商品開発の流れとは?成功事例や分析手法を詳しく解説

2022年06月16日

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新商品や既存商品のリニューアルなど商品開発を行う際は、マーケティングリサーチで顧客のニーズや市場調査などを把握し、コンセプト設計を進めていきます。

さらに商品設計や販売戦略の検討も必要なため、商品開発には時間がかかります。商品開発を進めるには全体の流れを理解し、フレームワークを活用しながら進めていくとよいでしょう。

本記事では、マーケターとして知っておきたい商品開発の流れや成功事例、分析手法を解説します。

商品開発の流れ

商品開発を始める前に、まずどのように進めていくのか方向性を定めます。

例えば、顧客ニーズから商品の着想を得る方法や、企業の理念や方針などプロダクトアウト型で商品を考案する方法、競合商品を元に改良する方法などが挙げられます。
軸となる方法を決めて商品開発するのがよいでしょう。

商品開発の方向性を決め、以下の流れで進めていきます。

  1. マーケティングリサーチ
  2. コンセプト開発・検討
  3. 商品設計
  4. 販売戦略の選定

1.マーケティングリサーチ

商品開発をする上で欠かせないのがマーケティングリサーチです。商品開発をする際には、マーケティングリサーチで以下の点を調べます。

  • 競合他社商品のリサーチ・分析
  • ホワイトスペースを発見するための市場調査
  • 顧客ニーズの把握

顧客の顕在ニーズや潜在ニーズを見つけるためにインターネットリサーチや、インタビュー調査を実施したり、市場調査からどのような市場や商品であれば成功できるのかを分析したりすることで、新規自社商品の開発や既存商品の改善を行います。

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また商品開発ではマーケティングリサーチとあわせて、以下の分析手法も活用されます。

  • STP分析
  • SWOT分析
  • PEST分析
  • 5F分析

商品開発の際に分析を行うと、ターゲット設定や自社の強みを発見する際に役立ちます。商品開発で役立つ分析手法については、商品開発で役立つ分析手法4つで解説します。

2.コンセプト開発・検討

マーケティングリサーチのデータを元に商品のコンセプト開発を進めます。

コンセプト開発は、商品開発の営業や製造、広告など各部門の担当者を集めてワークショップを開き、ブレインストーミングを実施するのが一般的です。
複数の部門をまたいで多角的な視点で考えることにより、これまで出てこなかったアイデアが形になることもあります。

コンセプト開発を行う際には、以下の項目について話し合います。

  1. 商品のコンセプト
  2. ターゲットは誰か
  3. いつ商品を使うのか
  4. 商品を使う目的は何か
  5. どのように商品を使うのか

ブレインストーミングで出てきたアイデアのコンセプトテストを実施し、アイデアをスクリーニングします。

さらにコンセプトに合わせてプロトタイプを作成し、ターゲットに使用してもらいフィードバックを受け改良を重ねながら商品を形にしていきます。

3.商品設計

商品のコンセプト設計ができたら、次は商品設計を行います。商品設計では、以下の点を検討し決定します。

  • ブランドネーム
  • パッケージデザイン
  • 製造方法、使用原料
  • 価格

特にブランドネームやパッケージデザインの選定は、商品のイメージを大きく印象づけるため重要です。

ホームユーステストや会場調査で商品を使用してもらい、ブランドネームやパッケージデザインへの印象や商品の優位性などを把握します。
競合商品と比較して自社商品にどのようなベネフィットがあるのか、コンセプト設計は正しく顧客に伝わっているのかなど、さまざまな内容を吟味して、商品設計のブラッシュアップを行いましょう。

4.販売戦略の選定

商品を市場に投下する際の広告戦略や販売チャネルを選定します。

検討するのは以下の項目です。

  • 販売先:スーパー、自社EC販売、百貨店、コンビニ
  • 販売促進の媒体:WEB広告、チラシ、マスメディア、自社メディア、店舗での実演

新商品であれば、ブランド認知の拡大や特長を理解してもらうことを念頭に置いて、販売戦略を考えます。
既存商品のリニューアルであれば、改善点の訴求やブランドイメージの再構築を目指して戦略を練るとよいでしょう。

商品を市場に投入した後は、想定通りにブランド認知が進んでいるかなどをリサーチしながら、モニタリングをしていきます。

商品開発の事例

既存商品の改良と新商品開発の事例を解説します。商品開発のヒントとして役立てください。

【事例1】既存商品の改良:A社の冷凍餃子

A社の冷凍餃子は、顧客満足度が高かったものの顧客の潜在ニーズを発見し、リニューアルしたことで購入率と新規顧客率が前年同期比で大幅にアップした成功事例です。

◆商品開発の流れ

1.マーケティングリサーチ
  • 消費者調査の実施
    (実際に家庭で使用しているフライパンを持参してもらい、「ギョーザ」を目の前で調理してもらう)
  • 調査結果から目分量で水を入れて調理していることを知り、水の量を計るのは面倒という顧客の潜在ニーズを発見
2.コンセプト開発・検討 油と水を使わずに焼ける「ギョーザ」
3.商品設計
  • 油と水を使わずに焼けて、誰でも簡単に調理できる「ギョーザ」
  • 豚肉の配合比率を20%増量し、具材にジューシー感のある「ギョーザ」
4.販売戦略の選定 新聞や雑誌、TVCMのマスメディアを使った宣伝活動のほか、食品スーパーなどでの実演試食会、景品が当たるキャンペーンを連動

