【基本】競合調査とは?やり方や調査項目、フレームワークを徹底解説
2024年07月09日
自社の戦略や商品・サービス開発などを決定する際、市場における自社の立ち位置やライバル企業との差について把握することは非常に重要です。そのため、多くの企業は意思決定のために競合調査を行います。
しかし競合調査をはじめて行う場合、「どのように競合調査を進めたら良い?」「どのようなことを調査したら良い?」とお悩みの企業も多いでしょう。
そこで、この記事では競合調査の概要やメリット・デメリット、やり方、調査すべき項目について、わかりやすく解説します。
競合調査とは
競合調査とは、競合他社の情報を多角的な面から明らかにする調査のことです。
自社の新規事業立上げや新商品・新サービスを開発する際に行われることが多くありますが、他にも社内体制や戦略・オペレーションの改善などにも活用されます。
競合調査の目的は、「競合他社の強み・弱みを把握することで、自社との差別化を図る」ことです。さまざまなモノやサービスがあふれている日本の市場では、他社にはマネできない自社ならではの価値を創造することが求められています。
競合調査を行うことで、自社が目指すべき差別化の方向性が見えてくるため、多くの企業が意思決定のために競合調査を実施しています。
市場調査との違い
競合調査とよく似た言葉に市場調査があります。しかし、競合調査と市場調査では調査対象や目的、活用される場面が以下のように異なります。
競合調査 | 市場調査 | |
---|---|---|
調査対象 | 競合他社の情報 | 現在の市場の状況や消費者ニーズ |
目的 | 競合他社との差別化 | 経営の意思決定に役立てる |
主な活用場面 |
|
|
市場調査をより詳しく知りたい場合、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【まとめ】市場調査とは?代表的なやり方や種類をわかりやすく解説
競合調査を行うメリット・デメリット
競合調査を行うメリット・デメリットを解説します。
メリット
競合調査を行う主なメリットを以下にまとめました。
- 認識していなかった新しい競合企業を把握できる
- 自社や競合他社の強み・弱みなどの特徴を正確に把握できる
- 競合他社との効果的な差別化につなげられる
- 競争が発生する前に、予測して対応できる
こうしたメリットを享受することで、市場シェアの拡大や利益の向上も期待できます。
デメリット
競合調査を行う主なデメリットを以下にまとめました。
- 調査の準備から実施後の分析まで工数がかかる
- 調査に費用がかかる
工数と費用はかかるものの、市場での競争を勝ち抜くために多くの企業が競合調査を実施しています。
競合調査のやり方
ここでは、競合調査のやり方を解説します。
1.目的を明確化する
競合調査を「なぜ行うのか」「何に活用したいのか」という目的を明確にします。例えば、以下の目的で調査を実施することがよくあります。
- 新事業の立ち上げ
- 新商品・新サービスの開発
- 既存商品・サービスの改良
- ビジネスモデルの再構築
- 人事や評価などの社内体制の改善
- 商流の見直し
- 戦略・オペレーションの改善
2.調査する競合他社を設定する
策定した調査目的に合わせた調査する競合他社を洗い出します。
商品・サービスの改良であれば、自社と似た価格帯・シェア率の企業を選定することがおすすめです。
調査対象は、例えば「業界のトップ企業」「自社と似ている企業(マーケティング戦略や価格帯、ビジネスモデルなど)」「シェア率が低い企業」などから目的に合わせて複数ピックアップしましょう。
3.仮説を立て、調査項目を決定する
次に調査目的や仮説に合わせて調査項目を決定します。
仮説を立てる際には、自社の強みや弱みを洗い出しておきましょう。例えば、商品・サービスの改良に活用したい場合、「新機能を追加することで、競合他社と差別化につながり、シェア率を高められるはず」という仮説が立てられます。
目的に合わせた調査項目の具体例は、後ほど解説します。
4.調査後、仮説を検証する
調査の実施方法には、以下のような方法が挙げられます。
- インターネットで調べる
- 競合他社の製品・サービス売り場に調査に行く
- 調査会社に依頼する
調査実施後には調査項目ごとに結果分析・仮説検証を実施します。
仮説どおりの結果であれば、そのまま事業活動に活用します。仮説と異なる結果だった場合には、再度仮説を立てて調査するか、方向性を見直すことが必要です。
【目的別】競合調査におすすめの調査項目
ここでは、調査目的別におすすめの調査項目を解説します。
ビジネスモデル
ビジネスモデルとは、企業活動において「顧客への価値提供」と「収益を生み出す」ための仕組みのことです。ビジネスモデルを再構築したい場合には、主に以下のような項目の調査がおすすめです。
