることもあります。
グループインタビューは、ネット調査では知ることのできない消費者の潜在意識やニーズを知るのに特に適しています。
グループインタビューはモデレーターと呼ばれる司会者が進行を務め、調査対象者たちに質問をしながら会話を進めていきます。
より活発な話し合いを促すために、一つのグループは同じ考えを持つ人や同じ年代の人、同性などで構成されます。
例えば「女性・30代・専業主婦・掃除好き」といった属性です。
属性をある程度揃えることで、より深い議論が期待できる上に、前提知識を説明する手間を省くことが出来ます。
他の定性調査との違い
グループインタビューは、他の定性調査と以下のような違いがあります。
グループ インタビュー |
デプス インタビュー |
エスノ グラフィー |
ワーク ショップ |
ホーム ビジット |
MROC | |
---|---|---|---|---|---|---|
調査対象者数 | 4〜8人 | 1人 | 1人 | 5〜6人 | 1人〜複数人(主に家族) | 10〜1000人 |
実施 時間 |
120分 | 60〜90分 | 90〜120分 | 調査内容による | 60〜120分 | 2週間〜数ヶ月 |
目的 | 商品やサービスに対する評価とその根拠を理解する | 消費者の意思決定の過程を理解する | 意思決定に至るまでの潜在意識を発見する | 問題点の抽出や解決策を講じる | 生活に用いる生活用品の使用実態を把握する | 調査主体が知るべきことを会話の中から見つける |
最適な テーマ |
複数名で会話が弾むテーマ 例:すでに販売されている商品など |
人には聞きづらいデリケートなテーマ 例:病気や健康、お金など |
消費者のニーズをあらかじめ把握したいテーマ 例:新商品の開発など |
定量調査で明らかになった問題点 例:既存商品の改善など |
生活に関わるテーマ 例:キッチン、掃除道具など現在使用しているもの |
SNS上で会話が弾むテーマ 例:新商品開発やアイデア収集など |
上記の表から、グループインタビューは既存の商品やマーケティング施策の改善、商品開発のための消費者の意識調査に適している反面、人には聞きづらいテーマには向いていないことがわかります。
グループインタビューの5つのメリット
グループインタビューには以下の5つのメリットがあります。
◆グループインタビューのメリット
- 消費者の本音が得やすい
- 相互作用が期待できる
- 言葉以上の情報を収集できる
- 比較的短い時間で調査できる
- グループ間の相違を比較できる
メリット1:消費者の本音が得やすい
ネット上で行われるアンケート調査などでは、あらかじめ回答の枠組みが想定されているため、調査者の想定以上の深い意見は得られにくいものです。
さらに、回答が選びやすい枠組みであるため、虚偽や不誠実な回答が混じる恐れもあります。
グループインタビューは、直接もしくはオンラインにて調査対象者同士が対面し、調査内容について話し合う調査方法です。
一般的に120分程度で行われますが、その間議論が活発化し具体的なエピソードなどが語られることが期待できます。何気ない会話にも、調査者が思いもよらなかった消費者の本音が発見できるでしょう。
メリット2:相互作用が期待できる
グループインタビューは4〜8人のグループで話し合いを行います。
そのため、参加者の発言によって「そういえば、私もこんなことを感じたことがありました」といった対象者の潜在意識が呼び起こされることがあります。
こういった相互作用をグループ・ダイナミクスと呼びますが、これは多人数でセッションを行うグループインタビューならではのものです。
また、共通項が多い人たちでグループが構成されるため、会話がはずみやすく、口下手な人でも本音を話してくれたり、1対1では出なかった発言を得られる可能性もあります。
調査対象者の中には、他の人の話を聞いて意見が変わる人も居るかもしれません。
他の人のどんな意見を聞いて考えが変わったのか、その過程も調べられます。
元々の意見を変えた対象者の発言が、商品の改善に役立つ大きなヒントとなることもあります。
メリット3:言葉以上の情報を収集できる
グループインタビューを補うため、観察法を併用することがあります。
観察法とは、モデレーター以外の調査員が別室で、調査対象者に気付かれないように表情や行動を観察することです。
観察法を併用すると、インタビュー中の発言そのものだけでなく、客観的に発言の仕方や表情、服装や雰囲気といった情報を得ることが可能です。
例えば、人は嘘をつくときに頭や顔などを触る傾向があります。
もし発言中にそのような行動が見られた場合、虚偽の発言をしているかもしれないと疑えるのです。さらに語気が弱かったり話に一貫性がなかったりすると、本音ではないといった可能性も伺えます。
ちなみに観察法はカメラを設置することでも可能です。その場合は、インタビュー後も繰り返し確認することができます。
メリット4:比較的短い時間で調査できる
グループインタビューは他の定性調査よりも比較的短い時間で調査できます。以下で他の定性調査との所要時間を比較しました。
◆定性調査の所要時間
グループインタビュー | デプスインタビュー | エスノグラフィー(観察法) | MROC | |
---|---|---|---|---|
10人調査するのにかかる時間 | 4〜6時間 | 10〜15時間 | 15〜20時間 | 2週間〜数ヶ月 |
