潜在ニーズの見つけ方は?引き出す質問例や成功例も解説
2023年06月09日
潜在ニーズとは、ユーザー自身が気づいておらず、明確に言語化されていないニーズを指します。
潜在ニーズの掘り起こしには、ユーザーの声を直接拾える、アンケート調査やインタビュー調査が有効です。とはいえ、具体的にどのような質問をすれば潜在ニーズを掘り起こすことができるのか、知りたい方も多いのではないでしょうか。
この記事では、潜在ニーズの意味や類語との違い、引き出し方などについて、マーケティング初心者の方に向けてわかりやすく解説します。
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潜在ニーズとは、ユーザー自身が気づいていないニーズのこと
潜在ニーズは、ユーザー自身が気づいていないニーズを指します。表面化されていないニーズのため、見つけ出すのが難しいです。しかし引き出すことができれば、企業の顧客満足度向上や新商品開発などに役立つ知見を得られることもあるため、マーケティング活動では潜在ニーズの把握は必要不可欠な要素の一つとなっています。
潜在ニーズと顕在ニーズの違い
潜在ニーズの対義語に、顕在ニーズがあります。顕在ニーズは、ユーザー自身が、どのようなモノ・サービスがほしいか自覚している状態のニーズです。
例えば、ダンベルを購入しようとする人の顕在ニーズと潜在ニーズを考えてみましょう。
ユーザー自身が「筋肉をつけたいから、ダンベルを購入しよう!」と考えている場合、「筋肉をつけたい」という具体的で明らかなニーズが顕在ニーズです。
「筋肉をつけたい」のが購買のきっかけとなったとしても、その裏には「忙しい日常生活の中でも健康を維持したい」という思いが隠れているかもしれません。この、まだ具体性がなく、自覚できていないニーズこそが潜在ニーズです。
つまり、潜在ニーズと顕在ニーズは、ニーズを自覚しているかどうか、という点で意味が異なります。
ニーズとウォンツの違いは目的と手段
ニーズと混同されることがある用語に、ウォンツという言葉があります。
ニーズは何らかの状態を欲している欲求、つまり何かを目指している状態であり、言うならば目的意識を指します。一方ウォンツとは、ニーズを満たすための手段や具体的な欲求を意味します。
一例として、先ほどと同じく「筋肉をつけたいから、ダンベルを購入しよう!」と考える人のニーズとウォンツを考えてみましょう。
この場合、「筋肉をつけたい」という想いは目的、つまりニーズに該当します。一方「ダンベルを購入しよう」という欲求は手段であり、ここで言うウォンツになります。ユーザーは筋肉をつけるために必要なトレーニング用具として、ダンベルを欲しいと考えているからです。
とはいえ、「筋肉をつける」には、ダンベル購入以外にも、例えばサプリメントの購入や別のトレーニング機材の購入、ジムへの入会など、さまざまな手段が存在します。このように、ニーズは1つであることに対して、ウォンツは複数想定される特徴があります。
潜在ニーズとインサイトの違い
潜在ニーズと似た用語に、インサイトという言葉があります。
インサイトとは、消費者自身が無意識のうちに抱いている本音や感情です。顕在ニーズや潜在ニーズは、根底に自身の欲求があります。しかしインサイトは潜在ニーズよりもさらに深い部分に存在し、そもそも欲求自体が存在しないのが特徴です。
例えば、ある商品に対して「なんとなく好き」と感じる状態はインサイトです。なぜその商品を好きと感じるのか、自身でははっきりと理解していないものの、無意識のうちに何かしらの魅力を感じているからです。もしこれが潜在ニーズであれば、言語化はできなくても「この商品を通じて、○○を実現したい」という欲求があるはずです。
なお、インサイトについてより詳しく知りたい方は、「消費者インサイトとは?潜在ニーズとは違う?マーケティング戦略で役に立つ消費者の知られざる本音」をご覧ください。
潜在ニーズの掘り起こしが必要とされる背景
顧客の潜在ニーズを的確に掘り起こすことは、自社のビジネスを安定して成長させるためには必然であるといえます。本章では、潜在ニーズの掘り起こしが必要とされる背景について、2つの要因を解説します。
新規顧客獲得競争が激化している
近年、価格競争の激化や消費者の購買行動の変化などを理由に、新規顧客の獲得がますます難しくなってきました。そのため、新規顧客の開拓とあわせて、リピーターをいかに確保するかが注視されています。
潜在ニーズを掘り起こせば、ユーザーが無意識に抱える悩みや課題を的確に把握できます。そのため、ユーザーの解決につながるサービス・商品の販売や提案に役立てることができるでしょう。顧客の課題を解決し続けることができれば、顧客満足度が高まり、リピーターになってもらうことが期待できます。
さらに、潜在ニーズを把握し適切なアプローチによって顧客満足度が高まれば、既存顧客の好意的なクチコミを引き出すこともできるでしょう。2020年にマイボイスコム株式会社が実施した調査によると、商品購入時やサービス・店舗利用時に、ネット上の口コミを参考にする人は半数を超えていることが明らかになりました。
