モニター調査とは?調査の種類や流れ、活用事例を解説

2022年05月10日

アンケートモニター

モニター調査は対象者から率直な意見を聞けるため、商品の開発や改善に役立ちます。インターネット調査やサンプル調査、グループインタビューなどさまざまな調査方法があり、調査目的に応じて適した手法を選んだり、掛け合わせたりして調査を行うことが重要です。

モニター調査は、商品開発や改善の他にも顧客満足度やイメージ調査、購買行動の調査など幅広いマーケティングに活用できます。調査手法によって向き不向きがあるため、各調査手法を理解しておくと目的にあった調査データを集められます。

本記事では、モニター調査の種類や流れ、活用事例などを解説しますのでぜひ参考にしてください。

モニター調査とは

モニター調査とは、商品・サービスなどの意見を集める調査方法です。調査期間や使用頻度を定めて調査を繰り返すことで、使用途中の経過や調査対象者の心理変化などのデータを集められます。

モニター調査では調査対象者を年齢・性別・住所などの属性に分けて実施されることが一般的です。「実際に商品・サービスを利用してもらいたい属性」に調査対象者を絞り込むことで、より意味のある調査結果が得られやすくなります。

モニター調査のメリットは、調査対象者から率直な意見が聞けることです。

集まった意見は、例えば以下のようなマーケティング戦略に役立てられます。

 

  • 企業の商品開発
  • サービス改善
  • 顧客満足度の向上
  • 商品やサービスの認知度アップ

 

モニター調査は種類も多く、調査方法ごとに得意不得意があります。それぞれの特徴を理解して、調査目的に応じた手法を選ぶことで精度の高いデータを集められます。

モニター調査の種類

モニター調査の方法にはいくつか種類があり、代表的なものは下記のとおりです。

種類 概要
インターネット調査 Web上で設定した調査項目ごとにアンケートに回答してもらう
サンプル調査 自宅にサンプルを送付し、使用感等を回答してもらう
郵送調査 対象者に調査票を郵送し、回答後に返送してもらう
個別インタビュー 設定した調査項目ごとにヒアリングをおこなう
グループインタビュー 商品・サービスにおける特定のテーマを設定し、グループで話し合ってもらう

インターネット調査(オンラインリサーチ)

インターネット調査(オンラインリサーチ)は、調査対象者からオンライン上でアンケートの回答を得る調査方法です。郵送調査のように調査票を郵送したり回収したりする工程を削減できるため、低コストかつスピーディーに調査結果を集められます。

インターネット調査(オンラインリサーチ)のメリットとデメリットは、以下があげられます。

メリット デメリット
  • 低コストで実施できる
  • 短時間で回答が集められる
  • 大規模な調査も実施できる
  • 動画や画像などの視覚情報の調査も可能
  • 高齢者などインターネットに不慣れな層にはリーチしづらい
  • 不正な回答が集まる可能性がある
  • 回答中に離脱しやすい

回答を得る過程のなかで、動画や画像などの視覚情報を盛り込むことも可能です。例えば、商品のパッケージデザインやCMなどのイメージ調査もできます。

インターネット調査は、膨大な回答数が集められるので顧客満足度やイメージ調査、サービスの改善など幅広いマーケティングに活用できます。

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オンラインリサーチ | サービス

サンプル調査(ホームユーステスト)

自宅にサンプル品を送付し、使用感などを回答してもらう調査方法です。代表的なものにホームユーステストがあります。

インターネット調査は、膨大な回答数が集められるので顧客満足度やイメージ調査、サービスの改善など幅広いマーケティングに活用できます。

例えば、以下の製品を用いた調査です。

 

  • 食品
  • 化粧品
  • ペット用品
  • 家電製品

 

サンプル調査(ホームユーステスト)には、以下のメリットとデメリットがあります。

メリット デメリット
  • 生活環境での使用データが集められる
  • 使用の途中経過を調査できる
  • 製品を気に入ればファンになってもらえる
  • 説明どおりに使用しているかわからない
  • 製品の発送や返送費用がかかる
  • 調査を途中離脱される可能性がある