20人調査するのにかかる時間 | 6〜10時間 | 20〜30時間 | 30〜40時間 | 2週間〜数ヶ月 |
デプスインタビューは、1対1で対象者と調査者が向き合って行うインタビューです。
エスノグラフィー(観察法)は、調査者が対象者の行動を観察し、深めてゆく方法です。
この2つはどちらもグループインタビューと似通った面がありますが、基本的には1人ずつ調査を行うため多くの時間を要します。
MROCは、1つのクローズドコミュニティをオンライン上に形成し、対話により意見を調査する方法です。コミュニケーションや対話が前提となるため、期間は2週間〜数ヶ月と時間がかかります。
このように見ると、グループインタビューであれば一度の調査で4〜8人の意見を一気に収集するので、定性調査の中でも比較的短時間で可能な調査であることがわかります。
メリット5:グループ間の相違を比較できる
グループインタビューは、一般的には2〜6グループで実施することもあります。
各グループ間での話し合いの内容や新たに生み出されるアイデア、改善策などは異なるため、違いを比較、検証することで、新たなアイデアや改善策などを模索に大いに役立ちます
グループ間でじっくり話し合われた意見を比較できるのは、グループインタビューのみです。
グループインタビューのデメリット5つ
市場を調査するにあたって、グループインタビューを行うメリットは大きいものです。しかし、グループインタビューには、以下の5つのデメリットもあります。
◆グループインタビューのデメリット
- 統計的な根拠は得られない
- 必ず対象者の本音を探れるわけではない
- モデレーターの技量によっては必要な情報が得られないこともある
- 日程の調整が難しい
- オフラインの場合コストがかかる
デメリット1:統計的な根拠は得られない
グループインタビューで得られる情報は定性データであるため、統計的な根拠が得られるわけではありません。
仮に商品の使用目的を調査するためにグループインタビューをした場合、一定の答えは見いだせますが、それに該当する消費者の全体量を推察することは出来ません。回答者に偏りがあり、多くの消費者の潜在意識とかけ離れている可能性もあるでしょう。
割合や実数を調べるには定量調査が向いています。
なるべく消費者の潜在意識との乖離がないようにしたいのなら、グループインタビューと定量調査を組み合わせるといいでしょう。
デメリット2:必ず対象者の本音を探れるわけではない
グループインタビューをするからといって、必ず調査対象者の本音が出るわけではありません。
例えば、周りに対する遠慮から話題が膨らまないことがあるでしょう。意見をよく発する人に圧倒されて、自分の意見が言えない人もいます。
中には報酬目当ての調査対象者もいます。対象者の条件に合うよう無理に意見を合わせている可能性が高いため、そのような人たちから発せられる意見は本音とは言えないでしょう。
また、調査内容から逸れた話で盛り上がってしまい、肝心な議論ができないこともあります。
デメリット3:モデレーターの技量によっては必要な情報が得られない
グループインタビューで多くの情報を収集できるかどうかは、モデレーターの技量に大きく左右されてしまいます。
モデレーターの技量不足では必要な情報を収集できません。もっと掘り下げるといい話が聞けたような場合でも、もしモデレーターが次々と機械的に質問を投げかけるだけであれば、調査対象者の本音は探れません。
グループインタビューを行う際は、対象分野に詳しいだけでなく、情報収集経験が豊富で実績の伴ったモデレーターを起用すると良いでしょう。
デメリット4:日程の調整が難しい
グループインタビューは一度に4〜8人ほどが同時刻、同じ日に集まってもらわなくてはならないので、他の調査方法と比較して日程調整が難しいです。
定性調査の中でもデプスインタビューは1対1で調査を行うので、調査対象者の都合に合わせやすいのですが、グループインタビューはそうはいきません。
グループインタビューを行う際は、調査対象者の日程調整が難しいことを念頭に、余裕のあるスケジュールを立てておきましょう。
デメリット5:オフラインの場合コストがかかる
グループインタビューをオフラインで行う場合、かなりのコストがかかってしまいます。
調査対象者に支払う報酬だけでなく、調査対象者や調査員に支払う交通費、会場費などがかかります。調査員が別室で対象者を観察する場合は別室の費用がかかる上に、カメラ・マイクの費用もかかるでしょう。
また、全グループの調査日程が異なる場合、その都度会場費がかかってしまいます。
その場の雰囲気を直に感じたり親近感が湧いたりと、直接対面して行うことには多くのメリットがありますが、その分コストがかかることは念頭に入れておきましょう。
グループインタビューが有利な場面
グループインタビューには向き不向きがありますが、いったいどのような場面で有利なのでしょうか。
グループインタビューが有利な場面は以下の通りです。
- 新商品の開発やマーケティング戦略を立てるとき
- 商品の購入理由やマーケティング施策の効果を知りたいとき
- 製品やマーケティング施策を改善したいとき
新商品の開発やマーケティング戦略を立てるとき
グループインタビューは、新商品の開発やマーケティング戦略を立てるときに有利です。
例えば、SNSにも現れないような消費者の本音は言うまでもなく新製品やパッケージ、広告などのアイデアの参考となります。さらに、試作品に対する消費者の理解や反応、その理由も調べられます。