参考:マイボイスコム株式会社「『ネット上の口コミ情報』に関するインターネット調査(第5回)」
直接的な営業に対して拒否反応を示す消費者は多いですが、実際に商品やサービスを利用した方のクチコミが蓄積されれば、新規顧客の獲得も期待できます。
顧客満足度を高め、新規顧客やリピーターを安定して獲得するためにも、潜在ニーズの掘り起こしが求められているのです。
想定ターゲット以外へのアプローチも必要になってきている
潜在ニーズを把握することは、新しいビジネスチャンス創出にも有効です。今まで自社の商品やサービスのターゲットとして想定していなかった層に対しても、自社の商品・サービスが潜在ニーズを満たせるようになれば、新しい顧客層の獲得が期待できるからです。
例えば、「ダンベルを買いたい」というウォンツを持つユーザーについて考えてみましょう。ユーザーの潜在ニーズが「忙しい日常生活の中でも健康を維持したい」と考えているとします。すると、そのユーザーにとっては、「牡蠣サプリの購入」や「睡眠効率アップのコーチングを受ける」ことも解決策になるかもしれません。
そのため、顧客の潜在ニーズを掘り起こせば、ユーザー自身が予想していた解決策とは異なるアプローチや、新しいアイデアを生み出すことにつながるのです。
潜在ニーズの見つけ方
ここまで、潜在ニーズの意味や掘り起こしが必要な背景を解説してきました。ただ、潜在ニーズをどう見つければよいかわからなければ、ビジネスに活かしようがありません。そこで本章では、代表的な潜在ニーズの見つけ方を、2つ解説します。
両者とも特徴や向き不向きがあるので、ユーザーの特性や社内のリソースなどを考慮して、最適な方法を選択しましょう。場合によっては、複数の手法を組み合わせることも有効です。
インタビューの実施
インタビューは、ユーザーから直接ニーズを聞き取れるため、潜在ニーズの掘り起こしに向いています。
インタビューでは、まずユーザーのウォンツを確認することから始まり、徐々に深掘りして潜在ニーズに迫っていくことがセオリーです。具体的なインタビュー手法には、インタビュアーと回答者が1対1のデプスインタビューや、複数のユーザーを集めて行うグループインタビューなどの種類があります。
また、最近では、オンラインでのインタビューも増えてきています。インターネットを通じてリモートでインタビューを行うため、場所や時間に制約されずに多くのユーザーとのインタビューを実施できるでしょう。
ただ、質問の仕方によっては相手に不快感を抱かせてしまったり、適切なニーズを引き出す問いかけが出来ずに終わってしまったりすることもあるため、インタビュアーのスキルも必要です。
なお、インタビュー手法の1つであるデプスインタビューについては、「デプスインタビューについて│特徴や進め方、メリットやデメリットを知って市場調査に役立てよう!」こちらもご覧ください。
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エスノグラフィー調査の実施
エスノグラフィー調査も、潜在ニーズを見つけるために有効な手法です。
エスノグラフィー調査とは、商品やサービスの利用状況や購買までの行動を観察する調査です。ユーザーの行動を観察し、そこから潜在ニーズを推し量るため、ユーザーの行動から読み取れる価値観や意識を、定性的に調査できます。
エスノグラフィー調査では、言語化しにくいニーズも、ユーザーの行動から自然な形で見つけ出せる可能性があります。
例えば、とある駅では自動販売機の売り上げをアップしたいと考えていました。そこでエスノグラフィー調査を実施してみると、駅を利用する人の多くが時間を気にしていることが見えてきました。そこで、「自動販売機の上に時計を置く」といった新たな施策の立案につなげたそうです。
なお、エスノグラフィー調査については、「エスノグラフィー調査(行動観察調査)とは?方法や実践事例、メリット・デメリットを 解説」も併せてご覧ください。
潜在ニーズを引き出す質問とは|徐々に深掘りしていくことがポイント
前の章では、潜在ニーズを引き出す方法としてインタビューとエスノグラフィー調査を紹介しました。
インタビューでは、ウォンツ(欲求)を起点に、「なぜ?」という質問を繰り返し行い、内容を徐々に深掘りして潜在ニーズを見つけることが基本です。それには、まず質問する相手との間にラポール(信頼関係)を築くことが前提となります。信頼関係を築いておかないと、警戒や遠慮が先立ってしまい、本音を語るのが難しくなってしまうからです。
ラポールを築くには、相手が不快に感じない程度にたくさんの質問をし、相手の話に共感を示すことがポイントです。共感は安心を産むため、より率直に本音や欲求を話すことができるようになることから、潜在ニーズに近い思いを引き出しやすくなるからです。
本章では、潜在ニーズを引き出す質問を3つの段階に分けて、具体例を交えて解説します。
1.今の状態について質問する
潜在ニーズを引き出すためには、まず今の状態(現状)について質問しましょう。相手の現状や取り組みについて知ることは、潜在ニーズを把握するための起点となります。
▼質問例
- 現在、どんな取り組みをしていますか?
