ライフスタイル分析とは?特徴やメリット、代表的なアプローチ手法を解説
2022年05月16日
ライフスタイル分析とは、生活様式や日常の行動を基準として消費者を分類し、各層の価値観や深層心理内のニーズを把握するマーケティング手法です。
性別や年齢などの属性だけでなく、価値観や興味の対象など内面的な情報をもとに消費者を分類するため、より核心を突いたマーケティングが実践しやすくなります。
この記事では、ライフスタイル分析のメリットやどのように役立つかを解説します。
ライフスタイル分析とは
ライフスタイル分析とは、消費者の価値観や生活行動などを調査する手法の一種です。
自社製品やサービスのターゲットが持つライフスタイルを、複数かつさまざまな観点の基準をもとに分類し、それぞれの特徴に合わせた製品開発やコンセプトを設計する際に活用します。
◆ライフスタイルの分類例
- 価値観
- 生活習慣
- 購買行動
- 本人の目標
- 休暇の過ごし方
- 社会的活動
- ブランド嗜好
- 車の嗜好
- etc.
ライフスタイル分析で活用するサイコグラフィック特性とは
従来、マーケティング施策やキャンペーン立案のために消費者属性を分類する際は、デモグラフィック特性(表面的な情報)を基準とすることが多くありました。
◆デモグラフィック特性
しかしデモグラフィック特性から読み取れるのは、あくまでも人口統計学的な情報のみであり、同じような年収・社会的地位にある人物同士でも、個人の嗜好や日々の過ごし方、お金の使い道などは異なることが多いです。
デモグラフィック特性はライフスタイル分析でも利用できますが、幅広い消費者の特性を厳密に把握するのは難しいといえます。
したがってライフスタイル分析では、サイコグラフィック特性(内面的な情報)をもとに、より厳密に消費者を分類します。
◆サイコグラフィック特性
サイコグラフィック特性をもとに消費者のライフスタイルを分類することで、行動様式や価値観に合わせ、深層心理で求めているニーズを把握しやすくなります。
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ライフスタイル分析で得られるメリット
ライフスタイル分析を用いてターゲティングを実施することで以下のメリットが得られます。
- 消費者ニーズに深く踏み込んだ商品開発や施策立案が行える
- 消費者の行動要因を予測できる
消費者ニーズに深く踏み込んだ商品開発や施策立案が行える
ライフスタイル分析ではサイコグラフィック特性(内面的な情報)から消費者の生活体系を分析します。
生活体系は個人で異なるため、性別・年齢・年収などデモグラフィック特性(表面的な情報)だけを基準とするよりも、それぞれの価値観や深層心理で求めていることを予測しやすいです。
消費者が深層心理で求めていることを予測することで、より核心を突いた商品開発やコンセプト設計が実施しやすくなります。
消費者の行動要因を予測できる
ライフスタイル分析では、性別・職業などの表面的情報ではなく、消費者の行動や価値観をもとにした内面的な特徴がわかります。
性別や職業でもある程度消費者の特性を掴むことは可能です。しかし「なぜ購入したのか?」「いつ必要性を感じたのか?」などといった消費者の行動要因の分析や予測を綿密に実施する際は、価値観や生活様式にまで踏み込んだ深い分析が必須です。
ライフスタイル分析の代表的なアプローチ手法
ライフスタイル分析を実施する際は、下記を代表とするアプローチ手法を用いて生活者の行動を分類し、各項目に応じた顧客調査を行います。
◆代表的なライフスタイル分析のアプローチ手法
- AIOアプローチ
- VALS™
- Japan-VALS™
- LOV
調査結果をもとに、クラスター分析や因子分性などの統計手法を組み合わせて消費者ニーズを読み取り、製品開発やサービス改良などに活用します。
AIOアプローチ
AIOアプローチとは、生活者の行動を「Activities(活動)・Interest(興味・関心事)・Opinion(物事への意見)」という3つの観点から分析する、ライフスタイル分析の代表的な手法です。
A・I・O各項目の調査結果+従来のデモグラフィック特性データを掛け合わせて利用することが多いです。
