コーポレートアイデンティティとは?自社らしさの見つけ方、作り方を解説
2023年12月08日
自社のブランディングを行う際に重要な視点の一つが、コーポレートアイデンティティです。コーポレートアイデンティティとは「自社らしさ」を指し、策定すると企業の認知度向上に役立ったり、組織の一体感が生まれるなどのメリットがあります。
「企業ロゴやスローガンを策定し、社外へ発信すれば良いのでは」と考える方もいるかもしれません。しかし、コーポレートアイデンティティを浸透させるには、まず組織全体が理念やビジョンを理解し、一人ひとりが体現したうえで社外へ発信することが求められます。
本記事では、コーポレートアイデンティティの概要や策定のステップ、策定時に役立つ効果的な調査方法を解説します。
コーポレートアイデンティティとは自社らしさを打ち出して企業価値を高める戦略
コーポレートアイデンティティ(CI)とは、一言で言うと「自社らしさ」です。具体的には、企業理念やロゴ、スローガンなど、全ての企業活動に一貫性を持ち、社内外に発信することで、ブランドイメージを醸成する戦略を指します。
コーポレートアイデンティティを策定する目的
企業の人格とも言えるコーポレートアイデンティティを策定することは、社内外に良い影響を及ぼします。
例えば企業理念や事業内容を通じて、企業が統一感のあるメッセージを発信し続けると、消費者やステークホルダーが企業に抱くイメージが形成され、競合他社との差別化を図ることができます。さらに、企業の認知度向上も期待できます。
また、コーポレートアイデンティティが明確だと、組織全体で明確な行動基準や目標達成へのビジョンを共通認識として持てるようになります。結果として、社員のモチベーション向上やウェルビーイングにつながり、組織の一体感が醸成されていきます。
社員の意識を高めることも、コーポレートアイデンティティの目的の一つです。例えば、自社の社用車を見た消費者が「〇〇会社の人だ」と認識するようになれば、社員が「組織の一員として責任ある行動をしよう」とする意識に変わると考えられるからです。
コーポレートアイデンティティを構成する3つの要素
コーポレートアイデンティティは、以下の3つの要素から構成されます。
- MI(マインドアイデンティティ)
- BI(ビヘイビアアイデンティティ)
- VI(ビジュアルアイデンティティ)
MI(マインドアイデンティティ)
マインドアイデンティティ(Mind Identity)は、企業理念を指します。具体的には、「なぜ企業が存在するのか」「何を重視するか」といった、企業の信念や哲学がこれにあたります。
企業の考え方の基盤となるため、社員の行動や振る舞いにも影響を与える要素です。また、後述するBIやVIはこのMIをもとに作成されるため、3つのうち最も重要な要素ともいえます。
BI(ビヘイビアアイデンティティ)
ビヘイビアアイデンティティ(Behavior Identity)は、企業・社員の行動や態度などコミュニケーションの指針になるものです。具体的には、組織体系や販売体制、社員教育の方針などが該当します。
「顧客にどう思われたいか」「そのためにはどのように行動すればよいか」というように、MIよりも具体的な計画や行動を指します。
VI(ビジュアルアイデンティティ)
ビジュアルアイデンティティ(Visual Identity)は、例えば企業のロゴやシンボルなど、視覚的にMIやBIを伝えやすく表現したものを指します。一目見ただけで、企業を思い出せるものが理想的です。
コーポレートアイデンティティ策定のステップ|自社らしさを知るために効果的な調査も紹介
コーポレートアイデンティティ策定までのステップは、大きく3段階にわかれています。本章では、各ステップで何をすべきか、また、効果的な調査方法は何か、解説します。
1.現状把握・分析
コーポレートアイデンティティを設計する際は、まず始めに現在の企業理念やビジョンの再確認を行ってください。現状を把握することで、コーポレートアイデンティティ策定後のイメージも明確になります。
自社が目指す方向性と、社外の消費者やステークホルダーが抱くイメージの間にギャップがある場合があります。認知度調査やブランド調査など、市場でのポジションや顧客ニーズを見きわめる調査を実施することで、顧客目線も加味してコーポレートアイデンティティを策定できます。
認知度調査は「認知度調査とは|実施すべきタイミングや取り入れたい質問項目を紹介」で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
2.MI、BI、VIの設計
次に、MI、BI、VIの設計を、①MI、②BI、③VIの順に行います。
MI
まずは、BIとVIの基盤にもなるMIの設計から始めます。