また、同じ世代や同性でグループを構成することで、ターゲット層に問題がないかどうかも確認できます。ターゲットに対する理解も深まるため、消費者のニーズに合った商品の開発、マーケティング戦略を立てられるのです。
商品の購入理由やマーケティング施策の効果を知りたいとき
グループインタビューは、消費者がどのような心理や行動で自社商品を購入しているのか、その理由を調べることにも向いています。
消費者の本音から、マーケティング施策がうまく機能しているかどうかも調べられます。
対象商品やマーケティング施策を改善したいとき
グループインタビューは消費者がなぜ対象商品を使用しているのか、その目的や使用方法、不満点を調査できます。そのため、対象商品やマーケティング施策の改善、商品をリニューアルしたいときにも有利です。
同じ商品でも人によっては使用目的や方法が異なることがあります。その理由は、人によって生活環境や背景事情が違うからです。これらを把握することで、新しい気付きや改善点が明らかになるでしょう。
グループインタビューの流れ
グループインタビューは、以下の流れに沿って行います。
- ヒアリング
- 契約
- スクリーニング
- インタビューの準備
- グループインタビュー本番
- 分析及びデータダウンロード
各段階にて行う具体的な内容は、以下で詳しく説明します。
1.ヒアリング
まずは調査会社にグループインタビューを行いたい旨を相談し、調査目的や課題を明確にします。
グループインタビューに限らず、何かを調査するときは調査目的と課題を明らかにすることが大切です。
「なぜ調査するのか」「何を知りたいのか」など目的をしっかりと立てた上で、達成するための課題を明確にしましょう。
2.契約
ある程度の調査内容が絞られると、調査にかかる価格やサービス内容について調査会社から提示されます。
内容を確認し、問題がなければ契約を結びます。
3.スクリーニング
調査会社と契約を結んだあとは、調査対象者を選ぶ条件を明らかにします。
調査目的と課題を達成するためにはどのような対象者が望ましいのかという観点から、条件を設定することが大切です。
調査対象者を選ぶ条件を明らかにしたあとは、実際に調査対象者を選定します。
調査目的や課題などにも寄りますが、2〜6グループほど構成できるよう調査対象者を選定するといいでしょう。
このとき調査対象者を選ぶ一般的な方法は、ウェブアンケートです。
ウェブアンケートを行う際は、基準に当てはめようとする対象者を避けるためにも選定基準が伝わらないように、且つ行動の実態が把握できる設問を立てましょう。
4.インタビューの準備
調査対象者を選定すると同時に、インタビューの準備も行いましょう。
まずはインタビューフローの作成です。
インタビューフローとは、調査目的や課題を達成するために作るインタビューのシナリオのことを指します。
グループインタビューは調査対象者たちが自由に話し合いをしますが、ある程度の流れを決めておかないと大きく話題がそれてしまうこともあります。そこで、あらかじめどのような質問をするのか決めておくのです。
インタビューフローの作成手順は以下の通りです。
- 質問を洗い出す
- 質問の優先順位をつける
- 質問にかける時間を設定する
- 調査関係者の間で合意する
ただし、実際にはインタビューフローの通りにはいかず、話し合いの過程で予想もしなかった話題が出ることもあります。
事前に調査目的や課題をしっかりと伝えておけば、モデレーターが臨機応変に対応することになっても多くは流れを逸らさずに済みます。
5.グループインタビュー本番
インタビューの準備が整ったあとは、いよいよグループインタビュー本番です。
調査対象者の言動から、商品の開発や改善、マーケティング施策の見直しに役立つ情報を収集しましょう。
6.分析及びデータダウンロード
グループインタビューが終了したあとは、モデレーターから集約した意見の報告をもらい、分析を行います。
調査会社から受け取るデータは分析結果がわかりやすくまとめられているため、すぐに商品の開発や改善、マーケティング施策の見直しに役立てられるでしょう。
グループインタビューはオンラインがおすすめ
グループインタビューは定量調査ではわからない消費者の本音が聞けるため、新商品の開発や商品の改良、マーケティング施策の見直しにも適しています。
一般的にグループインタビューは直接対面するオフラインの場合が多いです。
場の雰囲気を感じられたり参加者に対する親近感が湧いたりと、オフラインで行うメリットは多くあります。
ただしオフラインで行う場合、膨大な費用がかかってしまう上に調査対象者の日程調査も難しくなります。昨今の感染症の対策のためにも、グループインタビューはオンラインで行うといいでしょう。
◆グループインタビューをオンライン開催するメリット
- 会場費・交通費・設備費を削減できる
- 日程調整の際に会場に来てもらうことを考慮しなくてよい
- 調査内容にぴったりな調査対象者を全国から選べる
- 感染症のリスクがない
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グループインタビューを行う際は、手頃な値段で必要な情報が得られる「MO Insights」をぜひご検討ください。
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