A社は冷凍餃子の商品改良にあたって、消費者調査を実施しました。調査の結果、分量通りに水を入れていない点に気づき、商品の売りである「パリッとした餃子」が提供できていないことがわかりました。

顧客の潜在ニーズから水の量を計らずに簡単に調理できる冷凍餃子に改良し、前年度比130%の売上アップに成功しています。潜在ニーズを満たす商品を開発することで、主力商品の改良につなげた事例です。

【事例2】新商品開発:B社の缶コーヒー

「どのようなときに飲むのか?」「何のために飲むのか?」を掘り下げて、新たな価値を発見し、新商品開発でマーケットシェアの拡大に成功したB社の缶コーヒーの事例です。

◆商品開発の流れ

1.マーケティングリサーチ 市場調査の実施
(約4割が午前中に缶コーヒーを飲用していることがわかった)
2.コンセプト開発・検討 朝専用の缶コーヒー
3.商品設計
  • 毎日飲みたくなる味
  • 朝飲んで仕事へ気分を切り替えできる缶コーヒー
4.販売戦略の選定
  • 認知度アップを狙い、駅やタクシー乗り場などでサンプリングを朝に実施
  • 女性アイドルをCMに起用

B社は缶コーヒー市場で5位に位置していましたが、朝専用の缶コーヒーを開発したことで3位にポジションアップしました。
競合商品は味わいなどで勝負していましたが、マーケティングリサーチの結果判明した「約4割の顧客が午前中に缶コーヒーを飲用」している点に着目し「朝」という時間軸で商品開発しました。

顧客の消費行動から新しい視点を見出した商品開発の事例といえます。

商品開発で役立つ分析手法4つ

商品開発で役立つ分析手法を4つ紹介します。

STP分析

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STP分析
セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の要素から構成され、市場を細分化してターゲットや立ち位置を理解するための分析手法。

商品開発においては、STP分析は市場調査やターゲット設定の際に役立ちます。

例えば、商品を使用してもらいたい顧客を年齢や性別などでセグメントし、ターゲティングから効果が高いと予測されるペルソナを絞ります。
さらにポジショニングを分析することで、競合他社や商品と比較して自社の立ち位置や強みとなる軸を見つけ出せます。

関連記事
STP分析におけるセグメンテーションとは?意味や分析方法・成功事例を解説

SWOT分析

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SWOT分析
強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の4つの要素を内部環境、外部環境、プラス要因、マイナス要因に分けて分析する手法。戦略の方向性を検討するには、クロスSWOT分析も実施する。

SWOT分析では「機会」に強みを当てていくことで積極的に取り組むべき戦略を把握できます。

また、SWOT分析やクロスSWOT分析は自社の優位性や狙うべき市場、活かすべき自社の資材を見つけ出せるので、自社の強みを活かした商品の開発に役立ちます。

関連記事
SWOT分析とは?内部環境・外部環境の4要素や分析方法を解説

PEST分析

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PEST分析
政治(Politic)、経済(Economy)、 社会(Society)、技術(Technology)の視点から外部環境を分析する手法。現在または未来にどのような影響を与えるのか予測したいとき役立つ。

PEST分析は、法改正や景気動向、流行、新技術など自社を取り巻く外部環境を長期的な視点で分析していきます。

例えば、環境保全に考慮した商品開発や新技術を取り入れた既存商品の改良など、時代にあった商品開発を行いたいときに活用できます。

5F分析

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5F分析
自社の外部環境を5つの要素に分けて分析する手法。自社を取り巻く脅威から市場や競合の収益構造を把握し、自社や商品の収益性を把握する。

5F分析では、自社の外部環境を以下の要素で分析します。

  • 新規参入企業の脅威
  • 業界内の競合の脅威
  • 売り手の脅威
  • 買い手の脅威
  • 代替品の脅威

5つの脅威を分析すると、新規参入できるホワイトスペースがあるのか、収益が見込めるかなど新商品開発の際に役立ちます。他社が新規参入しやすい市場や、自社商品の代替品がある状況では競争率が上がり、収益が下がる予測ができます。
5F分析は、新規参入だけではなく、商品の撤退を検討する際にも活用できます。

同じく外部環境を分析するPEST分析とあわせて実施し、さらにSWOT分析で外部環境や内部環境を深掘りしていくのがよいでしょう。

まとめ

新商品の開発、既存商品のリニューアルを行う際は、市場調査やマーケティングリサーチを重ねて、顧客ニーズや市場に合う商品などのアイデアを出していきます。
さらに分析手法を取り入れながら、ペルソナ設定や自社を取り巻く環境の調査を行います。

商品開発を成功させるためには、コンセプト調査やプロダクトテストを実施し顧客のインサイトを探りながら進めていきましょう。

本記事をぜひ自社の商品開発にお役立てください。

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