◆AIOアプローチの各項目における質問内容
観点 | Activities (活動) |
Interest (興味・関心事) |
Opinion (物事への意見) |
---|---|---|---|
内容 | どのような活動に時間を使っているか | どのような内容に興味・関心を持っているか | 世間で起こる物事に対してどのように考えているか |
調査する要素 | 仕事 趣味 休暇 ショッピング クラブ会員 娯楽 スポーツ 地域社会への参加 社会イベント など |
家族 家庭 仕事 ファッション 食事 目標の達成 メディア レクリエーション コミュニティ など |
政治 社会問題 自分自身 ビジネス 未来 文化 製品・サービス 教育 経済 など |
VALS™
VALS™(Values and Lifestyles)とは、スタンフォード大学とUCバークレーが共同開発した分析手法です。
VALS™では消費者に行動・性格・価値観などに関する質問を実施し、回答結果に応じて以下9つのセグメントに分類します。各層のライフスタイルに合わせた製品開発やコンセプト設計に活用されています。
◆VALS™の顧客セグメント
- 自己実現者
- 成功者
- 集団帰属者
- 生活維持者
- 生活困窮者
- 成功願望派
- 社会良識派
- 知性派
- 若手知性派
マーケティング活動に用いる際は、各セグメントが持つ固有の価値観に応じた施策の実施が重要です。
例えば顧客セグメントで「成功者」に分類された人は、社会的地位が高く自尊心も大きいとされています。
したがって高級志向のサービスを好む傾向が強いと言われており、空港のラウンジや会員制バーなど、高級感や特別感を味わえるよう、各顧客セグメントに響く価値観の提供を考慮することが大事です。
Japan-VALS™
Japan-VALS™は、米国人の価値観を基準に作られたVALS™を日本市場に適用できるようにアレンジされたライフスタイル分析手法です。SRIC-BI(現ストラテジック・ビジネス・インサイツ)と株式会社NTTデータが共同開発して作られました。
具体的には、日本市場における消費者の行動を3方向の「ありたい姿」に分類し、方向に応じて細かく10項目のセグメントを定めていきます。このようにJapan-VALS™では消費者のニーズを正確に把握する際に役立ちます。
◆日本市場における3方向の「ありたい姿」
- 伝統
- 日本の古くからの伝統やしきたりを重視する
- 達成
- 自分の目標を掲げており、キャリア・社会志向が強い
- 自己表現
- 自分の気持ちを尊重し、流行に敏感に反応して刺激的な日々を過ごしたい
◆10のセグメント
属する方向性 | セグメント |
---|---|
方向性が定まっていない層 |
|
伝統派 |
|
達成派 |
|
自己表現派 |
|
達成派と自己表現派の中間 |
|
LOV
LOVとは、ミシガン調査研究センターが開発したライフスタイル分析手法で、米国人を対象に実施された調査結果が元になって構築されました。
VALS™と同時期に開発されており、マズローの欲求5段階説・ロキーチの18個の最終価値など、複数の理論がベースとなっています。
LOVは消費者の価値観を9項目に分類し、重要だと思う項目を選んだり、項目を重要度の高い順番に並べ替えてもらったりして、消費者の価値観を類型化しています。
◆LOVにおける価値観9項目
- 帰属意識
- 生活の楽しみや喜び
- 他者との温かい関係
- 自己達成
- 他人からの尊敬
- 興奮
- 達成感
- 安全
- 自尊心
まとめ
ここまでライフスタイル分析の概要から、代表的なアプローチ手法を解説しました。
ライフスタイル分析は職業・性別・年収などの表面的な情報ではなく、価値観など内面的な情報を基準に消費者のライフスタイルを分析していく手法です。
具体的な行動要因や深層心理にあるニーズを把握して、サービス改善につなげられます。
ぜひ今回の記事を参考に、自社に最適な方法を検討し、ライフスタイル分析を行いましょう。
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