- 現在、どのようなことに困っていますか?
- 現在、どのようなことが成功していますか?
将来どうなりたいか質問する
次に、現状を踏まえた上で、相手が未来にどうなりたいのか、どうありたいのかを聞きましょう。
▼質問例
- 将来はどうなりたいと思っていますか?
- 未来にどのような状態になれば、成功だと言えますか?理想の状態はどのようなものですか?
相手自身が未来について考えていない場合でも、この質問をするだけで未来像が明確化され、ニーズが浮かび上がることもあります。
今と未来のギャップについて質問する
現状と理想の未来を明確にしたら、さらに今と未来のギャップについて質問しましょう。
▼質問例
- 理想の未来が100%として、現状との差は何%程度ですか?
- 現状と将来のギャップを埋めるため、今どのような取り組みをしていますか?
- 現状と将来のギャップを埋めようとするなかで、何か課題を感じていますか?
質問を重ねるうちに、相手のニーズが明らかになっていくかもしれませんが、なるべく相手の話を遮らないようにしましょう。あくまでも答えは相手の中にあるため、誘導せずに思いを引き出すことがポイントです。
潜在ニーズを引き出した成功例
具体的に、潜在ニーズを引き出して自社のビジネスに活用した事例があれば、あなたの会社でどのように潜在ニーズを活用するか一層イメージしやすくなるのではないでしょうか。ここでは、BtoCの商品開発にて潜在ニーズを活用した成功例を紹介します。
【BtoCの事例】当初想定していなかった使用方法を潜在ニーズから発見|エクササイズ用品A社
エクササイズ用品を販売するA社の看板商品αは、本来はストレッチや姿勢矯正に使用する商品です。しかし、睡眠にもよい影響を与えるという顧客の声が多かったため、強化したいと考えていたコンテンツマーケティングにて、睡眠分野の情報も発信することにしました。すると、睡眠に悩みを抱えており、そのエクササイズ用品を睡眠改善のために使いたいと考える人からの問い合わせが増えたのです。
公式ブログでも、開設の約1年後にはアクセス数が100万PVを超え、ブログ経由での月間販売数も800件に成長しました。この例は、当初想定していなかった使用方法を、ユーザーが教えてくれた例と言えるでしょう。
まとめ|潜在ニーズを把握してマーケティングに役立てよう
潜在ニーズの把握は、顧客満足度向上やビジネスチャンス創出につながり、自社のビジネスに大いにプラスに働きます。
潜在ニーズを掘り起こすには、アンケート調査が効果的です。アンケートを行う際には、まず現状を聞き出し、次に理想の状態を聞き出しましょう。そこから、今と未来のギャップを明らかにしていくと、自ずと潜在ニーズを引き出せるはずです。
また、潜在ニーズを把握してビジネスに役立てた事例は、多数存在します。この記事で紹介した事例以外にも、潜在ニーズを把握してビジネスにつなげた事例を探してみると、少なからず参考になるのではないでしょうか。
なお、市場調査の実施も潜在ニーズの把握に役立ちます。GMOリサーチ&AIでは、多数の調査実績を有しています。市場調査を実施したい方は、お気軽にご相談ください。
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よくある質問
Q1.潜在ニーズと顕在ニーズの違いは? |
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潜在ニーズは、自分自身では気づいていないものの、明確に存在しているニーズです。一方顕在ニーズは、すでに自分自身で気づいていて、言語化できるニーズです。 詳しくは、「潜在ニーズと顕在ニーズの違い」の章をご覧ください。 |
Q2.潜在ニーズをインタビューで引き出すには、どのような質問をすればよい? |
ウォンツから、「なぜ?」を繰り返し、徐々に深掘りするとよいでしょう。また、まずは現状を聞き出し、そこから理想の未来を聞いた後に、今と未来のギャップを聞くと一層先座ニーズが明確になるはずです。 詳しくは、「潜在ニーズを引き出す質問とは|徐々に深掘りしていくことがポイント」の章をご覧ください。 |
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