コーポレートアイデンティティを社内外に浸透させるには、組織全体の理解が必要不可欠です。策定の主導となるのは経営陣ですが、社員の意見も積極的に取り入れることでより一体感が生まれやすくなります。
MIの中には、行動指針となる「スピリット(大切にすべき精神)」が含まれます。このスピリットは、次のBIでも重要なキーワードです。
BI
MIが浸透した状態を作るため、具体的な行動指針であるBIを決めていきます。
行動指針となる「スピリット(大切にすべき精神)」は、社員一人ひとりの行動から日々のマネジメントまで、あらゆるところに存在します。ただルールを策定するだけでは、何の意味もありません。
大切なのは、社員一人ひとりが具体的な行動でMIを示していけるよう、「理解→実感→実践」と、段階を踏んで反映できるように設計することです。
VI
最後に、MIやBIを視覚化できるものを作成します。デザイナーに一任せず、完成後は自社のイメージに合っているかどうか十分確認することが大切です。
【VIで決定する項目例】
- パーソナリティ
- カラー
- ビジュアルイメージ
- フォント
- デザインイメージ
3.ブランド戦略の策定・実行
最後に、社内外に向けた戦略を策定します。
社員にコーポレートアイデンティティを定着させるには、例えばポスターを掲示したり、研修やクレドを活用することが挙げられます。社外に浸透させていきたい場合は、商品ロゴやSNS、ホームページに反映させることが代表的です。
各種施策を一定期間実施した後は、社内外間のギャップや浸透度、予算やスケジュールといった効果検証を行います。コーポレートアイデンティティは、売上やクリック率など定量的な数値での計測は困難です。しかし、ブランドリフト調査やCS調査を行えば、ブランディング戦略の効果測定が行えます。
CS調査については、「CS調査とは?よくある失敗と効果的な調査を行うための6つのポイント」をご覧ください。
また、ブランドリフト調査については、「ブランドリフト調査とは|広告成果を可視化する2つの調査方法を解説」をご覧ください。
コーポレートアイデンティティ策定時の注意点
コーポレートアイデンティティを策定する際は、以下2つの注意点をおさえておくことが大切です。
5年後、10年後を見据え、長期的な視点で慎重に策定する
企業の人格でもあるコーポレートアイデンティティを頻繁に変更してしまうと、自社ブランドがブレてしまい、社員の混乱を招くだけでなく、顧客からの信頼を損なう可能性もあります。5年後、10年後を見据えて、慎重に策定することが重要です。
インナーブランディングの成功がコーポレートアイデンティティ浸透の鍵
コーポレートアイデンティティを社外に発信・浸透させていくには、まずは社内へ定着させることが必要不可欠です。
社外への発信ばかりを意識してしまうと、社員の行動に反映されず、せっかく決めたコーポレートアイデンティティも形ばかりとなってしまいます。
理想的な状態は、組織全体が同じ温度感でコーポレートアイデンティティを理解し、日々の業務やコミュニケーションで体現することで、自ずと社外に発信していく状態です。
社内報や研修を通じて継続したインナーブランディングを実施し、社員一人ひとりがコーポレートアイデンティティを体現できるようになることが、結果としてアウターブランディングの実現につながります。
まとめ|コーポレートアイデンティティで「自社らしさ」を打ち出す
「自社らしさ」を可視化するコーポレートアイデンティティ(CI)を策定すると、すべての企業活動に一貫性が生まれます。社内外に発信することで、ブランドイメージを醸成することもでき、他社との差別化や組織の一体感向上にも効果を発揮します。
コーポレートアイデンティティの策定にあたって、自社の現状を把握し、目指す方向を明らかにするためには、認知度調査やブランドリフト調査といった各種リサーチを活用することが効果的です。
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よくある質問
Q1.コーポレートアイデンティティの要素は? |
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コーポレートアイデンティティの構成要素は、以下の3つです。
詳しくは、「コーポレートアイデンティティを構成する3つの要素」の章をご覧ください。 |
Q2.コーポレートアイデンティティを策定する際に、どのような点に注意すればよい? |
コーポレートアイデンティティを策定する際に注意すべき点は、以下の2つです。
詳しくは、「コーポレートアイデンティティ策定時の注意点」の章をご覧ください。 |
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