サンプル調査(ホームユーステスト)は、より日常生活に近い「消費者の生の声」を製品の開発や改良へいかしたい場合に向いています。

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郵送調査

調査対象者に調査票を郵送し、回答記入して返送してもらう調査方法です。

郵送調査のメリットとデメリットは、以下があげられます。

メリット デメリット
  • インターネットに不慣れな層など幅広い層を対象に調査できる
  • 地域を限定した調査が可能
  • 率直な意見が集まりやすい
  • 事前同意を取らずに調査を行うと回答率が低くなる
  • 調査票の発送や回収に手間と時間がかかる

郵送調査は、インターネット調査では回答を得られない対象者へ調査したい場合や、調査員の人的影響を排除してリアルな回答を得たい場合などに向いています。

地域限定の商品やサービス、高齢者向けの商品の開発や改善などに活用できます。

個別インタビュー

メリット デメリット
  • 人前では話しづらいデリケートな内容を聞き取りやすい
  • オンライン上で実施しやすい
  • 調査対象者の本音を聞き出しやすい
  • 他記式であるため誤記入が少ない
  • 回答率が高い
  • 偏った意見が得られやすい
  • インタビュアーのバイアスが発生する恐れがある
  • 対象者1人当たりにかかる費用や手間が大きくなりやすい

個別インタビューは、インタビュアーと調査対象者が1対1で話しながら意見を聞き取る調査手法です。デプスインタビューとも呼ばれています。個別インタビューのメリットとデメリットは、以下のとおりです。

個別インタビューは、回答を深掘りすることで、定量調査では得られない調査対象者の深層心理やニーズを把握し、商品開発やサービス改善などに役立てられます。

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デプスインタビューについて│特徴や進め方、メリットやデメリットを知って市場調査に役立てよう!

グループインタビュー

グループインタビューは、調査対象者4縲・人程度で1つのグループを作り、調査内容について座談会のように自由に発言してもらうことで、消費者の考えや本音を収集する調査手法です。

話し合いを活発化させるためには、性別や年代、職業など同じ属性を持つグループで行うとよいでしょう。多人数で話し合うグループインタビューだからこそ、相乗効果で思いもよらぬ意見を聞き出せることがあります。

また、複数のグループで実施すれば、グループごとの意見の違いを比較できます。

メリット デメリット
  • 意見が集まりやすい
  • 属性ごとに分けて意見を聞ける
  • 表情や仕草などの情報も得られる
  • 比較的短時間で実施できる
  • 意見に偏りがある
  • 本音が聞けない恐れがある
  • モデレーターの技量に左右されやすい
  • 日程調整が難しい

なおグループインタビューは割合や数値などの定量データ収集には不向きで、調査対象者の考えや意見を聞き出し、消費者の潜在意識やニーズを確認するのに適しています。既存商品のマーケティング施策の改善や商品に対するイメージ調査などに役立ちます。

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【まとめて解説】グループインタビューとは?│特徴・流れ・留意点

モニター調査の流れ

モニター調査.jpg

 

1.調査の企画作成

モニター調査を実施する前に、調査の企画作成を行います。この調査の企画作成を行うことで、調査の目的や使用用途が明確になるため、重要な工程です。

モニター調査の企画例

  • 新商品の開発のためにターゲットのニーズを把握したい
  • サービス改善に向けて、ターゲットの満足度や不満点を知りたい
  • 既存商品の売上を伸ばすために購買行動を調査したい

 

目的・目標を定めたら、次に仮説を立てます。
どのようなデータが集まりそうなのかを仮説を立てることで、実際の調査結果との違いを分析して、自社の思い込みやユーザー意識とのズレを把握することも可能です。

2.調査方法の選定

調査目的や目標を明確にした後は、調査方法を選定します。モニター調査の種類はさまざまあるため、調査目的や集めたいデータ、予算に応じて最も適したものを選定しましょう。

調査方法の選定例

 

  • インターネット調査(オンラインリサーチ):新商品に対するイメージを把握したい
  • ホームユーステスト:開発中の商品の使用感を知りたい。ユーザーの生の声が知りたい
  • 個別インタビュー:購買行動の調査

 

調査方法が決まったら、実施期間や調査対象者、調査項目を整理してアンケートや質問内容を作成します。

3.モニター調査の実施

次にモニター調査の実施に進みます。

モニター調査を開始したら、期限までに回答が提出・回収できているか、目標の回答率に達しているかなどを見ていきます。
また期間内に複数回アンケートを実施する場合は、アンケート実施のスケジュール管理や、アンケートの途中離脱が起きていないかも把握しておくと安心です。