- 事業規模
- 経営方針
- 商品展開
- 顧客層
- 販売・サービス経路
- マーケティング戦略
商品・サービス
商品サービスの開発や改良を目的とする場合、主に以下のような項目の調査がおすすめです。
- 商品・サービスのラインナップ
- 商品・サービスの特徴や品質
- 価格帯
- 顧客の評価
- 接客やアフターサービス
Webサイト
自社のホームページやECサイトなどのWebサイトの開設や改良を目的とする場合、主に以下のような項目の調査がおすすめです。
- コンテンツの内容
- 中心となるコンテンツ
- サイト全体のUI/UX
- ターゲットユーザーの属性
- 購入や問い合わせの導線
- 連携しているSNSの種類
- 画像や動画の量、質
- サイト更新頻度
販売戦略
自社の販売戦略の立案や見直しを目的にする場合、主に以下のような項目の調査がおすすめです。
- 販売チャネル・方法
- 販売実績
- 業界シェア
人事戦略
自社の人材採用や評価制度などの人事制度の見直しを目的にする場合、主に以下のような項目の調査がおすすめです。
- 従業員数
- 雇用形態
- 給与体系
- 福利厚生
商流
商流とは、商品・サービスの企画・開発から製造、販売、アフターサービスまでの全体の流れのことです。商流の改善を目的にする場合、主に以下のような項目の調査がおすすめです。
- 受注・発注方法
- 外注先
- 契約や規定の内容
- 問題発生時の責任・賠償に関する規定
競合調査に活用できるフレームワーク
競合調査・分析に活用できる代表的なフレームワークを解説します。
4C分析
4C分析とは、顧客の購買意思決定に影響する以下の4つの要素について、顧客目線で捉えて分析することです。
- 顧客価値(Customer Value):顧客から見たベネフィットや性能、デザイン性、ブランド価値
- 価格(Cost):顧客が商品購入にかかった手間や交通費、商品価格を含めたコスト
- 利便性(Convenience):顧客が商品を購入する手段や決済方法
- コミュニケーション(Communication):商品情報の入手しやすさ、対面・オンラインイベントの実施、コミュニケーションツール(SNSやメールなど)
4C分析は、主に自社の商品・サービスが顧客に選ばれている理由を分析する際に活用します。4C分析の活用方法や注意点は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:4C分析とは?4Pとの関係性や3C違い、活用方法を解説
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析とは、原材料調達~商品・サービスを顧客に提供するまでの一連の活動を一つの「チェーン(連鎖)」と捉え、それぞれの工程においてどの程度「バリュー(価値)」が創出されているかを分析するフレームワークです。
具体的には、主活動として「原材料の購買物流」や「製造」、「出荷物流」、「販売」、「マーケティング」、「アフターサービス」、支援活動として「技術開発」「人事管理」などの活動に分けて分析します。
バリューチェーン分析は、自社の強みや弱みを把握し、他社と差別化できる価値を洗い出すために活用されます。
ファイブフォース分析
ファイブフォース分析(5F分析)とは、自社を取り巻く環境要因を、以下の5つの要素に分けて分析するフレームワークです。
- 競合他社の脅威
- 代替品の脅威
- 新規参入者の脅威
- 買い手の交渉力
- 売り手の交渉力
ファイブフォース分析は、市場の競合優位性や自社の収益性を把握したい場合などに活用されます。ファイブフォース分析の活用シーンや実践事例は以下の記事をご覧ください。
関連記事:5F分析とは?5つの要因の意味や分析する際の注意点、事例を解説
SWOT分析
SWOT分析とは、自社の内的要因・外的要因を以下の4つの視点から分析するフレームワークです。
- Strength(強み)
- Weakness(弱み)
- Opportunity(機会)
- Threat(脅威)
SWOT分析は、経営戦略やマーケティング戦略において活用されます。SWOT分析の方法は以下の記事をご覧ください。
関連記事:SWOT分析とは?内部環境・外部環境の4要素や分析方法を解説
まとめ
この記事では、競合調査の概要ややり方、おすすめの調査項目、フレームワークについて解説しました。
競合調査は調査の設計・分析など高度なノウハウが求められます。そのため、調査だけでなくサポート体制が充実した調査会社に依頼することがおすすめです。
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