より精度の高い調査データを得るには、本調査前にスクリーニング調査を実施するとよいでしょう。なお、スクリーニング調査については「モニター調査を実施する際のポイント」で詳しく解説しています。

4.調査結果の集計・分析

モニター調査は実施して終わりではなく、集計して分析することで役立つデータとして活用できます。

代表的な集計方法としては、回答者の実数や割合を一覧にして大まかに把握できる「単純集計」と、全体の回答をグループで切り分けて集計する「クロス集計」があげられます。

得られた集計結果をもとに、単純計算で全体像をつかんでから、年齢や性別、職業など属性ごとの詳しいデータをクロス集計で洗い出し、分析していくとよいでしょう。

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単純集計とは? クロス集計との違いや使い方のポイントを解説

モニター調査の事例

ここで、モニター調査の事例を2つ紹介します。

【実施例1】タバコの新商品

加熱式たばこのサンプル調査では、使用感だけではなく加熱式たばこのイメージをよくするために夫婦に向けて調査を実施した事例があります。

▼調査内容

  • 目的:加熱式たばこのイメージ調査、たばこに対する先入観を払拭する
  • 調査手法:サンプル調査(ホームユーステスト)
  • 調査対象:夫が喫煙している夫婦
  • 実施期間:1か月(夫、妻ともにアンケートを2回実施)

ホームユーステスト開始前に、妻向けの加熱式たばこ商品説明会が実施され、加熱式たばこのイメージアップを図りつつ、夫に商品の使用を勧めてもらうように働きかけが行われました。

自宅に加熱式たばこが届き次第、1か月間夫には商品の使用、妻には夫の喫煙状況を把握してもらい、夫婦ともに合計2回のアンケートが実施されました。

アンケートの質問は、夫側はたばこの使用感やイメージについて、妻は夫の喫煙についての心境の変化などを伺うものが中心です。

ホームユーステストは、商品自体の使用感を調査することが多く、対象も商品使用者に絞られることが一般的です。

しかし今回は周りの家族も含めてホームユーステストを実施することで、商品自体の使用感はもちろん、商品に対するマイナスイメージ(部屋や臭いが残りにくいなど)の払拭を図っており、珍しいホームユーステストの事例といえます。

【実施例2】テレビ番組認知度調査

テレビ番組のコンテンツ作成のために、インターネット調査(オンラインリサーチ)で芸能人の人気調査を実施した事例です。

▼調査内容

  • 目的:テレビ番組で紹介する人気ランキング作成のため
  • 調査手法:インターネット調査(オンラインリサーチ)
  • 調査対象:20~40代の専業主婦300人
  • 実施期間:1日

インターネット調査(オンラインリサーチ)は、商品開発やサービス改善だけではなく、今回のようにコンテンツ作りの際にも活用できます。

また、短期間で多くの回答を集めたいときに役立つ調査手法といえます。

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モニター調査を実施する際のポイント

モニター調査を実施する際のポイントは、主に以下の2つです。

  1. スクリーニング調査を実施する
  2. 質問内容や選択肢を精査する

【ポイント1】スクリーニング調査を実施する

モニター調査は、スクリーニング調査をおこなって対象者をふるいにかければ、より精度の高いデータを集めることが可能です。

スクリーニング調査で年齢、性別、職業などの条件を絞り込むことで、条件に当てはまらない対象者を本調査前に除外でき、より効率的な調査が行えます。

本調査の該当者を明確にするためには、スクリーニング調査の設問をなるべく細かな条件で設定することがポイントです。

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スクリーニング調査とは?注意点・質問の作り方・質問事例なども紹介

【ポイント2】質問内容や選択肢を精査する

精度の高いデータを取るためには、質問内容や選択肢の精査が重要です。

たとえばアンケート調査で質問の意図が伝わらないと、調査対象者が何を回答すべきか迷いやすくなるため、正しい調査結果を得られにくくなります。

アンケートの精度を高めるためには、言葉の言い回しはもちろんのこと、選択肢の数や質問の順序などにも工夫が必要です。

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まとめ

本記事では、モニター調査の特徴や種類、実施の流れなどを解説しました。

モニター調査は、目的を明確にして適切な方法を選択することが重要です。調査対象者から商品やサービスに対して率直な意見を聞けるため、幅広いマーケティングに活用できます。

新商品の開発やサービスのイメージ調査、既存商品の見直しなど、目的や集めたいデータに合わせて調査手法を選びましょう。

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